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なぜ子供なしの23歳男子が、子育て系サービスを始めたのか

概要

・母親が1人で子育てをする、というのは、実は人類史上かなり稀(子育て=母親、の概念は高度経済成長期に生み出されただけ)
・現在は高度経済成長期の家族モデルは残りつつ、それに違和感を持つ人達から新しい動きが生まれ始めている過渡期
・"もぐシェア"もその動きの1つとして、「皆で子育てを支え合う社会」を実現していきたい

本題に入る前に、"もぐシェア"を通じて解決したい課題が何なのか、子育てを取り巻く環境を戦後から振り返ってみたい。

【子育て1.0 : 1950年辺りまで】

◎子育ての担い手 : 父母,祖父母や親戚
◎働き方と暮らし方 : 一次産業,多世代同居

高度経済成長期前、農業など一次産業が主体の時代には多世代同居が一般的で、子育ては両親に加え親族が当たり前に携わっていた。
いわゆる"ご近所付き合い"なんかも、当たり前に存在したのだろう。


【子育て2.0 : 高度経済成長期(1970半ばまで)】

◎子育ての担い手 : 母親(専業主婦)
◎働き方と暮らし方 :二次産業, 都心やニュータウンへの集中(核家族化)

高度経済成長期の最適な働き方は「長時間労働」であったため、国として「男は外、女は家」という方針を明確に押し出し始めた。
今もよくパートの女性などから聞く「年収が130万を超えないようにしたい(超えると年金が受給できなくなる)」というのも、その時代の政策の名残だ。

それに伴い都心部やニュータウンへの居住と核家族化が進み親族の助けは無くなったが、その不足は子育てを全て母親に集中させることで補填した。

またこのタイミングでテレビをはじめマスメディアが普及し出し、「子育て=女性がやるもの」という価値観が急速に刷り込まれていった。


【子育て2.5 : 失われた20年(1990年代~)】

◎子育ての担い手 : 母親(専業, 共働きどちらも)
◎働き方と暮らし方 :共働きの一般化, 核家族状態の継続

経済成長が鈍化し出すと、可処分所得の減少や都心部での生活を維持するために、女性も働きに出るケースが増加。
この頃から専業主婦の数は急速に減り、90年代には逆転。その後も差は広がり続けている。

女性の社会進出が当たり前になったこの時
「じゃあ男性も当たり前に育児参加しよう」
「子育て支援サービスをもっと活用しよう」
「親以外もみんなで子育てをしよう」
とは残念ながらならず、全ての負担が依然として女性側にのしかかったままになってしまった。

理由としては

・親が専業主婦だと、女性=家の中という価値観が男女ともに2世代に渡って引き継がれやすい
・家事育児に携わった経験の無い男性が企業や政治の中枢を握っているため、対策が遅れている

などが挙げられるだろう。

(本旨から脱線するが、女性を見下す発言で炎上する高齢の政治家が減らないのは、年齢的に諌める人もおらず、同質な人たちに囲まれてずっと生きているからで、戦国時代の武将が「なんで人は殺しちゃダメなの?」と言うのと変わらない印象だ。)

これからの子育て(子育て3.0)

こうして振り返ると、戦後から約70年、女性が子育てを担うモデルが(経済成長に)最適だったのは、たったの15年程度ということがわかるだろう。
今の日本はその呪縛からなお、抜け出せずにいる。
※一応補足として、主婦(夫)がダメで共働きがいいという話では全く無く、単純に「家事育児=女性のもの」はどう考えても時代に合わない、という話。

ただ個人的には、子育て家庭を取り巻く環境は、良い方向に向かっていくのではないかと思っている。

実態としてはまだまだ発展途上だが、ここ数年で以下のような動きを強く感じる。

・男性の育休取得の推奨
・家事代行やシッターサービスのメディア露出
・子育てをテーマにした地域のコミュニティカフェ,スペースの増加

一部40代や、いわゆるミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭生まれ)がこの動きを牽引しているのは、とてもポジティブな兆候だと思う。

そして"もぐシェア"も、この流れの一角を担いたい。

"もぐシェア"の目指すもの

"もぐシェア"は手料理のおすそわけが究極的にしたいわけではない。
料理を入り口に、子育て家庭と地域を繋ぎ、コミュニティを作りたい。

たとえ赤の他人でも、厳密に隣近所では無くても、
「子育て家庭の力になりたい」「地域で誰かに貢献したい」
そう思っている人はたくさんいる。
そういう人たちをwebの力で可視化することで、子育ての新しい形の拠り所を作っていけるはずだ。

確かに少子高齢化の時代に、子育て領域の事業は市場的なインパクトは大きくないかも知れない。
しかし少なくとも自分は、「子育てって誰かに頼ってもいいんだ」という価値観が当たり前な社会で妻と生きていきたいし、自分の子供を育てたい。
しかもそれが時代の流れに合っていて、社会性も大きいとなると、やらない理由がない、(将来の)当事者としてプレーヤーでいたい、と勝手に腹落ちして思えた。

肌感だが、特にミレニアル世代を中心に「子育てはみんなでやるものだよね」という方向に、社会は確実に向かっている。
当たり前のように、子育ての拠り所になる新しい形のコミュニティが存在する時代になるだろう。"もぐシェア"も、そのコミュニティの一角を担う存在であり続けたい。

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