冒険の扉

アロマクエスト|(13)|旅立-5

男を見送ってしばらくすると、肩に乗ったメンタが話しかけてきた。

「もう一度、森に行こう。大事な話があるんだ。」


ふたたび、森へ戻ってきた。

先ほどの出来事が、ずいぶん前のことのように感じる。


メンタが、肩から降りると口を開いた。

「えっと、まず、キミの名前を教えて。」


今さらながら、自分が名乗っていないことに気がついた。


「僕の名前は、カオル。」


「カオル……いい名前だね。」

メンタは、笑顔でそう言った。


「ボクが見えているということは、キミ、香りがわかるよね?」


突然の質問に驚く。

たしかに、自分は他人とは違う能力、香りを感じるチカラを持っていた。

しかし、それがどんな関係があるのだというのか。


「顔を見ればわかるよ。やっぱり、香りを感じることができるんだね。」


香りがこの世界から消えたことは、聞いて知っている。

ずいぶん昔の話だというが…。


「香りを感じるようになったのは、いつ?」


いつだったのだろう?

そう聞かれ、なんとか思い出そうとした。

(つづく)

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