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噛みちぎられたテスト

隠したまま40年ぐらい経ちました。


こんにちは。
彩夏です。


小学校の頃。
どの教科だったかは覚えていないが、0点を取ったことがある。


色んな所でお話しているが、私の両親はとても厳しかった。勉強に対しても例外ではなく、とくに私に対して過度な期待があったのか、よく成績について怒られた記憶がある。
私も私で、その期待に応えようと必死だった。


だからその0点は絶対親にバレたくなかった。


学校で捨ててしまうか。
帰り道、どこかに埋めるか。
燃やすか。


どうする、このテストよ。
私は数日間、学校に行っている間は制服のスカートのポケットに。
家に帰ると引き出しの奥に。
学校に行く時はまたポケットに。
そんなことを繰り返していた。


その当時、実家ではジャーマンシェパードを飼っていた。


名はジュリー。
母が沢田研二のファンだったからだ。
ちなみにジュリーは女の子。


父は沢田研二。
もとい、ジュリーを警察犬の訓練所によく連れて行っていた。理由は聞いたことがない。
その当時の父は、ジュリーを警察犬にすることが夢だったんだろう。


父は私達の部屋より大きい犬舎を建て、ジュリーはそこで悠々と暮らしていた。


頭も良かったのだが、私達姉弟のことを見下していたのか、近づくと牙をむいて吠え、全く懐かない。私達からすると、ジュリーはペットという印象は一切なかった。


ある日。
ジュリーの犬舎の前で、なんとなくポケットから0点のテストを取り出し、ため息をついた。
するとジュリーが突然、犬舎の柵から顔を出し、その0点をくわえ、そのまま犬舎の奥へ入って行ってしまったのだ。


ジュリーーーー(´;Д;`)カエシテヨ


親にバレるといけないので、大きな声でそう叫ぶわけにもいかず、どうにかその0点をジュリーから奪還しようと火バサミを持ってくるが届くはずもない。
だからといって、犬舎の中に入るのは、ある意味命の危険を感じた。


その犬舎の奥には、ジュリーの寝床があるのだが、小窓がついていた。
私は犬舎の裏に周り、小窓からジュリーの姿を覗くと、ジュリーは0点を噛みちぎって遊んでいた。

もうどうすることもできない。
さすがにジュリーは紙を食べることはないだろうから、犬舎の掃除をする父にバレる。


数日共に過ごした私の0点。
さようなら。


そしてその日の夕方。
父は予想通りカンカンに怒りながら家に入ってきた。


誰やーー!
ジュリーに紙食わした奴はーー!!


父は普段からヤンチャばかりしている弟ナガオに直行だった。
ナガオは知らないと言い張っていたが(そりゃそうだ)、父はこんなことするやつはお前しかいないと、ナガオは怒られていた。


あれから約40年。
私はいまだにジュリーの犬舎に散らばった、あの紙くずは、私の0点のテストだと告白していない。


ナガオ。
すんまそん。

画像は《あつかまくん/ゆみかまこ》さんからお借りしました。


それでは。
最後までお読み頂きありがとうございます。
ばいなら


66日ライラン/15th

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