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minneによる綿糸の販売を2021年7月末で一旦休業。

赤穂ギャベでは、綿糸でつくる手織りの椅子敷きを制作しており、「織る」という行為自体も大切にしたいと考え、ワークショップ、研修生、綿糸の販売もサポートしている。

その一つ、綿糸の販売窓口としている minne による販売を2021年7月末に一旦休業することとなった。


僕が赤穂ギャベの事業に深く関わり始めたのは2019年ごろからで、もともと赤穂緞通の織り手の有志が集まって始まった事業だ。

赤穂緞通とは鍋島緞通、堺緞通と共に日本三大緞通とも呼ばれ、明治から昭和初期までの数十年間、兵庫県赤穂市の地場産業として賑わい、ハレのしつらいとして富裕層が買い求めた1畳サイズ(およそ 950x1900mm)の敷物。今日では小規模ながらも赤穂緞通に魅了された織り手が個々に工房を営み日々研鑽されている。

赤穂ギャベでは、赤穂緞通で培わられた技術に柔軟な発想を取り入れて、今の暮らしに合うような敷物を織り手に作っていただくんだけれど、制作環境の負担を下げる試みとして、中型、小型、木枠式と機自体も模索しつつ、材料である綿糸も少し特殊であるため、独自に原糸を調達し、染工程、合糸工程を経て、制作しやすい状態まで整えて、織り手が調達しやすいように販売も運用しているのだが、その窓口のひとつであるオンラインを一旦休業する。



赤穂ギャベで用いる綿糸とは

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10番手の綿糸を12本合糸に仕立て直している。手織りの椅子敷きなど結び織り(ノッティング/ハセ工程)の色糸として使っていただくのに適した状態。

※「ハセ」とは赤穂緞通の用語で経糸に糸に挟み込んで結んでいく工程(ペルシャ結び)を「糸挟せ」(いとはせ)」と呼ばれてます。

・10番手の綿糸
敷物としてある程度のしっかりした印象になっているが、ハセ工程を行う際にも扱いやすい太さでもあるんだと(個人的には)思っている。

・撚糸はしない
一般的な糸は強度を上げるために撚りを施しているんだけれど、糸の製造工程で芯に巻くため多少捻った印象もあるがストレートの状態。

・合糸をしている
10番手の綿糸を12本に合わせて用意している。織り手が仕上がりに応じて複数の束にするなど本数を増やしてハセ工程を行う。

・オリジナルの色糸
化学染料と天然染料を実施している。どちらも原糸の状態で仕入れて精錬し染色している。色はスタンダードのものをベースに試行錯誤しながら増やしている。化学染料は安定した発色が出せ経年変化での堅牢度も高い。天然染料は個体差があるが、それ故の深みを生み出している。

・藍染する場合
原糸はチーズやコーンの状態になっているけど、紺屋さん(染め屋)にはカセにして用意している。


今ある課題や将来への展望

・原糸の仕入れ
日本は綿糸の多くを海外から輸入している。そのため、この感染症によって生産拠点が不安定となっていたり、新疆ウイグル自治区の人権問題も影響して、供給不足となるなど原糸が全体的に高騰しているようなので、仕入れのタイミングを見計らっている。

・国内での綿糸
僕らが扱う綿糸と国内の事業所の取り扱う綿糸との適性をすべて確認できている状態ではない。これは今後もご縁があれば検証する機会を作っていきたい。

・オーガニックも興味ある
特に海外での生産者の負担を軽減するためにオーガニック栽培で作られた綿糸を使ってみたい。こちらも僕らが扱う綿糸との適性をすべて確認できている状態ではない。これは今後もご縁があれば検証する機会を作っていきたい。

・残糸の扱い
衣料関連の縫製工場などで余った糸を使ってみないか?と声掛けいただくこともある。瀬戸内は繊維産業に関わる事業所も多く、隣接する岡山はジーンズのメッカだったりするのだが、多くの糸は撚糸が施されているので、少し悩ましい... 

赤穂ギャベを作っていく上でも中途半端に余ってしまう糸も出てくるんだけれど、これはこれでアソートしてまだら模様のような椅子敷きとして仕上げることもできるし、意外に面白みもある。

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骨董市で見つけた椅子に合わせて作った残糸の赤穂ギャベ


minne の再開に向けて

販売を始めると、通販という特性から赤穂ギャベの織り手以外の方からのお買い求めも多かった。お客様からお話を伺うと普段はウールを使ってノッティングとして敷物を作られている方もおられ、綿糸を使った敷物も挑戦したかったとのこと(おそらく倉敷ノッティングを作られているのだろうか...)。他にも赤穂緞通を所有されている方で傷んだ綻びを直すのに試してみたいということで、緯糸も含めてお買い求めいただいたりもした。

赤穂ギャベは製品としての椅子敷きを作るだけでなく、「織る」という行為自体も大切にしたいと考え、ワークショップ、研修生、綿糸の販売もサポートしている。... そのため、まずは赤穂ギャベの織り手の環境整備を優先しているが、余裕があればこれまで通り一般向けでの販売も再開したい。

再開に向けての当面の課題は原糸の確保だが、タイミングやご縁を丁寧に手繰っていきたい。それと先ほど述べたように原糸から染、合糸を終えた状態では6kgのコーンとなるだが、そこから100gに巻き直すのも、それを管理するのも人的リソースが足りていない。こちらも良い出会いがあればというところだ...

現在、minneでは登録している綿糸の在庫を「0」として、カタログのような運用としています。


#赤穂緞通 #工芸 #綿糸 #手織り #椅子敷き #赤穂ギャベ


僕のnoteは自分自身の備忘録としての側面が強いですが、もしも誰かの役にたって、そのアクションの一つとしてサポートがあるなら、ただただ感謝です。