20190817古事記

平家物語の「神統譜」は日本書紀本文に一致し、古事記本文には一致していない

平家物語巻第11、107句「剣の巻」は、国常立尊に続いて、

以下のような神々の系譜を語ります。

国狭槌尊より体はありて面目なし。豊斟渟尊より面目ありて陰陽なし。第四より陰陽ありて和合なし。埿土煑尊埿土、沙土煑尊、大戸之道尊、大苫邊尊、面足尊・惶根尊等なり。

日本書紀本文は、国常立尊の後、

次に国狭槌尊。次に豊斟渟尊。
次に神有り、埿土煑尊埿土・沙土煑尊、次に神有り、大戸之道尊・大苫邊尊。次に神有り、面足尊・惶根尊

と神々の名を記しています。

古事記はどうかと言うと、

古事記本文冒頭は、

天地初めて発けし時、高天の原に成れる神の名は、天之御中主神、次に高御産巣日神、次に神産巣日神。

と述べ、国常立尊や国狭槌尊、豊斟渟尊に触れていません。

前にも書きましたが、

日本書紀は、「一書に曰く」と言う形でいくつかの別伝を掲げています。

第四別伝は、以下のようになっています。

天地初めて分かれしときに、始めに倶に生れる神有り。国常立尊と号す。次に国狭槌尊。又曰く、高天原に生れる神、名付けて天御中主尊と曰す。次に高皇産霊尊。槌に神皇産霊尊

古事記本文冒頭は、この第四別伝から国常立尊と国狭槌尊が生まれた事を省いた形になっています。

とにかく、平家物語の神統譜は、日本書紀本文のものに一致し、古事記本文とは一致していません。

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