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入場料を払ってでも行きたい本屋さん「文喫」にいってきた。 #サガコラム

12月にオープンした入場料のある本屋「文喫」に行ってきたので、その報告です。
結論からいうと、入場料として1500円はかかりますが、定期的に通いたいな、と思う場所でした。

本屋半分ほどを占める大きな吹き抜けのエントランス、少し入れば右手にはホテルのフロントのようなカウンター。
なんというか図書館やホテル、もしくは駅のホームを思わせるつくりになっています。
カウンターで入場料を払うと、奥の有料コーナーにはいれます。
そして、階段を上ってすぐ右手には喫茶室。ここで飲み物や食べ物を頼めます。(ちなみにコーヒーと煎茶は無料)

靴を脱いでクッションに身を沈めながら本をよめたり、
図書館の閲覧室のような、書斎のような場所もあり、
無料のWIFIや電源もあるので、パソコンを開いて作業をしながら本を読むことも可能です。


詳しい店内の写真などは、こちらのレポートなどが参考になります。

いろいろ本屋をうろついている私ですが、ここの本の並びはそこまで特徴的ではないですし、蔵書量が特別多いというわけでもありません。

感覚ではありますが、広い分野を抑えつつちょっとメインから外れるような選書のセンスを感じます。
そう、例えば宮沢賢治の本があったら銀河鉄道ではなく、宮沢賢治詩集があるような。そういう外し方をした本がある感じ。

あえていうなら、TSUTAYA書店から自己啓発系とビジネス本、そしてディスプレイ用の家具と化した本を排除したようなイメージ。

「誰が買うんだよ?」みたいな本はなくて、「誰か買うんだろうな」という本ばかりが並んでいます。

そして全く期待していなかったのですが、とってもご飯が美味しい
なんでこんな居心地いいんだ?と思って調べてみたら、こちらSoup Stock Tokyoや100本のスプーンを持っているスマイルズさんがプロデュースしていたようです。

業態開発からロゴデザイン、店舗設計、飲食プロデュースに至るまで担当とのこと(……なるほどね、そりゃ居心地がいいはずだわ)

居心地がいいポイントのひとつにこのお店の設計もあります。

本棚や喫茶室がある有料フロアは、底があげられたスキップフロアになっており、外からは本棚が見えず、中からは外を歩く人たちの無用な視線にさらされることはありません。

人数制限がかけられた適切な広さの中で、本当に腰をおろしてじっくり本に集中することが可能なのです。

また、普通の本屋だったら、スペースにできるだけ本を詰め込むとおもいます。しかし、なんと文喫はその敷地の半分を本以外が占めています。

なんというか、森岡書店の森岡督行さんの思想に近いものを感じます。
本の数を揃えることでは普通の本屋はamazonにかなわず、ユーザーは「○○の本がなかった」という体験をしてしまう。
そうではなくて、限られた場所でこそ「○○という本であえる」という意味の転換を行っているそうです。(これはTakramCastで言っていたことの受け売りなので元の内容を参照してね! )
※森岡書店さんいついてはこちらを参照
※意味の転換(意味のイノベーション)については、こっちを参照 

運営会社たるLIBROさんと森岡書店さんとの関係値がちょっとわかりませんが、文喫内で展示もしていたので、きっと仲がいいんでしょうね。

と、まあとにかく、計算?デザイン?されつくされた本にであるための場所でまったりしてきた次第です。

土曜日でしたが、いる人はビジネスマンっぽい人、ファッション系っぽい人、カップルデートっぽい人、普通に本を読みに来た人などがまったりと本を選んでいたのが印象的です。

そう、店内にいるのは1500円払ってでも本屋にはいりたい、本屋で出会いたい人ばかりなので、うるさい話声もしないし、丁寧に本を扱うし、本当に最高の場所だったんですよ。

土日とはいえ満席でしたし、きっとこの入場料をとる本屋は今後も店舗数を増えるんじゃないでしょうか。今度本好きの友だちにおすすめしようと思います。


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追伸
ちなみに今回であえた本は以下。


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