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ハンドメイドダイスをエポキシレジン液で作るキット(23年版)・説明書

この記事は、サークル骰遊記さいゆうきで販売いたしました、ハンドメイドダイスをエポキシレジン液で作るキット(23年版)の説明書です。
キットのお買い上げありがとうございます。


キット内容とその他必要なもの

キット内容

  • シリコン型(蓋・本体セット)…1個

  • エポキシレジン液…A剤100g2個 / B剤80g1個

キット外で必要なもの

  • ティッシュやキッチンペーパーなど、汚れを拭いて捨てられるもの

  • 使い捨て手袋や指サックなどの手指保護具

  • 紙コップなど、使い捨て容器

  • 使い捨てカトラリーやアイススプーン、コーヒーマドラーのような、しっかりとかき混ぜるのに使える棒状の道具

  • はかり(0.1gまで量れると良い)

  • タイマー

  • カッターやハサミ

  • 数字塗り用塗料と道具(アクリル絵の具など)

できれば用意したいもの

  • 着色剤やグリッター・ラメなどレジンに混ぜるもの

  • つまようじや歯間ブラシなど、長細くて使い捨て出来るもの

  • (室温が低い場合)使い捨てカイロ

制作の前に知るべきこと

  • 硬化前のレジン液を皮膚につけない

  • 操作・硬化中は換気をする

上記に気を付けて制作して下さい。
エポキシレジン液は皮膚、目、気道に軽度の刺激を引き起こす可能性があります。
作業中はビニール手袋や指サックなどで手指の保護をしましょう。もし皮膚についてしまった場合、流水と石鹸でよく洗い流して下さい。
作業中・硬化中に揮発する成分で気分が悪くなる場合があるので、換気の良い場所での作業をしてください。必要な場合、保護メガネ、マスクなども有効です。
完全に硬化した作品は、触っても身につけてもアレルギー等の心配はありません。

制作手順

レジン液を混ぜる→型にレジンを入れて蓋をする→待つ→出来上がりです。

手順補足

1:レジン液を混ぜる

本製品のエポキシレジンはA剤(主剤)とB剤(硬化剤)を混ぜると化学的に結合して硬化します。
配合比は重量比でA:B=2:1です。
30gのレジン液が欲しい場合はA剤が20g、B剤が10g必要です。
(一度容器から出したレジンは元のボトルに戻さないで下さい。2剤を混ぜない限り硬化は始まらないので、出しすぎたら蓋のできる別容器に取っておきましょう)

A剤とB剤を上記の通りきちんと量って、1つの容器で混ぜ合わせます。
5分間、タイマーで測ってかき混ぜるようにすると失敗が少ないのでおすすめです。容器の壁面や混ぜ棒に付着した、偏った成分で失敗する場合もあるので、混ぜ残しがないようにしっかりよーーーく混ぜます。

※室温が15度以下の場合※

A剤のみ、30度程度に予熱してから混ぜると扱いやすいです。きっちり蓋をして(開封済みの場合は念のためビニールなどに入れて)使い捨てカイロなどで温めます。

着色剤やグリッター・ラメなどは、上記調合が終わってから混ぜます。
着色にはレジン用着色剤や、食紅、アクリル絵の具などが使えます。着色剤を加えすぎると硬化しにくくなる場合がありますので程よくやってください。

2:型にレジンを入れて蓋をする

エポキシレジンは、「可使時間」という概念があります。
2つの液を混ぜた瞬間から科学的な結合が始まりますが、可使時間は結合が進んでおらず、まだ液として扱える時間を指します。結合が進むと水のようなサラサラ粘度からはちみつ、飴のような粘度に変化していきます。
本製品の可使時間は室温25℃下で1時間です。

1時間の間に、型に入れて蓋をするまでを実施したいのですが、2液性レジンは前段階で一生懸命混ぜているので、液がたくさんの気泡を含んでいます。
そのため、型に入れる前に、レジンを放っておきます。温かい室温だともっと早いと思うんですが、15度の室温でおよそ10~15分程度放っておくと、気泡がかなり抜けました。不思議。

せっかちな例。硬化時に液の中にあった気泡が表面に浮かび上がって、穴の開いたように硬化しています。

レジンは硬化前と硬化後で体積が若干減ります。型ぴったりに注ぐより、少しだけ多めに注いだ方が良いでしょう。注いだ後、爪楊枝などでダイスの辺、頂点、文字を一通りなぞると、気泡対策として更に良いです。

2:型のガイド通りに蓋をする

蓋側の文字にもレジン液を塗ってから蓋をします。蓋側の数字に気泡が巻き込まれにくくなります。

レジン液が多い分にはあとからバリとして切り取れますが、少ないと修正は難しいです。
蓋をするときは空気を巻き込まないように斜めに蓋を乗せ、端から徐々に空気を逃がしながら合わせていき、最後に上下の型がぴったりと張り付くイメージで合わせるのが理想です。

3:待つ

後は待つだけです。
時間ですが、工場によると25℃下において初期硬化は10時間後、完全硬化は14-16時間後となります。

エポキシレジンのいいところは、大きい作品や厚みのある作品をつくれるところにありますが、反対にレジンの量が少ないと硬化が遅いという特徴があります。また、硬化時の室温が低いと硬化が遅くなります。
つまり冬のダイス作りは少し時間がかかることを念頭に置いていただいて、個人的な実験では室温10~15℃で大体2日半ぐらいかかっています。
もう少し早くならないの?という場合は、お菓子の空き箱のようなものを用意していただいてその中にレジンを入れたシリコン型を入れます。そして箱内側の天井部分に使い捨てカイロを貼り、蓋を閉めて待ちましょう。
これで硬化がだいぶ早くなります。
カイロを直接モールドに置いてしまうと、加温のし過ぎで逆に気泡が発生する可能性がありますので避けましょう。

4:型から出す

蓋を外し、ダイス表面がカチカチになったことを確かめてから脱型します。
目立つバリをつまんで取り、モールドを揉んで、ダイスとモールドの張り付きを緩め、裏から押して出します。出しにくい場合はダイスとモールドの壁の間に消毒用エタノール(手指消毒アルコールで十分です)を吹いて、少し揉んでなじませてから押すと気持ちよく脱型できます。
型が古くなってくると作品にくっついて取れなくなることがあります。

5:数字を塗る

アクリル絵の具などがおすすめです。
数字付近を雑でよいので塗り潰してから拭うと、数字の着色だけ残ります。
この作業で伸びて面に残ってしまった絵の具は、乾いた後にウェットティッシュや消毒液を含ませた綿棒などでごしごし拭うときれいになります。

こんなときどうする

硬化しない・べたつく
AとBの分量を間違えると硬化しません。しっかり秤を使って量りましょう。硬化剤(B)を多くしても効果が早くなることはないです。
また、AとBの混ぜ方が不完全だと、硬化後柔らかく、べたつくことがあります。
分量を量ったうえで硬化しない場合は、使い捨てカイロの方法を試してください。硬化が遅いだけであれば最長1週間もすればつるつるカチカチになります。気長にチャレンジしてみてください。

白い霧のような層ができる
室内の湿度が高すぎる可能性があります。85%以下の湿度の場所で制作してください。

欠ける
特にD4先端、数字の6や8の丸部分などに出やすいです。レジンを流した後、硬化前に爪楊枝などでなぞって気泡をつぶす、掬い取るなどしておくとよいです。

気泡が気になる
気温室温の低い時はレジン液の粘度が上がります。もったりした物体は空気を巻き込んで気泡をつぶれにくくします。A剤のほうを加温してサラサラにしておく方法を試しましょう。
どうしても表面の泡がつぶれない場合は、消毒用エタノール(手指消毒アルコールで十分です)を表面に一吹きすると表面張力が壊れて泡が消えます。
なお、同様に表面張力を壊す方法として、火で表面をあぶるというライフハックがありますが、本品に対しては実施できません。

型が壊れた、白っぽくなってきた
シリコン型は消耗品です。作ったものを剥がして取り出す作業の中で表面が荒れ、徐々に次の作品に影響が出ます。
限界が来ると型の端っこや数字など、薄くて弱いところから壊れがちです。

このキットのモールドですと、早ければ4回、頑張ると8回程度のショットで不具合が出ます(個人調べ)。対策としてはレジン液を流す前に「シリコン離型剤」をスプレーする方法か、型から取り出す際に隙間に消毒用エタノール(手指消毒アルコールで十分です)を吹いてから揉んで無理せず出す方法で、型の寿命が少し伸ばせます。
また、白っぽい・黄色っぽいの差はありますが、弾性がなく、硬くなってきた場合は寿命です。
型が壊れたけど新しいのを作りたい?それでは新しいのを買うか、自分でシリコンモールドを作りましょう。自作ダイス沼へようこそ。

予想される反応やご意見

レジン液の説明書に訳ありって書いてあるけど?
はい、23年11月末に弊社の新商品でエポキシが出る予定で入荷したんですが、着荷してみたら容量に問題がありまして…A剤200g・B剤100g充填されてくる予定が、A剤200g・B剤84gだったんです。なので200:80と称するために急遽訂正シールや説明書の刷り直しやらやって、まだバタバタしています。
純粋に容量だけの問題なので、今回は申し訳ないですが訳ありと冠したものになります。なので本キットはちょっとだけA剤が余ります、すみません。

気泡むかつく
わかる(わかる)。真空脱泡や加圧脱泡という、いろいろなワザマエがあります。レジン液の種類にもよりますが、突き詰めると沼ります。
事前に液を温めるのが一番良いです。
表面の泡だけでしたら消毒用エタノールを吹きかけることで表面張力が弱まって割れてくれます。液内部の泡はなかなか割れません。

でこぼこ、ざらざらの箇所ができた
紙やすりを使うと何とかなります。粉が出ますので、耐水ペーパーで水研ぎしましょう。最低で600手番ぐらいから始めて徐々に手番を上げます。
最終手番が2000番だとマット仕上げ、2500番までやってからポリッシングペースト(手に入りやすいものだとピカールなど)を使って磨くとつるつるのガラス風仕上げです。百円ショップでも確か2000番までは手に入るはずです。その先はホームセンターへ行きましょう。
海外のハンドメイドダイス製作者の間ではZona Paperと呼ばれるアメリカの不織布やすりが人気です。一度使うと良さがわかります。本当にめっちゃいい。でも日本で買うと結構高いんですよね。
研磨も、突き詰めると底なし沼です。いらっしゃいませ。

レジン使い切っちゃったので同じレジン欲しい
あるよ(ダイマ)

もちろん同じレジンでなくても大丈夫です。

このモールドで作ったダイス、売っていい?
問題ないです。封入品のIP、知的財産権には気をつけてください。

完成したダイスのバランスについて
何も封入物を入れずに、バリも歪みもなく完璧に作成できればバランスは問題ないはずなのですが、手作りという特性上どうしても気泡とか封入物の位置とかで厳密ではなくなってしまうと思います。
この点ご理解いただけると幸いです。

あとがき

ハンドメイドダイスをエポキシレジン液で作るキット(23年版)・説明書
1版 2023.12
書いた人:サガミハラ (https://twitter.com/sagamihara)

初めまして、この度骰遊記さいゆうきという個人サークルを始めました、サガミハラと申します。
本業でレジン手芸用品などを売る傍ら、ハンドメイドダイスに興味があり、いろいろ試しています。
提携しているシリコン工場でダイスのモールドが売られているのを見て、ダイス作りを布教したくなり、このセットを作りました。
楽しんでいただけたら幸いです。
不明点がありましたら直接Xなどで頂ければ知り得る限りお答えします。
改めて、キットのお買い上げ、どうもありがとうございました。
不具合等ございましたら、購入後1か月以内にご連絡いただけますと幸いです。

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