見出し画像

【妊婦日記】妊娠初期〜中期と関連書籍

今年の6月、はじめて子どもを授かった。

一人の命を預かっているわけだから、私の無知に基づく行動せいで子どもに影響があったり、生まれてからも抱えなきゃならなくなる負担をかけたくない。一方で、じゃあ果たして何をしたらいいのか、何はだめなのか、というのは、医学的根拠のあるものと、都市伝説や思い込みに近いものが混ざっていて、「こうしたらいい」という絶対律などないに等しい。個々人の体質や体調、仕事、生活スタイル、家庭環境など個別的要素も大きく関わってくるので、生活における些細な一つ一つの行動を決める上で、誰にでも万能な答えなどもないのだと思っている。そのため、私は様々な情報を手に入れた上で、自分自身の身体と環境に照らし合わせながら、一つの行動に関してもそのコストとベネフィットを考えた上で、自分の妊婦生活の仕方を自分で決めようと思った。

そのために、色々な関連書籍を読んだけれど、そのなかでも役立ったなと思うものが以下の3冊。

この本は、妊娠・出産にまつわるあらゆる「常識」に科学的にアプローチして、正しいデータから意思決定をしようというもの。
とはいえ、各章の最後にまとめられている項目別の対処法に関しては、当然筆者個人の趣向が含まれているものもいくつかあり、そこに書いてあることすべてが科学的に立証されたものではないので、個人的に同感し得ない部分もいくつかあった。それでも、いわゆる通説にデータで批判を試みようという視点とその研究成果は非常に参考になった。


【楽天ブックスならいつでも送料無料】お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホ...


本の序文には、「優れた意思決定をするには、情報とデータを手に入れ、それを自分なりのプラスとマイナスの評価とを組み合わせることが大切だ」(16頁)とある。

自分の気持ち、自分のからだ、医学的なデータをちゃんと照らし合わせて、自分が守るべきラインや取るべき行動を自分できちんと考えること。論理的な意思決定の仕組みを持つこと。

たとえば、初期の頃は特に、「疲れたら安静に」と言われるのだが、その「安静に」のあり方も、人によってベストな形が異なるものではないかと思う(ちなみに本によれば、ベッドで安静にしていれば早産を防げるという医学的根拠もない。それにも関わらず、切迫早産になるととにかく安静に、と言われる)。

私にとっては、とにかくずっと横になっているのは精神的に肉体的にも苦痛だ。腰も頭も痛くなるし、何より気分が滅入る。ある程度自分のやるべき仕事をやらないと自己評価が下がり、ストレスが溜まる。なので、休みの日には体調が絶好調ではなくても、無理しない範囲で気分転換に近くのスーパーや電車一本で行ける場所に買い物に行ったりケーキを食べに行く(おかげで色んなケーキ屋さんや美味しいランチの店を開拓した)。論文も書いて、授業準備もいつも以上にきちんとして、自分はちゃんと仕事もできている、という自己評価を自分に与えて、精神的な健康も保つようにしている。

普段から自分の体調と自分の精神的な健康がどのように保てるかを分かっていれば、どこまでが頑張り過ぎ(無理)の範囲か、どこからが取り越し苦労なのか、おのずと分かってくるのではないかと思う。

もう2冊は以下のもの。2冊目は、予定帝王切開や帝王切開になりそうな人(もちろんすべての人に可能性がある訳だが)に特に役立つ本だと思う。帝王切開に関する必要な情報や人びとが抱く質問の多くへの答えは、基本的にすべて網羅しているのではないかと思う。

【楽天ブックスならいつでも送料無料】ママのための帝王切開の本 [ 竹内正人 ]

3冊目は、日本で未だに広く信奉されている三歳神話だとか母乳神話などをはじめとする、新生児期〜1歳くらいまでの母親べったり育児に対するオルタナティブな考え方を知るための一冊として読んだ。個人的には、全編を通して、子どもを一個人として尊重する姿勢に共感を持てた。

【楽天ブックスならいつでも送料無料】フランスの子どもは夜泣きをしない [ パメラ・ドラッカー...


体調の変化(超個人的なこと)
妊婦の体調というのは、本当に人によってだいぶ異なると思う。
だからこそ、自分はこうだったから人もきっと同じに違いない、とか、自分にとって良かったことを人もすべきだ、とは決して言えないし、言うべきでもない。でも、人の体験談を読むことは、自分の状態を客観的に見る上でもとても参考になったし、「みんな大変なんだ私も頑張ろう」的な効果もあって、時には元気づけられもした。だから私も誰かの参考や比較軸になればいいとおもうので、経験をシェアしたい。ただし、繰り返しになるが、妊婦の体調というのは本当に人それぞれだし、本人が置かれた多様な環境にもだいぶ影響されると思うので、あくまで個人的体験として読んでほしい。

初期
私はつわりで3キロ痩せた。でも友人の話やネットでの体験談を読むと、起き上がれなかったとか、産む直前まで吐いていたなど壮絶な経験をしている人も多いので、私の悪阻はおそらく比較的軽い方だったのではないかと思っている。ただ、その期間でも特にひどかった7月の終わりは、ご飯も決まった物しか食べれなかったし、ゼリーやジュースが主食だった。何故か韓国料理などの唐辛子系の辛いものや酸っぱいものは大丈夫で、こくのある物や香ばしいものを全く受け付けなかった。だからこそこの時期、市大の授業を最後までちゃんと終えられたことは本当に安心したし、そのときの学生に貰った色紙は格別の思い出になった。

8月のはじめ、つわりの最終局面くらいでハワイ大学に研究員として行き、最初の2週間くらいはまだつわりがあったので、毎日サブウェイとヨーグルトと果物とJumba Juiceで過ごしていた。それでも、ハワイのからっとして雄大な空と満員電車などとは無縁の環境、はじめて与えてもらった立派な研究室に助けられて、とても気持ちのいい日々を送ることが出来た。受け入れ先のEast West Centerにはとても感謝している。

他にも、悪阻の時期から始まったのは、今までになかったようなドジだ。たとえば、水の入ったコップをひっくりかえしたり、食器棚の上から落ちてくるもの(サランラップとか)をよけられなかったり、階段を踏み外したり、家の中でドアにぶつかったり。私なにやってるの?と思う出来事が度々あった。これが頭がぼーっとしているせいなのか、ホルモンなのか、反射神経のにぶりなのかは分からないけれど、自分でもびっくりするくらい愚鈍になる瞬間があることに気づいた。悪阻がおさまってまだお腹が大きくなる前(5ヶ月目くらい)まで自転車に乗っていたけれど(特に朝6時過ぎ出勤のときなど)、さすがにこのような症状が増えていることに気づいてからは自転車に乗るのをやめた。そしてなるべくゆっくり意識的にあるくように心がけた。特に通勤の時間のときなどは人が多いので、前から来る人をよけたりエレベーターへのラッシュで出遅れないように、いつもよりも気を張りながら歩いたりしている。

ある程度暇じゃないと妊娠もできない
妊娠すると初期は一ヶ月に一回、中期に入ると二週間に一回の健診というのがる。以前子宮筋腫にかかって病院にかかった時も感じたことだけど、都心で病院に行くというのは、本当に時間のかかることだ。

以前産婦人科にかかっていた順天堂大学病院では、本当に待ち時間が長くて、予約をしていても1時間半から2時間待つことがざらだった。しかも当然ながら待合室では携帯の使用が禁止されているし、勿論パソコンで集中して作業できるような環境でもない。私が今回出産に選んだのは、家からタクシーで10分ほど、歩いて30分弱ほどの割と大きな病院だ(ただし自分の住んでいる区ではないので、いわゆる「里帰り出産」扱いになり、健診などかかる費用が一次立て替えになる。これは結構な額になる)。今までの病歴などからみて自然分娩はできないことが分かっていたので、帝王切開対応している病院のなかでは家からもっとも距離的に近く、かつ交通の便もいい病院だった(他の同区内の病院だと、バスや電車を乗り継いで行かなければ行けない場所にあった)。

ある程度自由になる暇がなければ、順天堂のような病院にいくのは難しい。今私の行っている病院は順天堂ほどではないけれど、予約を入れていても実際の健診が5−10分でも、会計して帰るまでには1時間から1時間半はかかる。妊婦になるっていうことは、お金もかかるし時間もかかることなのだ。

中期
私は6ヶ月に入ってから、お腹がぐんと大きくなり、頻繁に張るようになった。机に座ってずっと集中して書き物をしていたり、2コマ続けて授業をしたあとはパンパンになる。これはあまり良くない兆候で、流産や早産のきっかけにもなるらしいし、かつお腹が張ると自分自身が苦しくなる。7ヶ月目からは特に息があがるようになり、授業中、しゃべり続けていると呼吸が乱れたり、いつもは一気にあがれていた一階から二階までの階段で何度も休むようになった。

今8ヶ月目に入り、疲れておなかが張る頻度が前よりも断然多くなった。息が切れる。体中が凝る。むくむ。こむら返り。仕事にいくのが辛い、行きたくない、という今まで一度も、微塵も思っていなかった思いがはじめて生まれて、旦那に弱音を吐いたのが7ヶ月目のなかば。それから2週間あまりの間に、3回ほど「仕事行きたくない」を言ってしまった(リアルに数えている)。旦那は毎回「やめな」とか「いかなくていい」と言ってくれる。で、それを聞いて逆にはっ、とする。何を言っているんだ。自分が好きでやっている仕事で、今一時的にちょっとしんどいだけで、仕事がいやなんじゃないってことを再確認する。

しんどいのは、ラッシュ時の通勤だ。休めない大学環境や、冷えてゆっくりできない非常勤講師室だ。補講が続いて、勤務時間が14時間を越えることだ。それさえクリアできれば、たとえ妊婦でも「仕事しんどい・やめたい」なんてつゆほども思わない自信があるのだけど、自分の立場と状況からは様々な制約があるから仕方がない。そして多くの人が、私と同じような制約を背負いながらいっぱいいっぱいで仕事をしたり、もしくは出産や仕事のどちらかを結果的に諦めたりしているのだと思う。

この点については、次回のポストで書く予定です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?