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ツル性植物や背が高くなる一年生雑草の種の休眠期間はどのくらいばらついているのか他。

雑草を取っても取っても生えてくる・・・初夏から初秋まで、ずっと草取りに追われる、

そういう大変さを感じている人は多いでしょう。

この「取っても取っても生えてくる」現象はなぜ生じているのか?

分析していくと、原因はかなり多岐に渡ると思われます。

まず、実は、ちゃんと「取っていない」例が多い可能性があります。

「土を動かさない」事に地面の上で鎌を動かすと、土が雑草の上にかかります。

ある草を根元から切ったとして、その草のすぐ隣の草は、葉の付け根部のすぐ上を切っただけの状態になってしまっていることが、けっこうよくあるようです。

この時、鎌を動かしながら、土を「動かして」しまっていると、「隣の草」の葉の付け根の上に土がかかり、その草は「見えなく」なります。

ある草については、根元から刈っているので、自分では「根を残さない」ように草取りをしたつもりになっていますが、実際は、かなりの草が「根ごと」残されています。

残った草からすると、「周りの草」がなくなった・・・つまり、「間引きをしてもらった」のと同じ状態になっています。こうして、残った草は太陽の光を周りの草に奪われることなく、再生長していきます。

この残った草が「叢性+ほふく性」のメヒシバみたいな草だと地面に茂る上に、葉茎から「不定根」を出して、その不定根が地面に根を張るので、とても除草がやっかいになります。

つまり、「取っても取ってもまた生えてくる」と思っているのは、「自分」だけで一生懸命、メヒシバみたいな草のために生育環境を整えてあげているような除草法をしてしまっている例があるわけです。

次に雑草を取ること自体が、次の雑草が生える余地を作っている可能性があげられます。

雑草は「人間による擾乱を受けた環境に適応した草本性植物」です。擾乱とはかき乱すと言う意味です。

耕したり草を取ったりすることは、植物からみると「生息環境をかき乱されている」ことになります。

かき乱された状態に適応していると言うことは、耕されたり草取りがなされたりした環境で生えやすいと言う事です。

つまり、耕したり草を取ったりと言う事を一生懸命すればするほど、「次の草」が生える環境を整備していることになります。

この事とも関連しますが、草を取った後に生えてくる草は、取った草と同じ草なのか?と言う問題があると思います。

春から初夏、初夏から夏の移りゆきを考えてみた場合、時季が後になればなるほど、日が長くなり、日射しは強くなり、気温は高くなります。

植物は種類ごとに好む「日の長さ」、「日射しの強さ」、「気温の高さ」が違うようです。

つまり、春早い段階では、低温で発芽し、日が短くて光が弱い状態で育ちやすい雑草が育つが、時季が移るにつれて、より高温で発芽し、日が長くて光が強い環境で育つ植物が繁茂してくるようになると言うことです。

僕はたんぽぽ農法で「苗の周りだけ除草」を試しています。

野菜の生育の邪魔にならない限り、雑草があっても取らない方式です。

今の時季、こうすると、「苗の周り」以外の場所は、春雑草に覆われますが、オオイヌノフグリやナズナのような春雑草は、5-6月になると枯れます。枯れた直後は地を覆っています。

枯れた春雑草の間から夏雑草が生えてくるのは、その後の事です。

さて、雑草生態学の本には興味深いお話が書かれています。雑草の種子は「休眠期間」が「バラついて」いると言うのです。

種には「休眠期間」があります。

地面に撒かれて水分を吸収したり、周囲の環境が一定の温度になったりすると「休眠」が破られ「発芽」を始めようとします。

野菜の種は、この休眠期間が比較的一定です。つまり、種をまいて直後に発芽する種もあれば、だいぶ経ってから発芽する種もあると言うようなバラつきが少ないように品種改良されています。

発芽が揃い、均一に育っていくようになっているわけです。

他方、雑草種子はむしろ休眠期間が「不均一」になるようにしているんだそうです。

ここが人間による擾乱=かき乱しに適応した植物としての雑草の本領みたいなところかもしれません。

土の中の種が一斉に発芽するのではなく、ある時季には全体の一部だけが発芽する、人間が耕したり、草を取ったりした後、別の一部だけが発芽してきます。その草を除去すると、また別の一部が・・・

と言うことが繰り返されるのだそうです。

このように、「取っても取っても、また草が生えてくる」現象は、

1)除草時に「土を動かして」しまっているので、残った草からすると周りの草を除去して間引きしてもらったような形=残った草の生育環境を整えてしまっている

2)除草する事で「次の草」が生えやすくしてしまっている

3)雑草種自体が「休眠期間」をバラつかせて、人間による除草が行われても「次の草」を生やす生存戦略を持っている

と言う3つの要因があげられると思います。

このうち、2)は「次の草」が除草した雑草と別の種になる可能性があり、3)の場合、同じ種の雑草が生えてくる現象です。

さて、夏場のジャングル状態を作り出す、「背の高い草」とツル性植物の入り混じった茂り・・・ですが、

見沼菜園クラブの一角には、オオブタクサのような一年生植物やカナムグラ、イシミカワのようなツル性植物が入り混じって生えてきた場所があります。

この場所は昨年もこうした「入り混じった茂み」が出来て夏場の対応が大変でした。

今回、オオブタクサ、カナムグラ、イシミカワだけを取り、例えば、スズメノカタビラのような他の種類の草は取らない「除草」を実施しました。

おそらく、スズメノカタビラは5-6月頃に枯れて、地を覆い、覆われた部分からはその後しばらく他の草は生えないと思われます。

もちろん、スズメノカタビラの枯れ草で覆われていない地面もあるのでそこからは他の草が生えてくるとは思いますが・・・

ただ、もし、オオブタクサやカナムグラ、イシミカワなどが「次の発芽」をしなければ、あの「ジャングルのような茂み」は出来ないだろうと思います。

こういう風に、雑草の種類を観察し、種類に応じた対応を取ることで、野菜と雑草両方を含む「畑の植物群」全体をより草取りの手間が少ない状態に誘導して、半農生活のための「手間のかからない農作業」を実現していこうと言うのが、

雑草生態工学の発想に立つ「たんぽぽ農法」の思想なのです。

一昨日、昨日は、最高気温が20℃を下回りました。このところ、晴れると25℃近辺と平年値を3-4℃も上回る状態、雨が降ると20℃を下回る日があると言う状況が続いています。

2週間予報をみると、ゴールデンウィークとそれ以降も、ベースラインが上がった形で同じことの繰り返し、

・・・晴れると平年値を3-4℃上回り、雨が降ると、平年値以下になるが、平年値自体が20℃を超えていて、観測値も20℃以下にはならないと言う見通しのようです。

徐々にゴールデンウィークが終わると、「梅雨の走り」の時季が近づいてきます。

この時季、そして梅雨本番の時季、今年の天候はどういう風に推移していくのでしょうか?

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