雑賀千尋

普段は勤め人です。3年前からエッセイや小説を書いています。最近は仕事が忙しく更新が遅れ…

雑賀千尋

普段は勤め人です。3年前からエッセイや小説を書いています。最近は仕事が忙しく更新が遅れがちです。

マガジン

  • 【小説】二十歳、父からの手紙

    父親から20歳になった息子への手紙。息子がまだ生まれる前に書かれた手紙。家族に起きたある出来事について、死生観を交えながら綴られている。

  • 【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと

    連載の小説。三十歳になったぼく。大学時代を振り返る。 亮介さんは、大学の先輩。クセの強い、変わり者。 あおいさんも大学の先輩。海外志向の、ちょっとワガママな女性。 亮介さんとあおいさんは元恋人の関係。 亮介さんは、あおいさんのことが忘れられず、 彼女の留学先のドバイを訪れる。 そして、復縁を迫ろうとするのだが、 その旅行になぜかぼくも巻き込まれてしまう。

  • 英語の練習帳

  • 天気日記

    日々の出来事を天気をテーマにつづっています。ゆるりとざっくりとした(要はテキトーな)作者の人間性があらわれた作風が特徴です。

  • なぜか覚えている出来事

最近の記事

10.幼少期の別れというもの

その当時、私の祖父(トシオさん)は職業を引退していた。私の祖母(ミツヨさん)と一緒に私を連れて紀南に出かけた。シラハマやカツウラに行った。 私はこの旅をよく覚えている。夜中に私は両親が恋しくなった。「家に帰りたい」と祖父母に言った。それは真夜中だった。家に帰るには三時間はかかっただろう。それでも祖父母は私を家まで送り届けた。 どういうわけかこの記憶が深く刻まれている。残念さと申し訳なさが入り交じった感情が保存されたからだ。今となっては、祖父母は死んでしまったので、これはも

    • 9.幼少期の記憶の断片

      私が3歳の時、幼稚園に行きはじめた。とにかく落ち着かず騒々しい子どもだったらしい。通学には電車を使っていた。キノカワ線という私鉄だった。日常的に利用していたはずだが、その当時の記憶はほとんどない。今では、運営する会社が変わっていて、ずいぶんと様相が違う。 いわゆる赤字ルートだった。私が中学生のとき、それを廃線にするかどうかで揉めた。キノカワ市とワカヤマ市が関わり、論争が繰り広げられた。そして、どういうわけか大阪の鉄道会社がキノカワ線を買収し、争いは終わった。 通園には

      • 8. 私が生きた人生

        《3》 ここからは、私がいかにして、今の死に対するアイデアに辿りついたかについて話そうと思う。その目的のためには、私が私の人生をどのように過ごしてきたかをあなたに知って欲しい。 振り返ってみると、思っていた以上に、死は私の人生のあちらこちらにあった。しかし、自分の周囲で起きた死に対して、それなりの対応するには、私はある程度の年齢を重ねる必要があった。 一定の時間を共有した人々の死に直面した時、死に至る過程と向き合った時、私は理解した。チヒロ、祖父母、そしてタサカ先生の死

        • 7.君が生きる人生

          私は応答のため手紙を書いた。 人生への関わり方、という答えのないコンテンツ。弟は、それについて常に頭を抱えてきた。そして私とディスカッションを重ねてきた。彼は議論を好む。 しかし、議論も重要だが、私には考えがあった。 彼には、哲学的な話の以前の問題があった。心を持て余しているのではないかという。寂しさが人生訓を狂気的なものにしているという。栄養不足と承認の欠如が、彼をあらぬ方向へ奮い立たせていると。 そのような場合には、弟を帰郷させ、不足しがちな栄養素を補給し、

        10.幼少期の別れというもの

        マガジン

        • 【小説】二十歳、父からの手紙
          10本
        • 【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと
          32本
        • 英語の練習帳
          2本
        • 天気日記
          49本
        • なぜか覚えている出来事
          4本
        • ノート・ル・ダム
          14本

        記事

          【小説】 「亮介さんとあおいさんとぼくと」が読みやすくなりました。

          こんにちは。 雑賀千尋です。 お知らせです。 以前に書いた小説、「亮介さんとあおいさんとぼくと」が読みやすくなりました。 どう読みやすくなったかというと、次の話へのリンクを貼ることで、ページの推移が簡単になりました。 「はい?どういうことでしょう?」となると思いますので、ご説明しますと。 (PCなら問題ないのですが)スマホで読んでもらっている人には、この小説の1話を読んで、ページの下の方は、こんな感じで表示されるんですね。 次の話に進もうと思うと、ふつうは「次のノ

          【小説】 「亮介さんとあおいさんとぼくと」が読みやすくなりました。

          The way of life to be

          私は仕事のために外国に行きました。 どこに行ったかわかってしまうので、私がどこに向かっていたのかは内緒です。 一週間その国に滞在したので、今日本語を話しているのはちょっと不思議な気分です。 空港に着いたとき、私の周りにたくさんの日本人がいるのには本当に驚きました。日本にいるのだから当たり前のことなんですけどね。 そのときに、こう、ちょっと世界観というか視点が変わる感じがしました。 私は日本育ちの日本人ですから、ネイティブ的に日本を見ています。

          The way of life to be

          「英語の練習帳」はじめます

          I would like to start a new Magazine. The name is"英語の練習帳". The reason why I begin is it’s just I need to study English. Particularly for business. At first, it’ll be something like dairy. I am going to write what I can express. In the fu

          「英語の練習帳」はじめます

          しばらく更新が止まっております。引越しやら、転職やらで、バタバタしております。海外出張もありまして。年末くらいに落ち着いたら、小説の続き投稿いたしますので、お待ちくださいませ。

          しばらく更新が止まっております。引越しやら、転職やらで、バタバタしております。海外出張もありまして。年末くらいに落ち着いたら、小説の続き投稿いたしますので、お待ちくださいませ。

          天気日記20181113

          火曜/雨のちくもりのち晴れ こんにちは。 つい2週間前、ついに冬がやってきたか、なんて書きました。 しかし、そこからしばらくして、様子が変わりました。 先週末なんかは、関西では、日差しが強く、毛布なんて暑すぎて汗をかき、逆に風邪を引くのではないか、と思うくらいには暖かい天気でした。 気温が高い日が続いています。 あわてて出した、コート類なども、ちょっと居場所がなくなって困っています。 まるで、世間から期待され、意気揚々と入団してきた大型新人のプロ野球選手。シーズ

          天気日記20181113

          大学時代、お金がなくて、はなまるうどんで、かけ小ばかり食べていたことを思い出して、わびしい気持ちになっています。(実際、食べたのはかけ中とてんぷらで、ずいぶんと贅沢です)

          大学時代、お金がなくて、はなまるうどんで、かけ小ばかり食べていたことを思い出して、わびしい気持ちになっています。(実際、食べたのはかけ中とてんぷらで、ずいぶんと贅沢です)

          ひらがなだけのぶんしょう

          ぶんしょうをかいているなかで、すこしかんがえたことをためします。もし、ぶんしょうが、すべて、ひらがなだけで、かかれていたとしたら。 あるいみ、これは、にほんごにたいする、ちょうせんです。 じつは、いぜんに、だれかの、ぶろぐで、こんなことがあった。 ちょうせんご、はんぐるには、にほんごでいうところの、ひらがなやかたかなの、くべつがないそうだ。 ひらがなが、ずっとならんでいるようなものだ。 それをきいて、ぼくは、すべてひらがなで、ぶんしょうを、かいてみると、どんなこと

          ひらがなだけのぶんしょう

          1日に、使えるエネルギーは有限。移動するでも、話すでも、エネルギーを使う。そのうち、文章を書くことに当てる時間をいかに捻出するか。毎日投稿している人をいたく尊敬します。

          1日に、使えるエネルギーは有限。移動するでも、話すでも、エネルギーを使う。そのうち、文章を書くことに当てる時間をいかに捻出するか。毎日投稿している人をいたく尊敬します。

          天気日記20181031

          水曜/晴れ ついこの間まで、秋になっても暑いだのと言っておりました。が、季節は確実に移ろうわけでして、布団が一枚だったのが、二枚になりました。そして私は、どうしようもない寒がりですので、先週末には、ついに毛布が出動しました。 どこか暑さに夏みを感じていたのに、いつの間にやら、ビルを吹き抜ける風や夜の冷え込みに、冬がもうすぐやってくると感じずにはいられません。 さて、今日も労働に出かけます。

          天気日記20181031

          6. 人生の意味を知らない弟

          その年の夏、千葉の弟から手紙が来た。チヒロは高校を卒業した後、千葉の国立大学に通った。彼は私と比べてずっとスマートな頭脳を持っていた。そして、私よりはるかに歪んだキャラクターを持っていた。 「私はもはや人生の意味を知らない。どうにかして管理しようとしても、状況は改善されるとは思えない。生きているのはいやだ」 彼から時々この種の手紙を書いた。私も別に生きる意味なんて持ってない。私自身の意味なんて誰も知らない。そういうものだ。しかし、彼は自分の意味を必要としていた。 お

          6. 人生の意味を知らない弟

          天気日記20181021

          日曜/晴れ 雲一つない青空だった。 僕は二度寝をし、昼寝をし、一日が終わった。 どこの田圃でも収穫が終わった。 毎週のようにどこかの田圃でトラクターが走っていた。 たいていは、70歳を超えた高齢者たちだった。 若くても、50代だった。 残ったのは、刈り取られた稲。 僕の住むあたりでは、野焼きをしている。 稲を燃やした匂いがする。 「煙たくて迷惑だ」と文句をおっしゃる方もいるらしい。 この時期独特の匂いである。 今まで、それが、10月の中頃のものだとは知らなかった。

          天気日記20181021

          町はかわっていく

          私の地元はいわゆる郊外的な、住宅街的な、田んぼを埋め立てて、つくられた「町」です。 もう住んで30年近くになるわけですけども、時の流れというのは残酷なもので、その町の中でも、ずいぶんと景色が変わりました。 長く続いてた食堂が、住宅に変わっていたり、 ガソリンスタンドがペットショップに変わっていたり、 「●●ショッピングセンター」といった地域名+ショッピングセンターという名のスーパーマーケットは介護施設に変わっています。 時が流れれば、ものごとは変わって

          町はかわっていく