見出し画像

日記(お客さんに電車が好きな人がいて

 週に一度だけある休日はどうにか楽しもうという気持ちでいる。

 本来やらなければならない事と楽しみたい気持ちを天秤にかけ、とりあえずやらなければならない事を片付けてしまえばいいのに、心の負債を溜め込みつつ楽しもうとするから良くない。勤労だけでいっぱいいっぱいだ。早く納税(確定申告)の義務を果たし、教育(家庭)の義務も果たして日本国民として正しい人間になりたい。

 お客さんに電車が好きな人がいて、その人は写真も撮る人で「いわゆる撮り鉄も種類があって、電車の細部がきちんと写っていなければいけない派閥もあれば、電車はシルエットだけでもよくアートに寄った派閥もあるんですよ」とのことだった。へぇ。

 出発進行だ。ちょうど吉祥寺に向かう電車内でその話を思い出して、各駅停車に乗ったこともあり先頭車両でカメラを構えることにした。

 その日は雨で私のカメラは暗い環境に弱く、遅いシャッタースピードをカバーするため筋肉を硬直させ膝で電車の振動をいなし、何かいい瞬間はないかキョロキョロと視線を動かしシャッターチャンスを狙う。
 なるほど。こうして不審者が生まれるのかと思った。しかしここは東京。どんな不審者も加害性がうかがえない限り無視される暖かい街。サンキュー東京。

 井の頭線の車窓から。ぼんやり眺めていると、人それぞれの営みを垣間見ることができて愛おしい気持ちになる。愛おしい?無条件の美しさのようなものを感じる。

 働く姿は美しい。彼らもまた、勤労の義務と納税の義務を同時に果たしている。素晴らしい。

 ドッと乗車する人が増える駅はどの路線にもあるもんで、先頭車両の先頭は譲ることにした。景色を見るのは楽しいよねぇ。私は楽しんだよ。顔が写らない配慮はしたつもりだけれど、   。
 人の営みが好きな私としてはスナップ写真、街中で知らない他人を撮る行為は好きなんだろうなと思っている。しかしながら最近の時勢を考えると自制すべきことなのかな?とも思う。でもそんなちいせえ事を考えたら写真は趣味にできんかと威勢のいいスタンスで行こう。

俺にとっては、全部圧迫面接。

 吉祥寺はわりとちゃんと雨が降っていた。仕入れと称して好きな紅茶屋で散在し、ゆるくなった財布の紐はそのままに新しい鞄とカメラグッズを買い足してしまった。

 夜までゆるくなったままの財布の紐。居酒屋でお金を酒に変えてしまった。傘さしてでも煙草は吸いたいみたいだし、記憶があいまいでも酒の場では楽しみたいのだ。

 このところ慣れて来たのかウチの子(sigma dp3 quattro)で暗い中撮るのがうまくなった気がする。なんとも愛おしい良いカメラだなぁ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?