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#マーケティングでたぶん役立つ社会学 ペルソナを理解するには「社会階層」を把握したほうが良い理由

SEMコンサルタントのsagakoです。

今日は広告を考えるときに役立つかもしれない「文化資本」という社会学の用語についてご紹介します。

お金だけが階級をつくるわけじゃない

「社会の階層をつくるのは経済資本(=金)、社会資本(=コネ)」というのはわかると思います。セレブは、お金をもっているしセレブたちでパーティーにいったりしてますよね。
でもそこにブルデュー先生が文化資本という考えを編み出し、それだけではないことを提唱しました。

簡単にいうと、文化資本とは学歴とか、テーブルマナー、セレブたちの趣味を理解する力です。
イメージつきやすいのが、花より団子のつくし(もしくは、銀河英雄伝説)です。

テーブルマナーも、社交ダンスも、オペラの趣も理解できない庶民の主人公つくしは、上流階級だらけの学校で超馬鹿にされています。
でももしも彼女が宝くじを当ててお金を得て、セレブの知り合いが増えたら上流階級に問題なく溶け込めたでしょうか?
いや、そうはいえません。
なぜなら、それは成金であって、正統なる上流階級ではないのです。

学歴やその家の歴史、上流階級としての立ち振る舞いが伴っていなくては、真に上流階級であるとは言えないのです。

文化資本は時に、金やコネよりも重要になるのです。

文化資本は社会の階層を理解するのに役立つ

さて、説明できたところでなぜ、私がこの文化資本がマーケティングに役に立つのではと考えているのか。
それは文化資本というものを知ることで「単なる商品価格の逆算から購入層か否かを判断するのではなく、その階層の背景より論理的に説明できる」と考えたためです。

というのも、それぞれの階級でしたしまれている文化というのは、その家庭の所得にもろに影響を受けています(貧乏な家ではゴルフを趣味にできないですもんね)。
ゆえに、「金(所得)=消費活動=文化(趣味)」という図式ができあがります。

実際の例を考えてみましょう。下記の質問にこたえてください。

好きなオペラ歌手は誰ですか?  
よく美術館にいきますか?
最近買った高級ブランドは?
保護者は本をよく読みますか?
習い事に月3万以上かけていますか? 
出身大学は高学歴といわれる一流大学ですか?

全部こたえられるあなたは恐らく上流階級でしょう。文化を良しとし、育むことができる環境がないと答えることはできません。
同じように文化の嗜好によって、当然接触メディアが変わり、メディアの視聴者の社会階層までかわっていってしまうんです。

必ずしも中流階級は、中流階級の文化だけを好むわけじゃない

しかしここで重要ないくつかの動きがあります。

中学生が少し上のハイティーン向けの雑誌を読むように、中流階級の人間は上流階級にあこがれ、上流階級の文化を称賛するという傾向があります。
当然ですよね。
だって上流階級に足をふみいれるきっかけとなるわけですし、人は皆より楽な生活を求めますから。

このことを広告のコピーにいかすとどうなるでしょうか。

例えば、
一泊10万もする高級なホテルの広告のコピーを考えるとき。

やはり一番購入する確度が高い富裕層に広告をだしたいですね。
このようなホテルに気軽に泊まれる方が接触する場所、会員制のクラブや銀行、空港、大企業が入るビルに広告を置くといいのかもしれません。
上流階級といわれる彼らは、お金よりもそこで得られるホスピタリティ、そして祖父の世代から使っていたという理由などから宿泊場所を選ぶため、広告の内容も、おじいさんやおばあさんをいれて家族で使うイメージになるかもしれません。

しかし、一方でその「ステータス」にあこがれる中流階級がいます。
そういった人には、結婚式場などで記念日割りなどの価格訴求と一緒に、夢を買える訴求でうつのもありですね。
正しくそこに泊まりたい、上流階級の生活様式を体験するという一日を買うことになるためです。

以上のように、ペルソナを設定する際、文化資本という軸を置くことで、ペルソナの縦軸の深みをもたせることができるのです。

おわりに

かなり端的に、誇張してかいてしまいましたが、大枠としては外れていません。(本当は文化的再生産のはなしもしたいのですが、詳しくはブルデュー先生の本を読んでください)

社会学では超絶有名な先生で、いろいろと批判もありますが、高学歴な子供は高学歴な家庭から誕生しやすいことを統計で証明をするなど、かなり革新的なことをしました。
また日本ですと苅谷剛彦先生の『学力と階層』という本もあります。特にインセンティブ・デバイド(意欲格差)は、高学歴ではないやつは勉強する努力をしなかった怠惰な人間という考えに一石を投じた、大変興味深い本です。

ネットにいろいろなまとめが転がっているので、是非ご参照ください。

ではまた、社会学の基礎のキを、広告交えてご紹介します。


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補足の補足

はい、まじめな話し終了です~以下は予防線というか、蛇足です。

「ていうか、そもそも社会学ってなに?wwww」
産業革命がおこったとき人口が都市に集中し、社会構造が複雑化することによってもろもろの問題がおこりました。それらを統計などで証拠交えて説明し、何らかの法則を発見しようとする学問です。
心理学、経済学、文化人類学、教育学、政治学、情報工学、言語学など色んな学問をいいとこどりをしようとした学問で、ぶっちゃけ歴史浅いっす。

「えwwww一体何の役にたつのさwwww経済学こそ最強wwwww」
即効性はありませんが、確実に役立っています。というか、世の中に絶対必要な学問です。
日本で一般知名度が高いところだと、「婚活」などの言葉を生み出した山田昌弘先生が正しくこの社会学にあたります。こういう統計などを交えたそれこそ「行政」にもかかわるところなので、政治家やったり、ジャーナリストやったり、小説書いたり社会学を学んだ人が色々なところでがんばっています。

「知らんし」
大学時代に勉強したっきりっですが、ぼちぼち再度勉強と、啓蒙活動を進めていきます。どうぞお付き合いください

「おま、参考文献かけや」
すんません、図書館が遠いです。工数かけられませんでした。

「ホテル業界はそんなんじゃないっす。広告分かってますか?」
リスティング屋なもので高価格帯の商材をあまり扱っていないので、わかりやすいホテル選びました。あくまで例です。

「上流階級上流階級ってお前は差別主義者か」
学問で使う呼称なので、切り離してお考えください。社会階層を、その人間が差別主義か否かで感情的に論じるのではなく、実際におこった格差社会はどのように発生してしまったのか、何がこの構造を支えているのかを学者達は論じてきました。同じくここでも個人的信条とは離してここでは記載しております。

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