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里山を走るトロッコ、養老渓谷の秋

仕事を前倒しで終えることが出来たので、無性にどこかに行きたくなった。
都内に出るか県内で楽しむか迷ったけれど、前から行ってみたかった養老渓谷方面へ、ローカル線に揺られて行くことにした。
小旅行であっても事前に綿密に計画を立てて、行きたいところの優先順位を付け、電車やバスの効率的な乗り換え時刻も全て調べて手帳に書き込み、予定通りにいかなかった場合の「パターンB、C」まで作ってしまうのが私の常で、旅行前の手帳のページはかなり細かいことになっている。
(ちなみに血液型はまごうことなきB型)

そもそも突然思い立って旅行に出かけることが珍しいので、ならばいっそほぼノープランで行ってみることに。
途中までの電車の時間くらいは調べるけれど、後は気の向くままに。
乗り換えを調べたところ、ちょうどトロッコ列車に当たることがわかった。
事前予約もしなかったので、乗れなければその時という事で。

里山トロッコ列車が最高過ぎた

これは撮りたくなる

係の人に訊いてみたところ、席を決めることは出来ないまでも予約なしでOK。
そのうえボックスシートを独り占めできるレベルに空いていた。
通常の列車なら1時間で行けるところを、スピードを落としてゆっくり走ることで所要時間は1時間45分ほどかかる。
車内にトイレは付いていないので大丈夫かと思ったが、途中の上総牛久駅で10分ほど停車時間があるので問題なかった。

絶対読めない海土有木(あまありき)
(画像サイズが小さくなってしまった)
駅名標や駅舎とか、つい撮りまくってしまう

各駅停車かと思いきや、通過駅の方が多かった。
駅を通過する時はさらに減速して、その駅にまつわるエピソードや周囲の観光名所についてアナウンスがあるのが嬉しい。
上の写真2枚も通過駅のもので、馬立駅はその昔に馬のセリ市が行われていた説があるとか。

トロッコ列車の特別感なのか、沿線の住民の方や通りかかった方、農作業をしている方などが皆手を振ってくれて、こちらも嬉しくなって思い切り手を振る。

停車駅の上総牛久では、お饅頭やコロッケなどのホーム販売があった。
昔の駅弁売りのような木製のケースに入っているとつい欲しくなってしまい、まんまと「シャインマスカット大福」に財布の紐が緩む。

窓を開けて風を受けながら、車窓の風景は田園から里山の林へと変わっていくのに気付いた。
草の匂い、森の中を走る車両に触れる小枝の音、髪を揺らし頬に当たる風。
地元のローカル線に乗った時に感じた心地よさにとても似ている。
懐かしさと大きな幸福感に包まれた時間だった。

いざ養老渓谷へ!

トロッコ沿線後半の里見駅でも10分ほどの停車時間があり、ホームで飲み物やお酒、軽食の販売がある。
このトロッコ列車、先の台風で一部線路に大きなダメージがあり、途中の月崎駅から養老渓谷駅までは代行バスでの移動になっている。
ちょっと残念に思いつつも、レアケースを体験するのもこれまた一興ということで月崎駅でバスに乗り換える。
ちなみにこの月崎駅、2023年11月現在トイレが工事中で仮設トイレのみとなっているのでご注意を(トイレ問題は重要)。

バスで15分ほどで養老渓谷駅へ。
ひとまず付近を歩き、フォトスポットを探してみる。

橋の上から
打ち捨てられたレトロベンチにも惹かれる
紅葉には少し早いけどもみじが綺麗

2㎞くらい歩いて、あまりに人っ子一人居ないので少し怖くなり引き返す。
バスで滝を見に行けばよかったとちょっと後悔。
それでも静かに流れる時間と木々に癒される。

駅前食堂、良い意味で裏切られる

お昼時、ノープランでランチ難民になる可能性もあったのでパンを1個持参していたのだが、結局は持ち帰ることになった。
ランチができそうなところはかなり歩くかバスを利用することになるようなので、売店で売っているおにぎりを買ってベンチで食べるか、1軒だけある駅前の食堂に行くか迷うところ。
若い頃なら敬遠しそうな、昭和感満載の駅前食堂に行くことにした。

昔ながら感が満載

店に入るとまだ空いていて、テーブル席にぽつりぽつりと人がいる程度。
食堂とお土産屋さんが併設されていて、壁上のテレビではNHKの朝ドラ再放送。
THE昭和な、駅前に1軒だけの食堂ということで、正直あまり期待はしていなかった。
山菜そば、うどん、ラーメンが名物らしく、それならばと山菜ラーメンを注文。
駅そば同様に、水煮の山菜レベルだろうかと思ったところ……

実はこの後……

わらびが何本も丸ごと入っていてちょっとテンションが上がる。
さらにゼンマイ、ヒラタケのようなきのこ、たっぷりのメンマ、大ぶりのエリンギ、隠れているけどシイタケが丸ごと1個、まさかのブロッコリー。
(ブロッコリーは茎ごとざっくり切った形で入っていたけど、青々としながら絶妙に火が通っていて柔らかかった)
チャーシューも下にもう1枚と、実は相当の具だくさん。

写真を撮った直後に店主のおじさまが「ごめんねえ」と言いながら登場。
入れ忘れたらしいナルトを乗せてくれた。
さらに食べ始めてから、「またごめんねえ」とキノコの煮たのを鍋からたっぷり入れてくれた。
このキノコがシャキシャキして美味しい!

いや本当に、駅そばの水煮レベルの山菜だろうと高をくくってごめんなさいと心の中で謝った。
麺は細めのちぢれ麺、スープは濃い目の醤油味でごく標準レベルながら、こってり系が厳しくなったお年頃にはあっさりと美味しく食べられた。
山菜は季節によって変わるらしく、今回はキノコが多め。
春はこごみや行者ニンニクなども入るらしいので、春にも訪れてみたい。
周りに杉の木が多いのが悩みの種だが……

思い立ったが小旅行

その後は少し足を伸ばしてパン屋さんに行ったり(旅先の個人経営のパン屋さんを巡る「旅ぱん」をまとめる作業中)、駅ナカの足湯に浸かったりと短い時間ながら満喫した。

貸し切り状態♪

歩いた後の足湯のおかげか、帰りの電車では睡魔が。
思い立ったが吉日とばかりに何も考えずに出掛けた小旅行、大きなエネルギーチャージとなった。
次は滝を見てみたい、泊まってみたいなど「ここでやりたいこと」が増えたので、また近々行ってしまうかも知れない。
多分綿密に計画を立てて(笑)。



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