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随分小さくなっているけど樹齢250年と言われる「サツキ」は元気です。

ちょうど一年ほど前、初めて訪問した倉敷。今回は工房ひぐらしと赤穂ギャべ主催による展示会として、改めて倉敷デビューである。

アフターコロナ、海外からの旅行者も制限がなくなって、いわゆる通常運転ということだろう。僕が伺ったのは4月30日、5月1日のGW前半ということもあってか、身動き取れないほどの人混みもなく、ふらっと立ち寄る倉敷という感じで訪れることができる。

京都駅から新幹線(のぞみ)で岡山駅に着いて、そのまま在来線で倉敷駅に行くのも良かったのだけれど、「快速マリンライナー」という名前から車窓から海を見ながら進むのだろうと思って乗ってみるが、海は倉敷よりさらに先の話だった。ただ街中を進んでいく… 途中、茶屋町駅(岡山の)で降りて、バスに乗り換え、会場最寄りの東町で降りる。遠回りをした気もしたが、京都からおよそ2時間ほどで到着する。

茶屋町から東町に入るルートは、表玄関である倉敷駅からの商店街や美観地区を通らないので完全な裏口なんだけれど、展示会を行う会場が「奥倉敷」と呼ばれるエリアでもあったので、新たな風景を求めて選んだルートはどこにでもある田舎の雰囲気、ノイズも少なく穏やかな心持ちになるにはちょうど良い時間を過ごせた。

(京都では雨が降っていたので傘をさして出発だったが、晴れの国おかやまには折り畳み傘で事足りると後から反省している…)


はしまや(楠戸家)

はしまやの路地(前回も撮影した光景)

はしまやの路地。この先に「atelier & salon はしまや」と「静壽堂」と、楠戸さんのお住まいがある。

前回は初めて訪問する倉敷ということもあって、いろんな新しい体験もあったが、今回は展示会として滞りなく当番をこなして、赤穂緞通と赤穂ギャべのご案内をさせていただく。岡山在住の織り手の方々も当番に参加されているので、僕は雑用としてお手伝いする感じだろう。赤穂ギャべは規定の商品として展開しているだけでなく、織り手のそれぞれの織りたい図案・配色で織られる商品(作品とも言う)もあるので、織り手が接客することで得られる体験は、織り手にとっては今後の制作にも良い作用が働くのだろうと思っている。ありがたいことです。

会場「Art Space はしまや」では、旧はしまや呉服店の店先と二つの和室を用いて展示を行った。いわゆる展示会場としての設備は整っていないのだが、そんなことは来場される方にとっても、旧はしまや呉服店の空間を楽しめるという体験も価値になっているのだと思う。最近、そのような会場の使われた方は多くなっているのだと思うし、今回のように会場自体が価値(文脈)を持っている場合は、細かい設備や不便な仕様はそんなに気にすることではない。

実際、僕が担当していたのは二日間で、初日は晴れの岡山にしては、珍しく雨上がりの曇天で少し肌寒い条件であったが、倉敷市の登録有形文化財になっている楠戸家。はしまや呉服店としての機能していた土台で商品を展示しているのだが、土間エリアは靴のまま、手前の小上がりは土間から展示を見ることもできるし、靴を脱いでいただければ間近で手に取っていただくこともできる。同じく正面奥の和室も同じような設え。左奥の和室は表からは展示は見れないので、靴を脱いで上がっていただくのだが、二つの和室の奥はどちらもガラス窓になっており、楠戸家の中庭が正面に見える。

中庭には樹齢250年と言われる「サツキ」が植えられているのだが、数年前にその寿命を全うしそうになったらしく、今は、樹木の負担を減らすように大きく剪定され、枯れることなく、復活しつつある様子が伺える。ちょうど訪れたタイミングだと、開花時期は少し早いのかもしれないが、一輪だけが咲いていた。半世紀もすれば元の大きさに戻るのだろう、子孫に託される家財の1つだろうね。

…光の入り具合が無駄なんだが、今の中庭のさつき


ところで、はしまやの家紋(ロゴ)は丸に「と」と書かれているんだが、家人に聞いてみると、初代当主の名前からとったと言う。楠戸徳吉(とくきち)の「と」だと言うことです。

楠戸徳吉(とくきち)の「と」



展示会概要

Art Space はしまや

岡山県倉敷市のArt Space はしまや(旧はしまや呉服店)にて、「和の色と柄」をテーマとした赤穂ギャベを中心に展示会、赤穂緞通(古作)とのコラボ展示もご覧いただけます。

■会期:
2023年4月28日(金)~ 5月4日(木・祝)
各日11時 ~ 17時(会期中休み無し)

■会場:
Art Space はしまや(はしまや店先)
〒710-0053 岡山県倉敷市東町1-20
https://hashimaya.com/art-space/
入場無料

■主催:
赤穂ギャベ、赤穂緞通工房ひぐらし


余談:倉敷

初日のランチは前情報もなく、美観地区内にあるカフェでとったんだけど、可もなく不可もなくであった。そして、その日の夕食は倉敷駅近くの「寿司和食 しば田」の夜の定食はリーズナブルな魚介が美味い。二日目のランチは岡山在住の方のおすすめもあって、美観地区にある「あちの郷 つね家」を訪問。出汁が効いたおばんざい定食という感じであったが、想定以上に美味い。


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