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暮らしのこと:6/26~6/30

ちょっと記憶の整理のために日記を書いているので、公開します。書いたり書かなかったりするので、ゆるい気持ちで楽しんでください。

前回の日記はこちら→暮らしのこと:6/18〜6/23

※投げ銭方式にしました。やる気が出るのでたまに応援してくれると嬉しいです。

※有料ノート、『パンと雨』とは別です。同棲している中で感じた、彼とのあれこれに関しては引き続き『パンと雨』で書きます。

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<<6/26>>

昼のランチ、その後の打ち合わせ、そして夜に同世代の人たちと会った。
話していると新しい発見があったり、学びがあったり、(褒めてもらえて)自己肯定感があがったりした。

まほぴさんとお話した時に教えてもらった短歌の基礎、「5・7・5で見えている景色を書き、後半の7・7で感情を書く」というお話、きっと知っている人にとっては基礎中の基礎なのだろうけれどとても勉強になった。

文章を書く時、「自分の感情を、その他のものと結びつけて書く」という技術が足りないなと感じている。どこか遠い出来事から共通項を連れてきたり、無関係に見えるものに自分の何かを重ねたり。上手な表現を見るとため息が出る。

訓練をするためにどんな方法があるのだろう?と思っていたけれど、どうやら短歌がぴったりくる気がする。教えてくれたまほぴさんに感謝だし、まほぴさんの短歌はため息が出るほど素敵。

勝手に紹介しちゃおう。

ひとつだけ話せるならばうちにきてしあわせだったかおしえてよ、いぬ
すべての犬たちが幸せでありますように (犬の短歌 12首)

ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし
https://twitter.com/mhpokmt/status/993451550000406528


やっぱり、人に会う時間は大事だ。普段会わない人たちでも、気になる人にはどんどん声をかけていこうと思った。
書きたいことがたくさんある気がするけれど、いつまでも残っていることだけが大事なことかもしれないから、まずは「楽しかった」という記録だけ。


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<<6/27>>


夜、東京に遊びにきている父と、姉夫婦とご飯をした。

夜景のきれいなところで食べる贅沢なビュッフェ。父は東京タワーの見えるところが好きだ(本人はそう思っていないかもしれないけれど)。これまでも何度か連れてきてもらった。記憶の夕焼けと今の夕焼けを重ねて、その差異を愛おしく思った。

夜景って、いいな。東京で暮らしている、という実感がわく。その実感は、やや「戦ってきた」という自信に似た雰囲気を持つ。たまにはそういう時間を過ごしたい。

若い頃は、もう少しこういう場所に連れてきてもらう機会が多かったように思う。それはデートという名目ではなくても、会食だとかなにかそういうもので。夜景の綺麗な場所を好むタイプというわけではないけれど、背筋は伸びるし「贅沢をした」という気持ちになれるし、たまには来たい。

贅沢はすればするほどいいものではないけれど、しなければしないほどどんどん心もやせ細る、上手なバランスを保ちたいな。

彼とはおいしい定食屋やおいしい中華料理ばかり行っているし、そういう生活が大好きだけれど、今度は彼とこういうところへ行こう。

姉の少しだけ疲れた笑顔が気になった。彼女には彼女なりの疲れがあるのだろう。あまり気持ちを言語化しない人だけれど、姉が考えていることは、わたしにとって世界で一番面白いので、またご飯にいこう。

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<<6/28>>

暑すぎる。朝から溶けそうだ。

いま一番公開を楽しみにしている仕事の打ち合わせへ行った。夏頃からいろいろと大々的な展開が待っているらしい。たのしみ。

そのあとは試写会へ行った。誘ってもらった『悲しみに、こんにちは』というスペイン映画だ(サガンの『悲しみよ、こんにちは』ではない。ややこしい)。
監督のデビュー作であるとのこと、それからスペイン映画を普段あまり見たことがないので見てみたいという気持ちで、見に行った。

失礼ながらあまり期待していなかったのだけれど、これが素晴らしい映画だった。
両親を失った7歳の少女が、いとこの家へと引き取られ、そこで過ごす一夏のお話。これらは監督の実体験に基づいているのだという。

ひとつひとつの問題が、何も解決されずに進んで行く。たとえば、自分の気持ちをどう表していいかわからない少女が、おそらく自分でも理由がわからないまま、新しいお母さんに差し出されたクシを窓の外に投げてしまう。お母さんはそれを黙って拾いに行き、また車は走っていく。その後、その出来事に触れられることはない。「ごめんなさい」と謝るだとか、お母さんがその出来事について悩むだとか、そういうことが起こらない。

死んだお母さんに渡して、と、マリア様の像の横においた布(服?)。次の日になると無くなっている。ほのかな期待を抱いて、しばらく経ち、夜中にマリア様の像の場所まで行き「ママ、ママ」とライトを照らして探してみると、先日置いてきた布が木に引っかかっているのを見つける。少女はそれを引っ張って、持って帰る。ただ、それだけ。そのことを誰かに話したり、それらをどう咀嚼したのかは語られない。ただ、また、次の日がはじまる。そこに、何も教訓めいたものは用意されていない。

だからこそ、ものすごくリアルで、彼女の気持ちや彼女を取り巻く周りの人たちの気持ちがものすごく伝わって来るのだ。ラストシーンでは、鼻の奥がツンとした。なにも変わらない、なにも救いのない世界の中で、ほんの少し彼女の悲しみが癒えたことを祈るしかない。

日常は待ってくれない。自分の気持ちを整理させたり、起こる出来事をひとつひとつ解決させてくれない。どれほどつらいことがあっても、わたしたちは日々を積み重ねていかなければならない。必死で、もがきながら、その自覚さえないままに。
だけれど振り返れば、その積み重ねた日々が人生にとってとても大きな意味を持っていたのだ、と後になって気づく。そういうものを、見た。

公開されたら、また見に行きたい。何度も思い出しては泣きそうになる。
カルラシモン監督が、監督になってくれてよかったと思った。彼女の個人的な体験を、捻じ曲げたり都合よく解釈したりせず、感覚のままに表してくれたこと(事実のままに、という意味ではない)。そうすることで、たくさんの人に多くの感情を届けられること。なんて尊いんだろうと思った。

夜は、サッカー観戦をした。彼が買ってくれた日本代表のユニフォームを着て、二人でワインを1本あけた。飛び上がるようなシーンはなく、勝ち進むための試合を見て、こういう戦い方もあるのだなと素人ながら思った。

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<<6/29>>

大好きな先輩、紫原明子さんとランチをした。紫原さんに会うと心がほっとする、なにかそういう空気を持っている。包んでくれるというか、きっといろんなことを話しても受け止めてくれるのではないかというような、なにかそういう雰囲気。
大好きな本だというよしもとばななさんの『すばらしい日々』をお土産に頂いた。曰く、「エッセイってこういう視点で書けばいいんだって思える」とのことで、読むのが楽しみ。好きな人の好きな本を読めるって、嬉しい。こんなに嬉しい気持ちになれるなら、わたしももっと自分の好きな本をプレゼントしたいと思った。

「何をモチベーションにしてますか」と聞いた時の、「職人ってものが好きだから、文章をよりよくすることに力を注いでいる」という話、なんだか元気がでたな。

わたしにはあまり野心がなくて、それゆえにゆるい空気を保てている節もあるけれど、同時にエネルギーが枯渇しやすい。でも、そんな風に自分にしっかり向き合うことをモチベーションにしていてもいいのだ、と改めて思えたというか。散々いろいろなお話をして、帰る頃にはたっぷり勇気と元気をチャージしていた。すぐにでもまた会って欲しいな、と思いながら帰路についた。西日が強くて肌がじりじりと焼けて、帰り道でさっきまで見ていた紫原さんの姿を思い描いて、カバンの中にある書籍を思って。

なんだか恋みたいだなと思った。

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<<6/30>>

夜、親友と親友の彼氏と3人でご飯を食べた。親友の彼氏が、親友のことを好きだという空気が伝わってきて、そして親友自身もとてものびのびしていて、世にも幸せな気持ちになった。

なによりも、彼の目線がしっかり親友に注がれていたことが、その証拠だったと思う。うれしくてうれしくて、その二人の姿をじっと見た。親友はまもなく入籍する。

先日、先輩夫婦の家に行った時も思ったことだけれど、こういう家族が世の中に生まれていくのだと思うと心底嬉しい。家族は後から作られていくものだから、作られた瞬間が幸せそうであればあるほど嬉しい。逆に言えば、心配なカップルの入籍報告は、正直不安な気持ちになる。「結婚したいわけじゃないけど、流されるままに結婚する」とか「そんなに好きじゃないかも」とか「この人じゃなきゃ嫌だという気持ちはないなぁ」とか。

単純に彼・彼女たちが幸せになれるか?という不安よりも、そういうもんやりした形の家族が世の中に誕生したことを、どう喜べばいいかわからないというか。いつかわたしが結婚をするときは、周りが嬉しくなるような、そういう結婚になればいいな。大事な人が嬉しいと、わたしまで嬉しい。わたしの嬉しさが、わたしの大事な人の嬉しさにつながるなら、そんなに幸せなループはないよな。

帰り際、ほんの少しの時間わたしの彼も合流してくれた。強い風に吹かれながら4人で渋谷に立ち尽くしていたその間、何度もこの道をひとりで通ったその時間を思い出していた。

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