第17回 プロハイカー・齋藤正史さん登場!

おはこんにちばんは。

今回はロングトレイルハイカーの齋藤正史さんへのインタビュー最終回です。アメリカの3大トレイル※をはじめ、数々のロングトレイルを歩いてこられた齋藤さんが、「富士山ロングトレイルプロジェクト」の最初のスルーハイカー(単年で全行程を一気に歩くこと)として、途中、古民家宿rootfieldに宿泊されました。
※アメリカにある長大なトレイルで、それぞれPacific Crest Trail(PCT)4,260km, Appalachian Trail(AT)3,498km, Continental Divide Trail(CDT)約4,300〜5,100km

「前回は富士山まわりのお話を伺ってきましたが、最近齋藤さんは九州の方のかなり長いトレイルを歩かれたということで、そのお話を・・・。個人的な興味が強いんですけど(笑)」
「ほんとは去年アメリカに行く予定だったんですけれども、1月ぐらいに大体のスケジュールも決まり、というところでコロナが発生し・・・」

「ちなみにアメリカのどこを歩く予定だったんですか?」
「アメリカ連邦政府が作った、トレイル法という法律があって、その中の一つに指定されているトレイルを歩こうと思って計画をしていたんですが、それが行けなくなってさぁどうしようかというところで、じゃあ日本を歩こうと。私がアウトドアの世界に入ったきっかけになった加藤則芳さん※が亡くなって、私がバトンを受け継ぐような形でこの世界に入ったんですけれども、彼が再生させようとした道が九州自然歩道という道なんですね。以前そのお話を聞いていたこともあって、じゃあどの程度再整備したんだろうっていうのを見てみたいと思って歩いてみようと。」

※日本におけるロングトレイルの第一人者。信越トレイルをはじめ三陸復興国立公園など、日本のロングトレイルの普及と、自然保護のために尽力した。2013年4月17日永眠。

「全長何キロですか?」
「2,100kmです。」

「2,100km!(笑)そんなトレイルが日本にあったんですね!
この辺りにも実は東海自然歩道っていう長いトレイルが走ってますけど、あれで1,100kmぐらいでしたっけ?」
「そうですね、東海自然歩道は全部繋がってるかどうか微妙なんですが、日本にロングトレイルを作ろうってなったのは、アメリカのトレイルがモデルになっていて、一番最初にできたのが東海自然歩道、二番目にできたのが九州自然歩道なんですね。で、そこから四国とか、東北とか、今北海道にも建設中なんですけども、日本全国津々浦々まで自然歩道っていうのが、環境省によって今作られていると。」

「2,100kmって日本で一番長いですか?」
「そうでしょうね。繋がって歩けるっていう意味では多分一番長くなると思います。」

「その時(九州自然歩道)は工程は何日間ぐらいだったんですか?」
「えーと確か2ヶ月半ぐらいですかね。九州7県全部通って1周するみたいな感じですね。」

「九州自然歩道の魅力を一言で言うとなんですか?
難しい質問だと思いますが(笑)」
「なかなか再整備も進んでなくて難しい部分もあるんですけれども、元々九州と山口の経済界の人たちが、歩いて回れるような観光地になったらいいねみたいなテイストも若干あるので、まぁまぁ良い観光地を通るケースもあるんですね。国立公園はもちろん、天草地方や、被災にあった熊本の人吉市、あとは鹿児島の南の方にある指宿も通りますし、ほんとに観光地として有名なところとか景勝地を通るので、歩いて観て楽しめるっていうところが一つの魅力だったかなと思いますね。」

「通常そういった観光地って、日本人でも外国人でも、単発でそこに行って帰ってきちゃうパターンが多いと思うんですけど、そういう自然歩道を歩きながら(観光地を巡る)っていう楽しみ方だと、いろんなところを歩く人からしても(観光を)繋げられるし、地域の人からしてもいろんな人がきてくれるのですごくいいですよね。」
「そうですね。やっぱり歩くスピードって立ち止まれるので、自転車っていい景色だなって思ってもまぁまぁスルーしちゃうと思うんです。バイクなんかもっと速いし車ももっと速いんですけど、歩くと(すぐ)止まれるし、声かけられて止まって話もできるんですよね。そういう意味ではすごくゆったりとした旅のアイテムなんじゃないかと、二本足っていうのは。」

「特に今はいろんなことが目まぐるしく変わっていく時代なので、たまにはゆっくりと世界を見るっていうのはいいかもしれないですね。」
「私なんかだと東北に住んでるので、九州に今回初めて行ったんですけど、高校野球に出てくる高校の名前だったりとか、ニュースで出てくる地名とか、サッカーのクラブチームがある地域に行くとその名前が出てきたりして、ネットとか新聞とかニュースで見るような地名を実際に見て歩きながら『あぁここなんだぁ』っていうのも案外面白いなと(笑)」

「頭で知るのと体で知るのはまた違いますもんね。」
「ほんとにいろんな意味で楽しかったですね。素敵な出会いもたくさんありましたし。」

「では残り時間も少ないんですが、今齋藤さんがやられていることやこれからやっていきたいことはなんですか?」
「私はトレイル文化を皆さんに知っていただくような活動をしているので、毎年1本トレイルを歩くという目標がありますし、それを皆さんにお知らせしながら、地元の山形にトレイルを作る活動っていうのもやってますので、いち早く皆さんに山形に来て歩いていただけるようになるように、あとはいろんな方にトレイルのカルチャーを知ってもらえるように色々と情報を発信していきたいと思っています。」

「今はホームページとかって」
「私のホームページもあるんですけど、今ちょうど九州自然歩道のレポートが山渓オンラインていう『山と渓谷社』さんのWebページで公開してまして、ちょうど土曜日(2021年4月10日)で最終回第9話がアップされましたので、ぜひどんな旅だったのか、どんな道のりだったのか見ていただけたらありがたいなと思います。」
「あと、今回の富士山ロングトレイルの模様なんですけれども、コロンビアさんのホームページ(https://withoutdoor.jp)で着用したウェアのレビューとともに、多分3話ぐらいでレポートする予定になってますので、こちらは多分ゴールデンウィーク明けとかになると思うんですけれども、その頃から徐々にホームページの方でアップしていくと思いますので、そちらもご覧いただけたらと思います。」

「それでは齋藤さん、長い時間ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」


はいというわけで3回に渡ってロングトレイルハイカー・齋藤さんにお話を伺いましたが、いかがだったでしょうか!
めちゃくちゃ内容の濃いインタビューで実は収録前後にもかなり長い時間お話を聞かせていただいたのですが、いやー面白い旅の話に刺激されると僕もうずうずしてきちゃいますね。
ちょっと面白いことを思いついたので、追々お知らせしますね。

それではまた!

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