見出し画像

【日記】会いたい人がいる

つい相手の目をじっと見つめてしまうくせがある
ことに気づいたのは、最近のこと。

目に見えない場所である「こころ」以外で、
人の体で美しいところはどこだろう? と
ある日ふと思ったときのことでした。

美しいと思うところって、つい惹かれてしまう。

そんな美しいところや素敵なところを追ってみる
のが、目。

じゃあ、目が、人の体の中で一番美しいということになるのかな?

この前も、美しい瞳を持つ女性に出会いました。

私はとあるアパートのワンルームに引っ越してきたばかり(ということになっていた)で、
もしよかったら一緒にルームシェアしませんかと
ネットで募集をかけたところ、その女性が声を
かけてくれました。

その女性の瞳は、正面で向かい合っているときは
真っ白に見えるのですが、彼女が首をかしげたりして目に光が当たったときだけ、雪の結晶がちらつくかのように銀色に光るのです。
『ノートルダムの鐘』に出てくる「エスメラルダ」にそっくりな少しくせっ毛のある黒髪によく
似合っていました。

彼女の名前はエスメラルダではなく「ライラ」。

遠い国から、日本語を勉強するために留学しに来たのだそうです。生まれたところは地中海沿岸や
中近東に近いような場所で、砂漠の中のオアシスに町があったそうな。

じっと見つめていたらなんだか恥ずかしくなってしまって、一瞬目をそらしたら、どうしたの?って
聞かれて困っちゃった。

だって、私はあなたみたいな艶めいた髪も、
吸い込まれてしまいそうな瞳も持っていないん
だもの。
そりゃあ、うらやましくもなっちゃうでしょう。

そう言おうとしたけれど、いえなかった。

そこから、ライラさんとの共同生活が始まり
ました。

どうやら私はポラロイドカメラで写真を撮っていたらしく、手元にいくつか写真のかけらが残っていました。

一番鮮やかなのは、パジャマパーティーの様子。

女の子向けの雑誌でモデルさんが着ているような、ふわふわピンクのパジャマに身を包んだ彼女が、
目の前で笑い転げていた。

何を話していたんだっけ......

確かそのときは、
「いつも使っている日本語はあえて使わずに、
英語で話してみるか!」みたいなことを話していたような気がする。

私もライラさんも英語はそんなにしゃべれないから、カタコトになって。
ただでさえときどきすれ違うことも多いのに、
もっとすれ違っちゃってどうするのって。

でも、話しているときは、だいたい幸せ。

ポテチのかりっと砕ける音や、炭酸ジュースを
開ける音に混ざって、ライラさんがそうつぶやいたのは、聞き逃さなかった。

パーティーの途中で、私は目を覚ましました。

今までのことは、夢だった。
だけど、あんなに明日が楽しみになるような夢は
見たことがありませんでした。

今も、どこかで笑っていてくれたらいいな。

道ばたですれ違うだけでもいいから、
できればまた、会いたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?