UXエンジニアとは

UXエンジニアとは - UX Engineer Meetup登壇後記 -

先日のUX Engineer Meetupでプロトタイピングの話をしました。懇親会での話やツイート、ブログなどを見ていると結局「UXエンジニアとは」を気にしている人が多い様子だったので、自分なりの考えを書いてみます。

はじめに結論

UXエンジニアという言葉に明確かつ具体的な定義はありません。

UXという1つの言葉に5つの階層があり多義的な以上、UXエンジニアも多義的だからです。自分なりに広く定義するなら「エンジニアリングを軸としながらデザインの力を掛け合わせ、より良いユーザー体験を実現する人」です。なお、デザインという言葉も広義の意味で捉えているので、まあ広い定義です。

ただ、僕自身2年以上UXエンジニアと名乗って複数社で働いていたり、世の中にUXエンジニア的な人が増えて色々な事例も生まれていることから、自分なりの考えはだいぶ整理されてきました。

なぜUXという言葉を使うのか

時々、UXなんて曖昧な言葉は使うべきではないという言説を目にして「うっ」となることがあります。実際僕は「UXデザイン」「UXエンジニア」といった言葉以外でUXという単語を使うことはほとんどありません。議論したり文章書く上では、具体的な言葉を使用した方が建設的になるからです。

ただし、UXという言葉自体を否定しているわけではありません。UXという言葉がここまで普及したのは、何らかの理由があるはずです。

以下のスライドがその理由を説明しています(p10 - 18)。UXという言葉は守備範囲が広い分、強制的に視野を広げ、点ではなく線でサービスの体験を考えさせる力があります。そのような言葉は他になく、多くの人に刺さったからこそ、ここまで普及したのだと思います。

なぜUXエンジニアになったのか

理由は大きく2つありました。

iOS Developerという肩書で働いていたが、iOS以外のこともやるようになり、違和感が出てきた。
もともと技術自体が好きというよりは、サービスが好きで、その設計を考えるのが好きだった。より良い体験を実現するために、これまで培ったエンジニアリングスキルを使いたかった。また、UXデザインもやっていきたかった(ある程度はできるという自信もあった)。

上司に相談した上で、当時ではじめていたUXエンジニアという肩書が一番マッチしていると感じて、UXエンジニアになりました。今もUXエンジニアという肩書は気に入っていて、現時点で変える気はありません。

なぜデザインエンジニア/デザインテクノロジストにしなかったのか

だいぶ主観ですが、デザインエンジニアという肩書の人をみると、エンジニアとしてもデザイナーとしても1人前に働ける人というイメージがありました。僕はワイヤー描くぐらいはできても、ビジュアルデザインまではできなかったので、デザインエンジニアと名乗るのは気がひけました。

また、よりユーザー指向でいたいなという思いもあり、ユーザーと言う言葉が入ったUXエンジニアを選びました。

デザインテクノロジストに関しては、そもそも言葉を知らず選択肢にありませんでした。

UXエンジニアの役割

UXエンジニアの役割もおぼろげな輪郭はあるものの、バシッと決まったものはありません。なぜならば、より良いユーザー体験を実現するためにやるべきことは、サービスの性質やプロジェクトの状況、チームメンバー、組織のカルチャーなど、様々な変数によって変わるからです。

クライアントワークのころは、品質に効くのは結局プロジェクトマネジメントやなーと思ってそのへんを頑張ったり、決まったスケジュールや仕様の中で積み重ね型のプロトタイピングやパフォーマンスチューニングを行うことが多かったです。

いまは自社サービスの会社かつデザイナーとエンジニアの境が比較的小さい環境で働いていて、Figmaでデザインしたり使い捨て型のプロトタイピングをしたりしています。

役割は曖昧だが得意領域は見えてきた

環境によってやることが変わるとはいえ、より良いユーザー体験を目指しているのは変わりません。UXエンジニアが徐々に増えて、色々な実績が発信されたことで、得意領域は見えてきました。いずれもエンジニアリングとデザイン双方の知識を持っていることが活きてきます。

1. プロトタイピング
↑に上げた2つの資料ではプロトタイピングについて話しています。使い捨て型の方はエンジニアリングを駆使したデザイン行為であり、エンジニアリングとデザイン双方の知識があるからこそできることです。ただ、ソフトウェアで実装レベルのプロトタイピングをした事例は少ない印象です。

2. デザインシステム
ここ数年で多くの事例がでて、成果物としてもわかりやすいため、プロトタイピング以上にUXエンジニアの得意領域としてイメージしやすいのではないでしょうか。一貫性のあるデザインをスケールするために、デザインシステムは欠かせません。特に大規模サービスでより良いユーザー体験を継続的に届けるために重要です。

得意領域になりそうでなれてないもの

a. 情報設計/OOUI
バックエンドが得意なUXエンジニアもあり得ると思っています。キーとなるのは情報設計/OOUIやデータのモデリングです。ただ、プロセスやアウトプットの違いがわかりづらいからなのか、バックエンドとデザインの距離が一見遠いからなのか、UXエンジニア的な文脈にはのってきてない印象です。

b. マイクロインタラクション/アニメーション
昔は実装するしかなくてエンジニアの腕の見せ所だと思っていたのですが、デザイナーが使うアニメーション系のツールやlottieの登場により、それらを使ったほうが早く良いものを作れるようになりました。ただ、ジェスチャを伴うマイクロインタラクションは依然としてUXエンジニア的な人の腕が重要だと思っています。

c. デザインとエンジニアリングをつなぐツールの開発
lottieという良い事例は出たものの、それ以降いい感じにデザインとエンジニアリングをつなぐ事例は出てない印象。サードパーティがどうこうできる領域は小さく、FigmaやSketchといったデザインツールを作っている会社や、Xcodeなどの開発ツールを作っている会社でないとインパクトのあるものは作りづらいのかもしれません。最近だとSwiftUIとか。

d. アクセシビリティ
アクセシビリティあまり詳しくないのですが、こちらの資料をみたらデザインとエンジニアリング双方のスキルが活きそうな領域だと感じました。今後UXエンジニアの得意領域になってくるかもしれません。

むすび

UXエンジニアの僕なりの定義は「エンジニアリングを軸としながらデザインの力を掛け合わせ、より良いユーザー体験を実現する人」です。今後より多くの事例が出たり、世の中が変化していく中で、もしかしたらプロトタイプエンジニアやデザインシステムエンジニアといった言葉がメジャーになるかもしれません。言葉は生き物なので、時の流れでなるようになるぐらいに思っています。

それでもエンジニアリングとデザイン双方の知識を持った人の価値や活躍の場は増えていくと信じているので、僕はUXエンジニアとして働いています。


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