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夏が来る

新しい保育園に入って早2ヶ月。
子どもたちはすっかり新しい保育園になじんだ。

最初の一週間くらいは泣いて、でも私がいなくなると遊んでしっかりご飯も食べ、急速に慣れて行った子どもたち。上の子は、「迎えに行くと駆け寄って来る期」を過ぎ、「帰り際に園庭で裸足で駆け回り『遊ぶ!おうち帰らない!保育園泊まる!』と主張する期」を過ぎ、今は「部屋に入る私を確認すると一瞬嬉しそうな顔をしたあと、名残惜しそうに車や絵本を掴んで離さない期」に突入した。

下の子は、1歳児クラスで一番月齢が若いが、とても巨大で丸いせいか、またたくさんの同級生たちに可愛がられているようだ。大きいので、声も大きい。少しずつ意味の有る言葉を話すようになって、とても可愛い時期だと思う。

この間、上の子に「保育園で誰が好き?」と聞くと、
笑ってくねくねしながら「なかむらさん」、と言う。

「先生?おともだち?」と聞いても答えず、ただ「おんなのこ」というので、誰のことかと思っていたら、さばさばしていてよく抱っこしてくれているベテランの保育支援員の女性の方のことだった。おんなのこ、というにはちょっと失礼なくらいの初恋は、干支が5周くらい先の人だった。なかなかやるな。

今日寝るとき、上の子が「内緒の話、する」と顔を寄せて来たので、「うん?」と答えたら、急に「怒って、ごめんね」、などと言う。

私の言いたいことを代弁したのか、それともそういう風に言ってほしかったのかは分からないけど、少し動揺して、少し泣いた。

1歳なりたてと2歳なりたての子どもたちを育てていると、子どもがものを投げたり、本や洗濯物をぐしゃぐしゃにしたり、たいしたことではないけれど地味にストレスの溜まる片付けを増やされることで、つい怒ってしまうことがある。ちょっと強く声をあげたり、ものを投げた手をぴしゃんと叩くと、上の子は泣く。そういうときは、寝るときくらいになると「ああ、あんなに怒らなくてもよかったな」と思って自分が悲しくなるのだけど、そうやっていつか寝る前に「怒ってごめんね」と言ったことを、覚えていたのだと思う。

子どもの幸せってなんだ、とか、それに大きな、というか圧倒的で抑圧的ですらあるくらい影響を与える親としての自分自身がどうあるべきか、みたいなことを考えているときに、この本を読んだ。子どもといると、自分のことも世の中のことも痛いくらいに自覚し、感じなきゃいけないことが増えてくる。私が日々自分自身に対して、社会に対して抱えている色んな感情を、これから子どもたちが大きくなるにつれ、子どもたちを通してもっと切実に感じることになるんだろうなと思う。

ブレイディみかこ(2017)『子どもたちの階級闘争』みすず書房
(Amazonのページに飛びます)

保育園や職場や、色々環境が変わって必死に過ごしている間にいつのまにか暖かさを通り越して暑い季節になった。私は夏が好きだ。暑いし陽に焼けるしべたべたするけど、夏の方がより地球とか自然に近い生活を送れる気がする。そして大好きな裸足の季節(私は靴下が何より嫌い)。夏のはじまりはとてもドキドキする。子どもたちにも夏を好きになってほしい。


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