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same same but different

上の子は2月で3歳に、下の子は3月で2歳になる。二人とも早生まれで、同じ両親の元に生まれて来ているが(だからなんだというかんじだが、血液型も同じである)、性質も発達も外見も、全くちがう。

下の子は先天性の心臓血管の異常を持って生まれ、6ヶ月のときに手術をした。喘息予備軍と言われ、風邪を引くとすぐぜこぜこした呼吸をして、ひどくなると病院に行き、吸入、レントゲン、点滴をされる。でもそれ以外は、本当に病気をしない、丈夫な子だ。上の子が0−1歳のときは、保育園で流行った病気はすべて貰って帰り、一年の4分の1くらいは保育園を休んでいた事を考えると、驚きの強さだ。

彼はとてもよく食べて、よく寝る。上の子の倍速で、量はほとんど同じか多いくらい食べる。寝付きも早く、眠くなればどこでも簡単にストンと寝る。

ちなみに上の子は少し母乳を飲んでいたが、下の子は完全ミルク。「母乳を飲むと免疫がついて病気をしにくくなる」、という母乳神話を支える言説があるが、それがウソじゃないとしても、母乳を飲んでも病気をする子はする、完全ミルクでもしない子はしない。生まれ持ったものって大きいなあ、と実感する。

下の子は、中性的だなと思う。風邪を引く度に通っている耳鼻科ではどうやらずっと女の子だと思われている(このあいだ、先生が「彼女は」と言ったことで気づいた)。頭が大きくて、ドラえもんみたいだ。肉まんのようにまるくて、顔のすべてのパーツも丸くて、クラスで一番月齢の若い下の子は、同じクラスの子達皆に可愛がられている。朝送りにいくと、特に女の子が寄って来て抱きついてくる。「可愛がられる」というのはそれだけで才能だと思う。私は自分にそれがないと思うから、それをもつ下の子をラッキーだし、羨ましいと思う。

表現の仕方や態度もなんというか、とても動物的。したいこと、怒り、悲しみ、喜び、自分の欲や感情を瞬発的に、ストレートに表現する。言葉の出は少し遅かったけれど、最近はっきりと「だっこして」と言って甘えてくるようになった。

上の子のことは、私は一度も「子どもっぽい」と思ったことがない。なんだろう。勿論子どもらしくて可愛いのだけど、未熟だと思わない、という感じだろうか。聞き分けがない、とか、行動が理不尽だ、とか、そういうことが皆無とは言えないのだけど、極めて少ない。周りを良く見ていて、よく考えてる感じがする。そして自分の世界をしっかり持っている。本を数回読んであげると、台詞を全部覚えてしまう。

上の子と話していて、はっとさせられることや、その話しの展開の仕方に関心することも多々ある。私の様子をみて、ここぞというときに甘い言葉をかけて来たりもする。私の怒り方が不条理だったりすると、怒って泣いて抗議する。それを見て、ちゃんとこの子に尊敬されるような大人にならなきゃなあと思うのだ。

下の子は、はっきりとしたくりくりの二重に長い睫毛がびっしり、すこしクセのある、真っ黒の髪。
上の子は、三日月のような目をしていて、毛細血管が浮き出る白い肌に、まっすぐな栗色の髪。
似ているようで、全然違う。同じ人から出て来たのに、同じ家で育っているのに、全然違う。

15年以上前、バックパッカーをしていたとき、バンコクのカオサンでこの言葉が書かれたTシャツを着ている人をたくさんみた。
"Same same but different"

何のことかわからなくて、でもなんだかずっと気に入っていて、いつか使おうと思っていた。

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