情報を得る力よりも見分ける力を養う
情報収集の方法を見直そうと思ったきっかけはFacebook。
Facebookを使う人は、大きく分けてこの3つのいずれかに分類される。
・仲間自慢
(サークル、グループ、会社、恋人、家族、子供)
・脳内自慢
(時事や政治などへの持論演説)
・稀少自慢
(男→金 女→美貌)
自己肯定感は、人が生きていく上で必要不可欠なので、こういったことが悪いとは全く思わない。それで満たされるものがあるなら、大いにすべきである。
ただ、これを見てなんの得があるんだろうと思った。
Facebookは言うなれば自宅の庭。あるいはベランダ。気に入った客だけ招き入れて、そこで繰り返される自慢と演説。これ見る必要ないなと。
なのでアプリを捨てた。そこから5年経つけど、何ら支障はない。
Yahoo!ニュースだとかグノシーだとかのニュースアプリも一切入れていない。
Facebookは単純に世界観が気持ち悪かったからという理由だけど、ニュース系アプリも全部切ったのは、僕の意志が弱いから。それを誰よりも僕が一番知っているから。
クソの役にも立たないような、くだらないゴシップを延々見ちゃうのが私。Facebookも、なんだかんだ言いながらも観ちゃってた自分もいたわけで。
こんなの見てもしょうがないと頭でわかっていても、目に入れば必ずタップする。だから初めから入れない。なので、ニュースアプリは全部捨てる。
池上彰さんや佐藤優さんも似たようなことを発言されてる。仕事の合間に見て、つい余計な記事も見ちゃうと。
「誘惑に負けたこと、一度や二度はありますよ」と。
ちなみにお二人は、まとめサイトは絶対見ないって。まあさすがにあれ見てるビジネスマンいたらやばいけど。
DaiGoさんも著書の中で、ゲームアプリをやろうとしてもすぐにはできないようにロックしたり、ゲーム用のスマホと仕事用のスマホを分けたりしてるとお話しされてる。
タップできちゃう情報ソースは、相当強い意志を持ってないと難しい。これだけの人たちでも、つい余計なもの見ちゃうわけだから、意志が鬼弱い私は、「入れない」という選択肢を取った。
LINEも、最近ニュースが表示されるようになったので非表示にした。Googleも、ホーム画面にニュースが出るので非表示設定に。
ゲームアプリも一切やらない。やったが最後、ずーっと猿みたいにやり続けて課金しまくるクソユーザーになることが目に見えてる。だから最初から入れない。
今はYouTubeのアカウントもブロックをしてる。
YouTubeに限らないけど、ネットでよく巻き起こるケンカという名のプロレスあるでしょ、あれもなんだか見ちゃうんだけど、ふいに、なにを俺は見せられてるんだろうと我に返る。
いや、これはTVじゃないから、自分で選んで見に行ってるんだった。
古代より人の関心を引くのは「性」と「暴力」である。
・性
エロ、セクシー、不倫、強姦・猥褻、ナンパ
・暴力
戦争、抗争、喧嘩、反社会的勢力、ブチギレ、凸
テレビもワイドショーもYouTubeも、数字集めるのはこのいずれかの要素が必ず入ってる。
僕は40歳を目前にして、自分がやってきた仕事術のまとめを書こうと思ってnoteを始めたわけだけど、この40歳という年齢を手前にして、なにを見ているんだろうと。なにに時間を使っているんだろうと。介護保険とかも払わなきゃいけない年になるというのに。
だからYouTubeも、楽しそうなアカウントから順にブロック。
佐藤尚之さん著『明日のプランニング』によれば、2007年の一年間で、人類がそれまでに書いた書籍の情報量合計の、約300万倍の情報が流れたという。
つまり、インターネットの情報というのは、これまで世間に流布していた情報量のそれとは、比べものにならない量の情報が溢れ出したってこと。
僕は意志も弱いし、学校の勉強もそこまで得意じゃなかった。
情報収集が巧みな人というのは、どこが重要でどのようにテストに出るかを、先生の話や教科書から取捨選択しながら要点をまとめていける人だと思う。
学校の勉強における情報収集が得意ではないような人が、これだけの情報社会の海を自由に泳げるとはなかなか思えない。
「情報弱者にならないぞ!」と、ひたすら情報を取りに行くことに躍起になって、溺れかけていることにも気づかず、浮き輪を投げられても両手が情報でふさがっていて、浮き輪を掴むこともできない。
「その手にしているものを捨てろ!」と救助隊が言っても、なかなか手放さない。情報に溺れて、自分が助かるためには浮き輪が優先だという情報が行方不明になってしまっている。
気づかぬうちに、そんな状況に陥っている人は、結構多いように感じる。
何かを手にするには、何かを捨てないといけないわけで、持ち続けることはできない。約1350gといわれる脳の容量にだって限界がある。
もっと言えば、なにか重要なものを放り投げられたときにすぐ掴めるよう、片手はフリーハンドにしておくくらいがちょうどいい。いつも両手が塞がっていると、突然ダイヤ放られても掴めない。
Twitterのデマ情報を拡散してしまって、それが嘘だとわかるや否や怒り狂ってる人も、情報収集には向かない。
このツイートにしても、
ちょっとカメラ知ってる人ならすぐわかることだけど、たいていの人がiPhoneで撮ったと信じちゃうわけで。
デマを流す人が悪いとは思うけど、信じて拡散する人にも責任の一端はあるんではないか。
このツイ主も、「見抜けないお前が悪い」といった主旨のリプライを飛ばしていたけど、それが日常的におこなわれているのが現代であって。
デマを信じて人に伝えて、嘘だとわかってそいつを叩く、そのイライラは日常生活にもしばらく影響を与える、この一連、全部丸ごと無駄でしょ。その時間ずっと道路でも見て歩いてたほうが100円とか見つけられるんじゃないか。
他にも、自分へのいいね数に一喜一憂したり、知ってる人のSNSを見てまた一喜一憂したり。ご丁寧に誕生日を自動でみんなに通知したりする機能もあったりするから、絶対ああいうのも入力しない。私は。
こいつはおめでとうと言ってるのに、こいつは言ってないとか絶対思いそうだから。そんなことで一喜一憂しながら40歳になりたくない。介護保険とか払わなきゃいけないんだから。
よく、「あいつの投稿見てるとムカついてくる」とか「リア充アピールしやがって」「また自慢かよ」と、表向きではいいねしておきながら、裏ではみんなそんなこと言ってるけど、僕は面倒臭そうなアカウントは全部ミュートしてる。目に入らなければなにも感じないから。
キモいリプライ飛ばしてくるのもいるけどミュート。相手は気づかないからタチが良い。
なにを見ても一喜一憂しない強い自分になれればいいけど、弱い自分は一喜一憂してしまうので、最初から見れないようにする。
テレビ番組に熱心にクレームを入れる人もいるけど、不快なら見なければいいわけで、SNSも同様、わざわざ不快な思いをするものを自ら見に行くことはない。見れないように設定してしまえばいい。どんどん鎖国する。
孫子の兵法にも、「情報を得る力よりも、見分ける力が重要である」という一節がある。
これだけ情報が流通していると、遮断しても情報はきちんと入ってくる。遮断しても入ってくる情報というのは信憑性が高い。あらゆるフィルターを潜ってきてるから。すると、こっちで精査する手間やコストが省ける。
忙しいビジネスマンや、情報収集が苦手な人へのオススメしたいスキル、それは「入れない」ということ。情報を遮断すること。これでかなり有用な時間が増えることが実感できる。というより、集中力がかなり上がる。
そんな、あらゆる情報を遮断してる僕が唯一仕入れてる情報ソースも、紹介しておく。
まず朝、NHKオンラインを見る。情報の裏取りがされているし、妙な芸能ゴシップもないので、時勢の大局はだいたいここでつかめる。ネットから仕入れる情報ソースは基本これだけ。
ニュースはテレビ東京のワールドビジネスサテライトだけ。
あとは本。書籍。
気になることは全部本から仕入れる。家でも電車でもスタバでもとにかく本。スマホなんか触るな見るな。本から学べ。
あとは、好きな人と会って、会話してればなにも不自由しない。そんな鎖国的な生き方で、情報やアンテナが肝になる広告の仕事を、何年もしてきてます。私は。
どうしても知りたい情報だけ取りに行けばいいんであって、無防備に情報が入ってくる状態にしておいたら、あっという間に情報の海に溺れて、なにも手にすることなく沈む。
現代の最強の情報収集術は、遮断である。
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