雑賀 壱

最近、現代アートに勝手な文脈をでっちあげて物語をつづる遊びが流行中。 当人はリクリエイ…

雑賀 壱

最近、現代アートに勝手な文脈をでっちあげて物語をつづる遊びが流行中。 当人はリクリエイションとか言ってるけど、要はただの二次創作。

最近の記事

シン・エヴァンゲリオン劇場版の感情的な感想

#シン・エヴァンゲリオン劇場版 #ネタバレ 注意:ネタバレしかありません。映画を見ていないとまったくわかりません。ちゃんとした分析や考察は他の人たちがやってくれると思うので、ここにあるのは個人的で感情的な感想だけです。それでも良い方だけどうぞ。 映画が公共の場所でよかった。そうでなければ、私は無様にも手を伸ばし、空をつかんでいただろうから。 ――わたしをおいていかないで。 軽やかに階段を駆け上がり、遠くなる背に、私はきっとそう叫んでいただろうから。 最初に結論を言っ

    • 生殖を介した『黄昏』の考察 ~クリスチャン・ボルタンスキー-Lifetimeより

      国立新美術館にて開催されているクリスチャン・ボルタンスキーの回顧展より『黄昏』を考察する。 今回の展示において、『黄昏』はソケットで電気コードにつながれたたくさんの電球が狭い空間に置かれ(サンパウロで発表されたときは床だったようだが)、それが毎日3個ずつ消えていくというものだという。美術館に行ったにもかかわらず、なぜ「という」といった表現を用いたかというと、一度しか行っていない私にとってはその減りゆくさまは確認できておらず、また最初の方に行ったためその空間は大変明るかったか

      • 府中市美術館に行ってきました。

        府中市美術館で開かれている「へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」に行ってきました! ※この内容には盛大なネタバレが含まれます。偏見のない目で作品を鑑賞したい方は回れ右でお願いします。まあ、実際には偏見をなくすなんて許してくれないのが、へそまがり展示だったりしますが。 府中市美術館で毎年春の恒例行事となっている、日本絵画展。キュレーターのなせる業なのか、とにかく毎年ポスターのあおりや解説にエッジが効いているのが特徴です。 そんな今年は、へそまがり日本美術。ポスターの

        • 現代アートに“沈む”ということ

          現代アートに興味を持ったのはここ数年の話で、以前は「なにコレ、わけわかんねwww」と一笑に付していたのだ。そんな私がなぜ、今さら現代アートに興味を持つようになったのか、私なりに考察してみることにした。 興味を持ったからといって、現代アートに対する感覚は良くも悪くも以前と変わっていない。 わからないのだ。なにも、わからない。美術館やパンフレットに作者の意図がそれとなく書いてあるけれど、残念ながら今の私にはそれをくみ取ることができない。滲んだ点々が都会の混沌を表現して――って

        シン・エヴァンゲリオン劇場版の感情的な感想

          ある夜明け前、彼女の横顔

          「夜明けのこと、昧爽っていうんだって」 ご来光を待つ山頂で、隣の彼女がぽつりとこぼした。 夜明け前。真夏だというのに、ダウンを着ても指がかじかむ。地上では連日猛暑日が続いているというのに、三千メートルを超えた山の上ではそれこそが幻みたいだ。 だからかもしれない。その言葉を聞いて、なぜかぞくりとしたのは。 「……まいそう」 小さな声で繰り返して、浮かんだ漢字は埋葬だった。 さすがにそれは違うだろう。だが、果たして何が正解なのか。わかるはずもないまま、だんだんと東の空が白ん

          ある夜明け前、彼女の横顔

          直島旅行記

          瀬戸内海に浮かぶ島、直島。 瀬戸内海に島は数多あるが、この島は特別だ。しかもそれは、人工的な特別。アートという手が加えられていなければ、他の島々と全く変わらない、何一つ変哲のない島だったはずなのに、とある人はこの島を選び、加工し特別にした。利便性、特異性、ありとあらゆるものを無視して特別へと仕立て上げられた奇異なるこの島の三日間に渡る旅行記を今から記していこうと思う。 三日間、最大限に観光したいからという理由で、始発で行ける限り最も早い便を取って羽田空港から高松空港へ向か

          直島旅行記