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名取さなフィギュアの奇跡


こんにちは。saiです。
いつもフィギュアを見てくださってありがとうございます。

先日、僕が以前趣味で作った名取さなちゃんのフィギュアが新たにマックスファクトリー様から完成品フィギュアとして製品化、予約案内開始となりました。
その名も『名取さな さなちゃんねる王爆誕Ver.』!!
名取のお誕生日イベントのための特別衣装フィギュアです。

ご予約締切が10月11日(水)21時までと迫ってまいりましたので、せっかくなのでこのフィギュアにまつわるお話をしようと思います。


これまでにWAVE様からは『名取 さな【立体ヌォンタート!】』
マックスファクトリー様からは『POP UP PARADE 名取さな 制服Ver.』
が製品となって発売されました。
そして今回マックスファクトリー様からは2つ目、自身としては3つ目の製品化となりました。

推しのファンアートとして作ったフィギュアが3度も製品になるなんて、
今でも普通に考えてあり得ないほどの奇跡だと思っています。

今日は、これまでの名取さなフィギュアの製品化が、僕にとってどれだけの奇跡だったかお話してみようと思います。今作については、その軌跡の感情があまりにもデカすぎるためお気持ちが長くなると思いますが、読んでいただけたら嬉しいです。



名取さなちゃんのYouTubeチャンネルやHPはこちら↓



■普段の造形活動


僕は、フィギュア造形を仕事にしています。
製品の製造開発やデザインには携わる機会はあまりないのですが、
フィギュアの形そのものを作る仕事をしています。

僕がフィギュアでやりたいことというのは、自分の手掛けた造形を、より多くの方々と共有したいということです。

その中には、キャラクターの性格やイラストレーターさんの絵柄やタッチを追いかけて、イラストの意図や表現を解釈し、ファンの方々がそのモチーフに求めているものを考え、立体物として最適化するという作業そのものの楽しみ、そしてその結果物を多くの人に手に取ってもらいたいという意味もあります。

僕にとっては、様々な思いを込めた造形物を、自身では成しえない技術を持った方々と一緒に、高い精度、同じ完成度のフィギュアを個人では成しえない規模の多くの方々と共有できるこの仕事は、天職だと思っています。

普段の作業場


■ガレージキット活動と悩み


仕事の傍らで行っているガレージキット活動は、仕事で巡りあわせが叶わなかったキャラクターたちの造形を、個人のできる範囲で共有する手段として行っています。

仕事以外の場所でも自分の思いを込めた造形を手に取ってくださることが嬉しくて、日々のめり込んでいます。
しかし、続けているうちにやはり悩みも出てきます。

普段のガレージキット活動では、僕が個人活動の中で販売できるのは未塗装未組み立ての真っ白なパーツたちです。近年ではスマホゲーム等のキャラクターのファンも増え、各種メディアでガレージキットの宣伝画像を見て関心を持ってくれる方も増えましたが、買ってもこんな風には塗れないな、と寂しげに帰っていく人も多く見てきました。

もちろん、ご自身の技術を発揮して思い思いの作品へと仕上げてくださる方もたくさんおられますし、今は塗れなくてもいつかこれを塗れるように頑張るんだ、と買ってくださる方もおられます。

それを見るのは本当に嬉しいですし、それこそがガレージキットの魅力でもありますが、一方で「この写真と同じものは手に入らないんだなぁ」という思いをさせてしまう方も数多くおられるのも日々痛感しています。

そしてなにより、僕の個人としてのキャパの限界、「作って楽しい」より先の事務的なこと、義務的なことへの様々な圧に悩んで、造形自体を純粋に楽しめなくなった時期がありました。

いつしか、作ったものは売らなきゃいけない、関心を持ってくれる人がいる限り提供し続けなきゃいけない、それらを円滑に管理するための施策にがんじがらめになる、という束縛に感じるようになってしまいました。


■名取さなのファンアート活動との出会い


そんな時期に出会ったのが、名取さなという存在でした。
本当にただハマった、としか言えないのですが、その時の自分にはただただ「楽しい」を提供してくれる場所が本当に心地よく、インターネット観が合う名取の作る空間に、救われた面もありました。

名取フィギュアを作るときは、ガレージキット活動とは違い、いつも本当にただ好きで趣味の1点ものとして作っています。
個人での販売等は行わない前提のファンアートとしての活動です。

売らないのはもったいないね、ともよく言われるのですが、もともと商売にするつもりではなく本当にただいち個人の推し活なんです。
名取さなさん本人のガイドラインを理解して尊重したうえでの活動なので、それ自体は苦ではないのです。

当時「好きなものを好きに作って楽しい」を忘れていた自分にとっては、こんなに楽しいことは他にないくらいのことでした。

だから、販売をしない前提の「作って楽しい」に留めるということは、さきほどのガレージキット活動の悩みに対してはある意味究極の公平であり、ある意味救いでもありました。

ただ、名取フィギュアも完全に趣味の1点ものとはいえ、「せんせえ」と呼ばれる名取ファンの方たちにも、きっと「この写真と同じものは手に入らないんだなぁ」という思いをさせているんじゃないかと薄々わかってはいました。

だから、叶うことなら今ここにあるものを、みんながスマホで見たものと同じものを、何百何千の人の手に共有出来たらどれだけ幸せかと、いつもいつも思っていました。

これまでに作った名取さなのフィギュアたち



■『さなのばくたん。』ばくたんカフェ展示を経て


せんせえがたにはお馴染みですが、名取の誕生日の3月7日といえば、川崎のチネチッタで開催されるバースデイイベント、『さなのばくたん。』です。

毎年恒例となった『さなのばくたん。』ですが、その第1回 2020年の『さなのばくたん。 -バースデイ・サナトリウム-』は、疫病対策のためやむを得ず開催中止となり、悔しい思いをしました。

今回の『名取さな さなちゃんねる王爆誕Ver.』は、名取の3Dのお仕立てもしている天才小学生Vtuber、さえきやひろちゃんがこのイベントの時に描いたお祝いイラストがモチーフです。
この衣装自体も、名取がこのイベントで披露するはずだったオリジナルソング『 PINK,ALL,PINK! 』に合わせてやひろちゃんがお仕立てしたものです。


このフィギュアは、皆が悔しい思いをしたこのイベントの応援のために作り始めた物でした。
しかし、初展示予定だったワンダーフェスティバルも疫病対策のために中止が続き、お披露目の機会を失い続けていました。

そんな悔しいこと続きのなか、2021年の『さなのばくたん。 -ていねいなお誕生日会-』のコラボ企画、川崎のラ・チッタデッラ内 エロイーズカフェにて開催されたコラボカフェ『ばくたんカフェ』への展示のお誘いを頂きました。

『ばくたんカフェ』展示時のフィギュア


この展示をきっかけに、毎年の『さなのばくたん。』コラボカフェにフィギュアを展示する機会をいただき、多くのせんせえがたに、その目でその空間で、最もふさわしい場所で、この機会を共有することができました。

この当時、僕は様々な活動への悩みで体調を崩してふさぎこんでいたのですが、名取が作ってくれたこの機会、この場所、この空間にとても救われた思い出があります。
たくさんのせんせえがたがフィギュアを囲んで楽しんでくれるその光景をこの目でみて、クリエイターとして自信を取り戻すことができました。僕にとってラ・チッタデッラはとても思い出深い場所になりました。

それと同時に、当時WAVE様からもお声がけを頂き、初の製品化となる原田たけひと先生描きおろしイラストフィギュア『名取 さな【立体ヌォンタート!】』の製品版を開発中で、実際に今ここにいるせんせえがたに届けることができるんだ、という実感も湧きました。

そしてこの一連の展示企画をきっかけに、『POP UP PARADE 名取さな 制服Ver.』と、今回の『名取さな さなちゃんねる王爆誕Ver.』の製品化へとつながりました。

叶うことはないと思っていたバカデカい夢が、多くの企業の方からのお声がけと尽力により、いろんな悔しさや悩みや夢や楽しさを一つに集約し、実現することとなりました。

もともと量産を想定していなかった1点ものだったがゆえに、製品化のための開発調整には多大なご苦労をおかけしましたが、ご尽力くださった多くの方々に、感謝しております。

『名取 さな【立体ヌォンタート!】』
『POP UP PARADE 名取さな 制服Ver.』
『名取さな さなちゃんねる王爆誕Ver.』
やひろちゃん曰く、カートの2段目のプレゼント箱は、やひろちゃんからの
ささやかなお祝いの気持ちの表れとして髪の緑とメッシュのピンクをイメージした
やひろちゃんカラーにしているそうですよ。


また、製品化の経緯や僕自身のことなどはこちらの記事もあわせてご覧いただくと面白いと思いますので是非。



■おわりに


僕にとっては名取フィギュアというのは、「せんせえ」のひとりとして皆と「楽しく」遊びたかった自分が持てた、ただ1つのものでした。

みんなが画面で見てくれたものと同じものを、何百何千の人の手に共有出来たらどれだけ幸せかと願い続け、3度にわたって製品化を迎えた今でも、せんせえがた皆がそれを共有できる機会が実現したことは本当に幸せなことだと思っています。


色んな企業の方々やクリエイターの方々の支えと、フィギュアの製品化を望んでくださった多くのせんせえがたと、この「楽しい」があつまる場所を作り続けてくれた名取さなちゃんをお祝いする、色んな想いが詰まった奇跡の形だと思っています。


決してお手頃とは言えないお値段ではありますが、みんなの想いがなければ存在し得なかった奇跡の形です。

一人でも多くのせんせえと、この奇跡を共有したいと願っています。

あの日の思い出の形をせんせえがたのお手もとに迎えられるその日を楽しみに、ぜひご予約いただけますと嬉しく思います。


赤裸々に思いを綴って気恥ずかしくはありますが、このような機会はそうそうあるものではないので、たまには。
最後まで読んでくださってありがとうございました。これからもせんせえがたと一緒に、名取さなちゃんを応援していきたいと思います。

sai


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