冒険の扉

アロマクエスト|(15)|旅立-7

「そういえば、さっきのことだけど。」

「なんのこと?」

「あの黒い影を倒したら、人間に戻ったじゃないか。

あれって、どういうこと?」


カオルがたずねると、メンタは答えた。

「スウェイング・シャドウは、もともと人間なんだ。

襲われた人の心身のダメージが一定以上大きくなると、変身してしまう。

ボクたちアロマルは、キミのような能力を持つ者が念じた通りに姿を変えて、スウェイング・シャドウと闘う。

スウェイング・シャドウに変化していた人間を、『癒やす』ことで救うことができるんだよ。」

メンタの言葉を聞きながら、カオルは先ほどの闘いを思い出していた。


あの黒い影と対峙した時のプレッシャー。

アロマルを使役して闘う緊張感。


なんとか勝つことができたが、不安がないわけではない。

もっと強い敵が現れたら…。

自分が負けたら、あの黒い影となってしまう。


自分は強くなれるだろうか。

世界を、救うことができるのだろうか。


いろいろな思いが交錯する。


カオルは、一歩を踏み出す決意をした。


「わかった。ボクのチカラが役に立つのなら。」

カオルはうなずくと、力強くそう答えた。

(つづく)

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