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森さんに勧めたいBLコミック10選

森さんがBLを読み始めるに当たってオススメを募集していたので、リストを作りました。
すべてKindleでも買える商業BL、最後にBLドラマのオススメもあります。

私はライトなBLファンです。「ライトな」と自認するのは、私が知っているBL好き、もしくは漫画好きの方々はすごい量の漫画を読んでいますが、私は年にKindleで50冊か60冊くらい漫画を買い、そのうち7割くらいがBLとして売られているものという程度。詳しい人に比べたら、読書量は圧倒的に少ないと思います。

「ライトな」というもう一つの理由は、私が今くらいの関心をBLに持ち始めたのがここ10年くらいという、自分の人生の長さと比べたら短い期間だからです。高校生の時から、周りに漫画をすごく好きな人たちがいて、勧められた『トーマの心臓』や西炯子先生の作品を読んできたものの、今くらいのペースで漫画を買ったり読んだりしているのは30歳を過ぎてから。また私は絵も小説もかけないので、創作や同人等の活動にも無縁で、ひたすら商業BLを読める範囲で読んでいます。

そんな私がこれまで好きでハマってきたのは、映画・ドラマ・写真・音楽です。世界は問わずですが、特にアジア地域のものを中心に。
高校生の時から授業サボって映画館に行ったり、放課後図書館で毎日一本LPで映画観たり、映画制作の専門とダブルスクールしたり、大学のサークルで映画を作ったりした程度には映画好きで、90年代日本のドラマを始め、00年代は台湾と香港のドラマや映画、音楽にはまり、00年代後半からはソウルに住んでいたこともあって、そこから10数年、KPOPと韓国ドラマを摂取し続けています。

ここで森さんにBLをオススメするためにあえて自分語りをさせてもらったのは、私がオススメする作品は、上記のような文化経験をしてきた、ライトな商業BLファンを自認する、基本的に映像ものが好きな人間だから選んだもの、だと思うからです。

森さんが私と同世代の(予測)よい大人で、BLをこれまであまり読んだことがない、BL以外の本や漫画や映像作品はたくさん観ている人、という理解をしているので、個人的には私のオススメ、結構ハマるんじゃないかな・・・と勝手に思ってます。もしいくつか読んだら、是非感想を聞かせていただきたいです。ではオススメ行きます(前置きが長くてすみません)。

佐岸左岸『オールドファッションカップケーキ』

「丁寧な暮らし」に社会人生活が乗った、仕事をする男の生き方まで考えさせられる物語。ものや風景を描いているコマの入れ方が独特だなあと思います。コマ送りで映画を観ているようで、読者の想像力で物語をより豊かに完結させられるのがすごい。主人公の二人だけでなく、周囲の人と交わされる言葉のやりとりも全部印象深くて考えさせられるし、何度も声に出して読みたいセリフがたくさんでてきて、なぜかこっちまで愛されてる気分になる。掛け値無しに名作です(せめてこれを読んで下さい)。

『オールドファッションカップケーキ episode.0』は単行本の前章にあたる物語が18P、110円で読めます。まずは試してみたい場合はこちらから。

ヤマシタトモコ『恋の心に黒い羽』『くいもの処 明楽』

BLに描かれている男性像のリアリティに関することをラジオで話されていたので、是非ヤマシタトモコ先生の描かれる男性像をどう思われるか聞きたいです。少女漫画でもそうですが、個人的にはピュアでまっすぐで、思考と行動がちゃんと繋がっている人物像にあまり感情移入も親近感も湧かないし、私の中のリアリティがかけてしまうと感じます。ヤマシタトモコ先生の描かれるような思考の世界と現実の行動に少し溝があったり、もしくは思考が直接的に描かれていない人物の描写に惹かれます。『恋の心に黒い羽』は短編集、『くいもの処 明楽』は登場人物のキャラ設定が脇役まで秀逸だなと思う、ヤマシタトモコ先生の作品のなかでも大好きな2冊です(他の作品も良いです)。

ヨネダコウ『それでもやさしい恋をする』

これも社会人BL。男性を好きな人と男性を好きだという自覚がない二人が恋に落ちて、付き合って、それをオープンにするまでの関係をすごく丁寧に描いた作品です。作家買いしている人の一人で、ヨネダコウ先生の作品は全部よいのでこれ以外のものもオススメです。

ヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない』

Ihr Hertzで連載中のヤクザもの、暴力に関しても性に関しても過激な描写が多く含まれていますが、ストーリーが重厚で暖かさもあって、静かに熱く興奮できる作品です。たぶん今もっている漫画の中で一番多く読み返したのはこれだと思います。映画にもなりました。

里つばめ『Evergreen Days』

里先生の本は最近の『GAPS』などがとても売れているらしいのですが、私は比較的初期のこの作品が大好きです。先生と高校生の恋愛、学校という狭い箱から外の世界(先生の家や川辺)という舞台の移り変わりが官能的でドキドキします。この作品も行間(コマ間?)の持たせ方がうまいなと思います。

絵津鼓『IN THE APARTMENT』

絵津鼓先生の漫画はどれもおしゃれなんですが、ちゃんと今の時代の若い世代の人間関係を描いていて、感情表現は比較的抑制されているけれど、渦巻いているものは全部ガチンコ!な感じを描くのがとてもうまいなと感じます。

水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』

今年映画になって話題に上がりましたが(私は映画まだ未見です)、これは是非漫画で読んでください。これでもかというくらいの心理描写(心の声)が秀逸です。

ウノハナ『海と二人の塩分濃度』

夏にだけ会える関係だった二人の海辺の物語で、これも映像化してほしいBLの一つ。ウノハナ先生は作品がたくさんあって幅広い。絵が好きだったら是非他の作品も読んでみてください(私は絵が好きで作家買いしています)。

商業BLを読みつつ、これまで実写(映像もの)にはあまり惹かれていなかったのですが、2017年の『DarkBlue and Moonlight』という台湾発の作品がとてもよくて、それからHIStoryシリーズ(台湾)、中国発・韓国発のBL映像作品をあらかた観てきました。そして今年、タイBLドラマブームで私もタイとフィリピンのドラマをたくさん観ました。私は元は映画・ドラマ好きからスタートしているので、BLとしてどうかというより、映像作品として(映画として/ドラマとして)面白いかどうかで観てしまうのですが、これまで観た中でも、タイのNadao Bangkokが作った”I Told Sunset About You"というBLドラマが、映像、脚本、俳優のケミストリー、鑑賞後感、メッセージ性のすべての点において最高だったので、森さんはもちろん、全人類に観て欲しいです。

あと私が今年一番の(?)役立つツイートしているのにあまりインパクトがないが(今年は色々あってツイッターデトックスしてた)、2020に観たオススメのドラマのうち、I Told Sunset About You, Dark Blue Kiss, Gaya Sa Pelikura, Mr. ハート、君の視線の止まる先に、WHY R U?、3 will be freeの7作品は、(広義の)BLです。基本全てサブスク、Youtube、Vimeo等でネットで観れるので、時間があれば是非。

良いお年をお迎えください。

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