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若者マーケはいま過渡期?推し活が経済を回すんだドン!論

さっき、ますます若者のマスカルチャー不在を感じる。ってつぶやいてからいろいろ考えてた。


女子高生や若者マーケティングが注目されはじめて数年が経った。
定期的に日本では女子大生や女子高生ブームのようなものが起きて消費のターゲットの中心になる。80年代後期のバブル時代にはJJやCancanのようなコンサバ女子大生ファッションが一大ブームになり女子大生ブームが起きた。
90年代後期にもコギャルブームが起き、109や安室奈美恵ファッションなど女子高生が消費するファッションが爆流行りした。
00年にはCancan的なエビちゃん女子大生が流行り・・・とブームは常に巡回しているが、2015年頃に今に続く女子高生・若者ブームが起きる。
当時はZ世代といわれる2000年前後に生まれた世代が高校生になった時代だ。
生まれた頃からインターネットが当たり前、中学生でスマホ・SNSに触れる人類初めての世代としていまも世界中からこの世代の動向は注目されている。

その頃、高校生のあいだでは「Popteen」がマスカルチャーに。

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ゆらちょぱるん、と呼ばれるみちょぱ・ゆらゆら・にこるんモデルがそれぞれギャル風・ゆめかわ風・アメカジ?風と3分類されて、まるで渋谷と原宿でファッションの系統が分かれているみたいにそれぞれの特徴が反映されたモデルが同じティーン向け雑誌にいることで「若者の細分化」といわれていた。

当時わたしはもう社会人で、そうしたブームを傍目に女子高生にまつわる仕事をしていたのでもしかしたら東京の一部の女子高生のインサイトしか見えていないかもしれないが、当時は「Popteen」を中心とするカルチャーがとても盛り上がっていたように見える。
実際、当時のPopteenは発行部数が劇的に伸び、ゆらちょぱるんの3人もマスメディアやイベントに引っ張りだこ。
超十代」のようなティーンを対象にする大規模イベントも各地で行われるようになった。
そしてそこから月日は流れ、にこるんはViViモデルとなり、みちょぱは「ギャル代表」としてテレビでご意見番として活躍。ゆらゆらも先日復刊したLARMEのモデルとなり、それぞれがそれぞれの道を貫いている。そんな彼女たちを応援していたティーンたちも、もう20代前半。大学を卒業し、社会人になっている年齢だ。

もっぱら自論でしかないけれど、そうした女子高生マーケも過渡期を迎えているな、と若者流行語大賞などを見てふと思った。

その背景に推しのために消費活動を行う、ファンダム経済の動きは欠かせない。勢いのままつづります。

2015年ごろのゆらちょぱるん時代。当時はまさに「韓流サードウェーブ」前夜だった。
日本でのK-popブームはファーストウェーブが冬ソナ・秋の童話などの70年代くらい生まれ女性のためのドラマブーム。セカンドウェーブが東方神起・少女時代・KARAなどの90年代生まれ女性のK-popブーム。そしてサードウェーブが2016年ごろに起きるTWICE・BLACKPINK・BTSなどの00年代生まれが主にハマるK-popブームだ。

いまでこそ「若者カルチャー=韓国文化」が当たり前だが、ゆらちょぱるんブームがはじまった2015年-2016年ごろはそうではなかった。
当時はかろうじて、2010年頭ごろにmerや森ガールなどの読モカルチャーやCuTie・Zipperなどの原宿カルチャー、90年後期から00年代に続くegg・ageha的な盛りのカルチャーが融合して、日本的なガラパゴスの中で生まれ細分化した「カワイイ文化」が支持されていた時代だった。

そして2016年。5月にはBTSの「血汗涙(日本版)」、8月にはBLACKPINKの「BOOMBAYAH」10月にはTWICEの「TT」がリリースされ、TTポーズが大流行。


そして、日本の若者たちのあいだで瞬く間に韓国カルチャーが浸透していく。

「Popteen」紙面でも「オルチャン」「韓国っぽ」という言葉が立ち並ぶようになり、2017年にはチーズタッカルビにウユクリームなど韓国グルメやコスメに火がつき、原宿・竹下通りにはSTYLENANDAがオープン。

そこから竹下通りの明洞化が加速し、2018年チーズドッグブームにはいたるところにチーズドッグ店が誕生。エチュードハウスも2店舗も竹下通り内にあり、2018年4月にはイニスフリーも参戦。韓国アクセサリーやコスメを安く販売するショップも立ち並び、竹下通り内に何店舗もあるWEGO系列のショップもこぞって「韓国っぽ」。2019年にはマイナビティーンズが運営するJOL内にハッピンスやチキンにマカロンを扱う韓国フードコートも登場。
そして2020年。いまや若者たちは竹下通りから新大久保に移動し、連日連夜若者たちで活気づいている。(反面、竹下通りはアーケード街になりつつある)

そんなこんなで韓国カルチャーはもはや若者にとっては当たり前になりまくっている2020年。
今度はコロナ自粛中の日本でNetflixやスッキリ!で韓国カルチャーにハマる大人たちが爆発的に増えた。「梨泰院クラス」「愛の不時着」「Nizi project」だ。
この3つが大流行し、韓国サードウェーブでは取り込めなかった成人男性層も韓国へ興味を示すようになる。(個人的に「Nizi project」の成功は成人男性(主に今の10代の親世代)の若者との共通言語の無さ(K-popが世界で流行っているのは知ってるけどハマれない)と、「日本人だってすごいんだぞ!」のナショナリズムをくすぐったことの掛け合わせだと思っておる)

一時期テレビでは連日「パクセロイ」や「JYP」などの単語が出まくっていた。すごいこっちゃ

てわけで、韓国カルチャーは2020年大人たちの間でも火がつき始めた印象的な年だった。

そんななか、若者たちはどうなっているのだろうか?
韓国コスメ・K-pop・韓国グルメはもはや当たり前。好き嫌いではなくひとつの一大ジャンル、友達と共有できるマスカルチャーとして存在している。

韓国サードウェーブをティーンで体験した子たちは20代前半になり、突き詰める子は留学して語学を習得したり、仕事で韓国カルチャーを扱ったり、インフルエンサーになっている子もたくさんいる。これからさらに発信者・作り手として台頭していくだろう。

K-popは基本的にSNSと親和性が高い。BTSの世界的人気にはSNSマーケの功労が欠かせないし、2016年に国内でサードウェーブが起きた時もマスメディアからではなく、ティーンたちがYouTubeでMVを視聴して爆発的に流行り、InstagramやYouTuberから情報を得て、大人にはわからないような潜ったところで文化が芽吹き、K-popファンを中心とする消費活動やトレンドが産まれるようになった。

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(たくさんいる日本に韓国の情報を発信する韓国系YouTuber)

そして日本の中でK-popともう1つ、巨大なマスカルチャーファンダムがある。ジャニーズだ。

ジャニーズ事務所は近年、YouTubeやSNSを解禁し、ネットでの露出も増えてはいるが、それでも主戦場はテレビ。
K-popファンがYouTubeにアップされる大量の供給コンテンツに忙しいのと真逆で、ジャニーズのファンはテレビのコンテンツを追いかけるのが忙しい。
2000年からNHKで放送されている少年クラブはもちろん、最近ではSnowManやなにわ男子も冠番組を持ち、キンプリは個々が番宣なども含めてバラエティ出演が多い。
デビュー組の所属する各レコード会社は権利関係を厳しくみているため、歌番組の映像をYouTubeにあげたら削除される。そんな日本のテレビの普及とともに発展したジャニーズには、テレビやラジオ、雑誌などのマスメディアが大きな供給源だ。

とはいえ、日本の若者のテレビ離れは大きく進んでいる。テレビの構成も厚い視聴者層である年配や親子層に向けられているものが増え、ゴールデンタイムで中高生にウケの良い番組をあまり聞かなくなった。
反面、ジャニーズグループのファンダムに属する子たちは推しの供給のためにテレビを録画する、というのはよく聞く話し。
推しのためのテレビ視聴がジャニーズファンダムには存在する。

国内のK-popファンダムが2016年以降、若者たちのあいだで育ち、K-popとジャニーズという巨大ファンダムが日本に生まれ、推し文化・オタク文化(自らをオタクと呼称できる文化・オタクという言葉によって繋がれる文化)が瞬く間に広がりまくった。

2019年のSHIBUYA109 lab調べでは20歳前後の「オタク」比率は7割強、オタ活費用は年間15万円以上といったデータもある。

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「オタク」は共通語であり、「推し活」「推しプレゼン」「推しのいる生活」はどのファンダムでも当たり前のことになっている。

主題に戻して、こうなってくるとますますマスカルチャーが不在になっていくのを感じる。
K-popファンとジャニーズファンのInstagramを見比べると分かりやすいけれど、国内の2つの巨大ファンダムには絶妙なトレンドの差異がある。

その差異は韓国・日本の差異でもあるし、それぞれのファンダムが求めるものの差異でもある。そしてそのどちらもが絶大な購買力を持っているものでもある。

勢いで書き始めたから終着点が見えなくなってきたけど、その購買力の違う2つの巨大ファンダムが重なるど真ん中を大人たちが作ったり見たりするのって難しさを極めてくる。
かつ、ファンダム経済も細かく言えばもっともっとあって、各事務所のグループごとももちろん、アニメコンテンツやLDH・JO1・ハロプロなどのグループも含めると果てしないインサイトとペルソナの違いがある。
それらの推し活が進めば進むほど、若者の流行はますます捉え所のないものになっていくと思う。
この自論は若者のファンダム消費活動がいま日本の消費活動に大きく影響している、ていう仮説をもとにした場合、女子高生マーケ的など真ん中カルチャーを探すの難しくなるよね、という。そうじゃない真ん中ももちろんあるし、逆にファンダム経済は若者のものだけじゃないのでそうなるとさらに複雑さ極めるよな〜とか。

というので、結局言いたいことはTwitterに書いているのと同じ、これからはさらにニッチでファンダムに刺さるようなマーケティングが欠かせないよな〜と思った。
推し活マーケ、まあ実際流行ってますけども・・・。

私はマーケターではないけどブームの構造大好きマニアでずっとこういうこと考えてるのでそういうのをベースに企画とか頑張りたい。仕事したい。仕事ください。
あと勢いベースで書いちゃったけど、リサーチした上でこのあたりのこと寄稿させてくれるメディアさんないかしら・・・。
あととにかくこういうの延々に語り合いたいです。お茶しましょう。

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