リアルバウトハイスクール最終章の話(にかこつけて聖飢魔Ⅱを布教する)
先日ようやく発売となった『真リアルバウトハイスクールXX』。
Twitterでエゴサしていると「続編が出てるのを初めて知りビックリした」系ツイートの中に「続編が出ている=前作が完結したことを初めて知りビックリした」という人がいて驚くとともに「さもありなん……」とも思う。
長期シリーズ作品の刊行ペースが落ち、本も薄くなれば読者に見放され忘れられてしまうのはよくあることだ。
他のパターンとしては「リアルバウトってまだ続いてたんだ」系のツイートも見かけるので、ここはひとつ声を大にして言っておかねばなるまい。
ご安心ください。
『召喚教師リアルバウトハイスクール』は御陰様で2010年刊行の第18&19巻をもって完結致しました!
やりたい放題やったうえでの力業で!
しっかりと後腐れなく大団円で!
以上、9年越しの報告でした。
……これで終わりというのも何だし、せっかくなので前作の最終章について少し語りたい。
■最終章『THE OUTER MISSION』編+
召喚教師リアルバウトハイスクールの最終章とは18巻から19巻に渡る『THE OUTER MISSION編』を指す。
第六十六話『龍飛鳳舞の闘い』で魔王シモンズとの対決の後、学園祭に参加していた全員が異世界ソルバニアに飛ばされる。
正確には異世界ソルバニアというより魔法のシステムそのものである〈冥王の書アザナトゥース〉内のバーチャル空間に取り込まれ、シミュレートされた〈可能性の世界〉で別の人生を体験する――似た例を挙げると「グレンラガンの最後の方のアレ」であり、分かりやすく言うなら「全員参加型の『もしもボックス』送り」というサイバーパンクによくある「手の込んだ夢オチの一種ともいえるやーつ」である。
他と違うのは〈冥王の書アザナトゥース〉が人類の営みの歴史すべてをアーカイブしていて、さらに死者の魂をサルベージしていること、ifの世界をシミュレートするだけでなく現実世界を完全再現したうえで時間と空間を自由に行き来(つまり実質的なタイムトラベル)も可能であること。
これらの機能は魔法の「すべてのヒトの魂を救済し、人類にとって理想的な宇宙を再創造する」という究極の目的のためのもので、魔王シモンズが自分を倒した慶一郎(とその他大勢)への褒美としてやっている悪意ゼロのいわば慈善行為であり、ヒーローを惑わせて戦意を挫こうといった意図は全然ないのがミソ。
ではここで最終章のサブタイトル一覧を見ていただこう。
第66.6話『THE OUTER MISSION』編
#1 DEPARTURE TIME
#2 真昼の月
#3 NO GOOD NEWS TODAY
#4 STAINLESS NIGHT
#5 El.DORADO
#6 JUST LET ME GO
#7 サクラちってサクラ咲いて
#8 デジタリアン・ラプソディ
#9 FROM HERE TO ETERNITY
#10 T列車で行こう
#11 CENTURY OF THE RAISING ARMS
#12 BIG TIME CHANGES
#13 怪力熊男
#14 美しきクリシェに背をむけて
#15 世界一のくちづけを
#16 LUNATIC PARTY
最終話 GO AHEAD!
EX TRACK 1999 SECRET OBJECT
『THE OUTER MISSION』編は分厚い文庫2巻分にわたる長編エピソードのため、エピソードタイトルの下にさらにサブタイトルが並ぶという変則的な構成になっているのだが、それに続く最終話とエピローグを含め、すべて『聖飢魔Ⅱの教典からの引用』となっている。
※教典とはいわゆるアルバムやシングル盤のこと。
『タイトルを曲名から拝借する』のはクリエーターなら誰でも一度はやってみたいことあるある筆頭なのだが、最終章を全部聖飢魔Ⅱにするなどという暴挙はもちろん敬虔な悪魔教の信者だけに許される狂気の所業である。
しかし、こうして一覧で並べてみるとプレイリストとしても悪くないチョイスだと思うのだが、いかがだろうか?
それぞれのタイトルに引用元となった曲へのリンクを張っておいたので、よければ視聴してもらいたい。なお適当なライブ動画がなかった曲については紹介ページへのリンクとなっている。
■引用元楽曲解説
【第66.6話】
◆悪魔組曲 666番 変ニ短調
アルバム:『悪魔が来たりてヘヴィメタる』
作詞:デーモン小暮・ダミアン浜田
作曲:ダミアン浜田
発売:1985.9.21
記念すべき聖飢魔Ⅱの第一大教典(1st Album)より。
聖飢魔Ⅱの世界観を存分に表現したダークでハードでカッコいい曲。
直前の話数が「第六十六話」だったので本来は「第六十七話」となるべきところを「第66.6話」としたのは時空を超えた旅であることを強調するため――というのは後付けの言い訳で、実際のところ「第六十七話」と打とうとしたその時に「これだ!」と閃いて変えた。
要は運命の悪戯である。
聖飢魔Ⅱの楽曲を引用するのにこれ以上相応しい数字があるだろうか?
【THE OUTER MISSION】
◆THE OUTER MISSION
アルバム:『THE OUTER MISSION』
作詞:デーモン小暮
作曲:エース清水
発売:1988.12.9
それまでの妖美なる魔界モチーフから一転して、壮大なる宇宙をテーマにした第五大教典『THE OUTER MISSION』の10曲目にしてタイトル曲である。
ミステリアスで幻想的、時空の狭間を彷徨う無限の旅路を想像させる。
デーモン閣下の邦楽維新ライブでの和楽器コラボバージョン(ベストアルバム『LE MONDE DE DEMON』収録)も好き。
【DEPARTURE TIME】
◆DEPARTURE TIME
アルバム:『NEWS』
作詞:デーモン小暮
作曲:Sgt. ルーク篁III世
発売:1997.7.2
純然たるロックアルバムというべき第十三大教典(10th Album)『NEWS』の1曲目。
旅立ちに相応しいポップかつハードで爽やかなナンバー。
【真昼の月】
◆真昼の月 〜MOON AT MID DAY〜
アルバム:『NEWS』
作詞:デーモン小暮・Sgt. ルーク篁III世
作曲:Sgt. ルーク篁III世・松崎雄一
発売:1997.7.2
同じく第十三大教典『NEWS』の2曲目。やはり爽やか系。コーラスが心地よい。
【NO GOOD NEWS TODAY】
◆NO GOOD NEWS TODAY
アルバム:『NEWS』
作詞:デーモン小暮・Sgt. ルーク篁III世
作曲:Sgt. ルーク篁III世
発売:1997.7.2
第十三大教典『NEWS』の5曲目。
アルバムに1曲はある面白系というかおふざけ系。
さまざまな願望が渦巻くしっちゃかめっちゃかな歌詞に、妄想を現実化する世界シミュレーターに取り込まれた大門高校生徒たちの大騒ぎのイメージを重ねてみた。
【STAINLESS NIGHT】
◆STAINLESS NIGHT
シングル:『STAINLESS NIGHT』
作詞:デーモン小暮
作曲:エース清水
発売:1988.5.21
第四大教典『BIG TIME CHANGES』と第五大教典『THE OUTER MISSION』の間に発布された第五小教典(シングル)。
『デーモン小暮のオールナイトニッポン』で『THE OUTER MISSION』発売前までずーっと流れていた記憶がある。SF的な世界観がモチーフの美しい曲。
【El.DORADO】
◆El・DO・RA・DO
シングル:『EL・DO・RA・DO』
作詞: デーモン小暮
作曲: デーモン小暮・紫馬肥
発売:1987.8.21
第三小教典『EL・DO・RA・DO』より。第三大教典『地獄より愛をこめて』の4曲目として収録されている。
ミサ(ライブ)のトリでよく歌われる聖飢魔Ⅱの代表曲。アニソン的な勇壮な勢いと盛り上がりが最高。
幻の黄金郷を求める冒険がテーマのファンタジックな世界観の曲なので、結城ひとみが『龍炎使いの牙』の世界に行くエピソードのタイトルに。
【JUST LET ME GO】
◆JUST LET ME GO
アルバム:『PONK!!』
作詞:Sgt. ルーク篁III世
作曲:Sgt. ルーク篁III世
発売:1994.7.1
第十一大教典(8th Album)『PONK!!』の12曲目。聖飢魔Ⅱの大教典の中でも異色作で最も不評と思われる『PONK!!』だけどその中で一番好きな曲。
生まれた日も 倒れた日も
旅立つ日も 戦う日も
鞄の中 決める時は
誰かの手を 借りずにいた
思い出すだけなら
生きること辛すぎる
これが聖飢魔Ⅱの曲の歌詞だと言われたら一般人は「ファッ!?」となるだろうが、当時の多くの信者も同じ気持ちだった(と思う)。
しかし一枚のアルバムとして捉えると本当にバラエティに富んでいて聴き応えのある一枚。
バンドとしてキャリアを重ねそれぞれの構成員のソロ活動を経て「いろいろあった」うえでこういう曲が生まれ、それさえも「聖飢魔Ⅱらしさ」として肯定していく姿勢。他ではなかなか真似のできない懐の深さ。あらためて偉大なバンドだったと感じられる大教典だ。
【サクラちってサクラ咲いて】
◆サクラちってサクラ咲いて
アルバム:『MOVE』
作詞:デーモン小暮
作曲:エース清水
発売:1998.7,23
第十四大教典(11th Album)『MOVE』の5曲目。絶品バラード曲。
サクラ散って サクラまた咲いて
Who's gone? Who's back?
夢を乗せて 夢をばらまいて 輝きだけは求め続け
たたかいの日は 今日にでも夢を引き裂く
恋することも せかされる世代だから
今を逃したら 後悔だけ残るだろう
「好き」を伝えるのに 時間などかけられない
ん?これは『ケムリクサ』の主題歌だっけかな?(錯乱)
デーモン閣下は最初のソロアルバム『好色萬声男』以来、継続して和テイストのロックを発表してきていて、これもその流れの中にある曲という認識。
【デジタリアン・ラプソディ】
◆デジタリアン・ラプソディ
アルバム:『NEWS』
作詞:Sgt. ルーク篁III世・デーモン小暮
作曲:Sgt. ルーク篁III世
発売:1997.4.23
『NEWS』の3曲目。TVゲームをモチーフにした曲。
夢は重荷 金はオールマイティ 愛はまだわからない
知るべきこと 知らないこと 観てるのさ
97年当時といえばドリームキャスト(モデムを標準装備した初の家庭用ゲーム機)が出る前年だが、今聴くとオンラインゲームやインターネットにハマる若者たちに向けたのかと思える歌詞になっている。
【FROM HERE TO ETERNITY】
◆FROM HERE TO ETERNITY
シングル:『20世紀狂詩曲』
作詞:デーモン小暮
作曲:エース清水
発売:1999.9.22
最終最大小教典(ラストマキシシングル)『20世紀狂詩曲』のカップリング曲であり、第十七大教典(12th Album)『LIVING LEGEND』の9曲目として収録されている、全編メロディアスでハードでドラマティックな超名曲。
悪の華は 虹色に揺れて
Here to eternity
どこまでが 現実の夜なのか
It's synchronicity
目覚めても いつか濡れた夢の海
I'm starving fantasy
めくるめく 甘い罠に浸り込む
From here to eternity
夢と現実の狭間を彷徨う恍惚――混沌を極める『THE OUTER MISSION編』のテーマそのもの。
烈飛鈴編は第七大教典収録の『ヒロイン・シンドローム』もタイトル候補に考えていたがいろいろあってこちらに。
【T列車で行こう】
◆T列車で行こう
アルバム:『恐怖の復活祭 THE LIVE BLACK MASS D.C.7 SELECTION (+α)』
作詞:デーモン小暮
作曲:デーモン小暮
発売:2006.5.24
2005年に再集結して行われた「恐怖の復活祭黒ミサツアー」のライブ盤の3枚目、解散後に発表された「新曲」である。
Wo-wo-wo-wo- あの頃に行こう
Trance Time Trainで とりあえず行こう
Wo-wo-wo-wo- そして乾杯を
セピア色の闇に
紛れていられる間に
このアルバムを聴いたのは発売からずいぶん後で(不覚!)、よもや新曲が聴けるとは思っていなかったので驚いた。
そして『Trance Time Train』!?
明らかに銀河鉄道的な何かで、これはもう出してくれと言ってるようなもんだろう――ということで時を渡る超特急『TTT号』の登場と相成りました。
【CENTURY OF THE RAISING ARMS】
◆CENTURY OF THE RAISING ARMS
アルバム:『LIVING LEGEND』
作詞:デーモン小暮
作曲:エース清水
発売:1999.10.21
第十七大教典(12th Album)『LIVING LEGEND』の10曲目。イントロからガツンとかましてその勢いのまま突っ走る、シンプルでパワフルでストレートなヘヴィメタル。
最終大教典ということで聖飢魔Ⅱの集大成的な名曲が目白押しの中、9曲目の「FROM HERE TO ETERNITY」に続いてのこの曲という流れが最高。
握った拳 力の限り
音の渦の中 突き上げ
寂しさも 虚しさも
吹き飛んでいた
かすかに胸をよぎる 切なさ
永遠の瞬間(とき)を信じた
どしゃぶりも 青空も
煌めいていた
静馬が同い年の慶一郎と対決する――『THE OUTER MISSION編』メインイベント回のタイトルはこれしかないと決めていた。
【BIG TIME CHANGES】
◆BIG TIME CHANGES
アルバム:『BIG TIME CHANGES』
作詞:ジャンキー・モンキー・ベイビーズ
作曲:エース清水
発売:1987.11.21
第四大教典『BIG TIME CHANGES』の6曲目にしてタイトル曲。
自分の信者歴はこの大教典の頃からなので思い出深い。
【怪力熊男】
◆怪力熊男
シングル:『白い奇蹟』
作詞:デーモン小暮
作曲:エース清水
発売:1989.8.2
第八小教典『白い奇蹟』のカップリング曲。
聖飢魔Ⅱでも一番無茶苦茶ではっちゃけた曲。何を歌ってるのか全然分からないがとにかくパワフル。
タイトル的に慶一郎のテーマ曲。
ちなみにケイン・バーネットのテーマ曲は、次の小教典『BAD AGAIN~美しき叛逆~』のカップリング曲でこの曲の対となる『JOKER~非力河童人間~』。
【美しきクリシェに背をむけて】
◆SAVE YOUR SOUL 〜美しきクリシェに背をむけて〜
アルバム:『NEWS』
作詞:Sgt. ルーク篁III世
作曲:Sgt. ルーク篁III世
発売:1997.4.23
聖飢魔Ⅱのハードロック路線の結晶ともいうべき『NEWS』のトリを飾る珠玉の名曲。
最後のコーラス部分で毎回鳥肌が立ってしまう。
時代をあばけ Save your soul
美しきクリシェに背を向けて
時代を越えて Save your soul
グルーヴへとクリシェは変わる
透き通る目で Save your soul
そこに吹く自由の風を浴びながら
言わずもがなだが『THE OUTER MISSION編』の核心に至るエピソードのタイトルとしてこれ以上のものはなかった。
【世界一のくちづけを】
◆世界一のくちづけを
シングル:『世界一のくちづけを』
作詞:デーモン小暮
作曲:Sgt. ルーク篁III世
発売:1993.10.21
第十六小教典のタイトル曲。1993年、中野サンプラザ40周年記念として開催された舞台”ロック・オペラ「ハムレット」”のテーマ曲。
胸の隙間を埋めるため 求め続け
忘れていた 優しい人を思い出している
数え切れぬ喜びと たった一つの小さな涙
見つめただけ 尽くしただけ 傷つけてた
あゝ いつの日か時を 飛び越えて届けにゆこう
あゝ 抱きよせて 世界一のくちづけを
グランドフィナーレにもってこいの もうベッタベタの壮大なバラード曲である。歌詞からして全編泣かせにきている。
【LUNATIC PARTY】
◆LUNATIC PARTY
アルバム:『THE OUTER MISSION』
作詞:デーモン小暮
作曲:エース清水
発売:1988.12.9
第五大教典『THE OUTER MISSION』の7曲目。それまでの聖飢魔Ⅱのイメージにないポップでキラキラした曲。
最後は大宴会で終わらせたかったのでこの曲に。PARTYの解釈が違うかもだが。
【GO AHEAD!】
◆GO AHEAD!
アルバム:『LIVING LEGEND』
作詞:Sgt. ルーク篁III世
作曲:Sgt. ルーク篁III世
発売:1999.10.21
第十七大教典(12th Album)『LIVING LEGEND』の13曲目、つまり聖飢魔Ⅱがバンドとして出した最後のオリジナルアルバムの大トリを飾る、8分51秒の大作である。
そこは悩みもなく
愛に溢れたとしても
生きている限り
見えない敵は今も
おまえの中にいる
あの日の過ちも嘆きも
記憶に刻み込んだら GO AHEAD!
1999年12月31日をもって聖飢魔Ⅱは解散し、構成員や信者全員が「聖飢魔Ⅱの存在しない世界」を生きることになるが、それは終わりではない。
ゴールは終わりではなく、そこからまた新たな旅が始まるスタート地点でもあるのだ。
――”前へ!”
なんとストレートで力強い、勇気を鼓舞するメッセージだろう。
紆余曲折いろいろあったうえでここに辿り着いたことが何より素晴らしい。聖飢魔Ⅱは本当に偉大なバンドだったし、信者で良かったと思う。
なお2010年の『〜地球デビュー25周年記念・期間限定再集結〜 聖飢魔II ICBM (Inter Continental Black Mass) TOUR』ではこれが1曲目に来てオオッ!となったのはいい思い出。
物語は終わっても、主人公をはじめとするその世界の住人たちの人生は続いていく。
そして読者の人生も、作者の人生もまた続いていくのだ。
そういった想いも含めて最終話のタイトルとした。
【1999 SECRET OBJECT】
◆1999 SECRET OBJECT
シングル:『1999 SECRET OBJECT』
作詞:デーモン小暮
作曲:Sgt. ルーク篁III世
発売:1987.11.21
第四小教典のタイトル曲で第四大教典『BIG TIME CHANGES』の3曲目。
疾走感あふれるストレートなメタル曲。
最初に聴いたのは『デーモン小暮のオールナイトニッポン』内で、いきなり「何これ超格好ええ!」と衝撃を受け、それ以来すっかり悪魔に心を奪われた。なので自分にとって聖飢魔Ⅱといえばまずこの曲というくらい思い入れがある。
歌詞的には『ノストラダムスの大予言』をはじめとする終末ブームがモチーフになっている。そもそも聖飢魔Ⅱが「世紀末」の当て字なので、この世の終わりを歌っているこれはバンドのテーマ曲みたいなもの。
エピローグがこのタイトルなのは、舞台が3年後の1999年7月だから。
史実において1999年7月には人類が滅亡しそうなイベントが何もないので、それじゃつまらんだろうと魔王が(サービスのつもりで)小惑星の軌道を変えて地球にぶつかるコースに乗せた――故に『1999 SECRET OBJECT』なのだが、続編を書くにあたってハッと気付いた。
エピローグで破壊されて地球に降り注いだ小惑星――あれは本当にただの石ころだったのか?
これである。
エピローグを書いた当時は本当にただの小惑星だと思っていたのだが、どうもそうじゃなかったらしい――というところから続編『真リアルバウトハイスクールXX』は始まることになった。
これが「後から拾うことで伏線になるパターンのやつ」である。
■まとめのついで
この記事を書くにあたり聖飢魔Ⅱのディスコグラフィを調べてみて驚いたのは、バンド結成から解散までの活動期間が十四年間で、これは1996年から始まった『召喚教師リアルバウトハイスクール』の執筆期間と同じだったということ。
バンドの歴史と同じく、リアルバウトも途中で迷走したり停滞したりいろいろありつつも最後はあるべき場所に辿り着いて大団円を迎えられたのも作者の信心の為せる業と言えましょう(過言)。
さて、このエントリーは真リアルバウトハイスクールXXの発刊で初めて前作の完結を知ったor続編が出たのでようやく前作の最終巻を読む決意をした人(地球上におそらく四、五人いると思われる)にだけタイムリーな内容となっている。
またこれを機に「聖飢魔Ⅱといえば蝋人形の館」の印象で認識が止まっている人や「デーモン閣下といえば白塗りで相撲解説する人」としか思っていない人に布教できたなら幸いである。
Amazon Music UnlimitedやApple Music等のストリーミングサービスにはほとんどの大教典が入っているので、興味を惹かれたなら試しに聴いてみてほしい。
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