第15回 プロハイカー・齋藤正史さん登場!

おはこんにちばんは。

今回から3回はロングトレイルハイカーの齋藤正史さんへのインタビュー回です。アメリカ3大トレイル※をはじめ、数々のロングトレイルを歩いてこられた齋藤さんが、「富士山ロングトレイルプロジェクト」の最初のスルーハイカー(単年で全行程を一気に歩くこと)として、途中、古民家宿rootfieldに宿泊されました。

※アメリカにある長大なトレイルで、それぞれPacific Crest Trail(PCT)4,260km, Appalachian Trail(AT)3,498km, Continental Divide Trail(CDT)約4,300〜5,100km


齊藤正史さん

はやし(以下、は)「本日はロングトレイルハイカーの齋藤正史さんに来ていただいております。齋藤さん、よろしくお願いします。」
齋藤さん(以下、さ)「よろしくお願いします。」

「齋藤さんはすごい方なので、ご存知の方も多いんじゃないかと思いますが、世界各国のロングトレイルを歩かれたりとか、日本でもいろんな活動をされてると思うんですけれども、齋藤さんの方から自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか。」
「ロングトレイルハイカーという形で活動させていただいてます、齋藤と申します。山形県上山市に住んでいます。コロンビアさんのアスリート&アンバサダーをさせていただいてまして、その関係で今回こちらに来ています。山形でもトレイルを作る活動をしてまして、8年目ぐらいになるんですが、なかなか行政の方の理解が・・・」

「あるあるですね(笑)」
「最近はようやく協力を得られるようになってきまして、道の方もだいぶできてきているところで、2〜3年後ぐらいに60kmぐらいなんですけど、蔵王の国定公園周りを歩けるような、アメリカのトレイルに倣った形のようなものを作りたいなと思って今活動をしています。」

「そのあたりも個人的にお話を伺いたいところなんですが(笑)、今回齋藤さんが西湖に来ていただいた理由というのが、コロンビアさんからのお仕事として「富士山ロングトレイル」という富士山を一周するトレイルプロジェクトが進んでいる中で、それのモニターという感じですかね。」
「そうですね、コロンビアさんから「富士山ロングトレイルの一番最初のスルーハイカーになってください」というオーダーをいただきまして、今回いただいたルートを元に、まだ公表されていないんですけど、14分割しながら今日11日目に西湖に来たという感じです。」

「おー、終盤ですね。富士山ロングトレイルというのはどれぐらい前から計画されていたものなんですか?」
「割と最近計画されたものらしくて、私も深くはわからないんですが、おそらくここ1〜2年、多分コロナの関係も相まって進められた活動のようです。おそらくガイド関係の方々が主導になってルートを作ろうという中には、やっぱり富士山て登る方が集中するじゃないですか。そうすると環境にめちゃめちゃ負荷がかかってくるので、富士山というところをみんなで守っていきましょうというところで、じゃあ富士山を見ながら麓を歩いてみようよと、かかる負荷を分散させようという考え方も(本計画の)中にはあるみたいですね。」

「齋藤さんはもう11日目ということで大部分を歩いてこられたと思うんですけれども、実際歩いてこられて、この富士山ロングトレイルの魅力をお伺いしたいんですが。」
「まさに富士山につきますよね。富士山の周りを歩いていると、14分割するのでだいたい1日十数キロという計算になると思うんですが」

「全部で何kmぐらいですか?」
「約200kmぐらいです。」
「そうすると、10kmずつとかでも角度が変わるんですよね。富士山の形が変わる。」

「そうですよね。僕自身も山梨県に移住する前は静岡県に住んでいたんですが、やっぱり山梨側と静岡側では形や見え方がだいぶ違うので、それを1周ですもんね。」
「そうですね。もちろん天気も変わるので、『ここでこの富士山が見えるんんだろうな』と思ったらガスで見えないとか、予想外に『こんなとこでこんな富士山が見えるんだ』とか。で、けっこう全身を見せてくれないんですよね(笑)。ちょっとずつチラ見させてくれてるみたいな。なんかうまくあしらわれてるのかなって(笑)」

「逆に『こんなところが大変だった』みたいなところってありますか?」
「けっこう山域を中心に歩いているので、今回は涼しかったのでそれほど水(の問題)っていうところはなかったんですが、どうしても食料の補給が難しいっていうのがあるので、今回は試験的な感じでもあったので、食料を何分割かして届けていただくような感じで調達したんですけど、いずれはポイントポイントに食料をデポして留めておいてそれをピックアップしながら歩くっていうスタイルがもしかしたらベストなのかなぁっていう風には、今回歩いていて思ってました。」

「齋藤さんはアメリカの3大トレイル※も全て踏破されて、向こうだとそういった荷物のデポっていうのが(普通というか)、実は僕も少し歩いたことがあるんですが、向こうだとトレイルエンジェルと呼ばれるような人たちがいたりしてそういう文化は向こうの方が根付いているというか・・・」
「そうですね、トレイルエンジェルとかトレイルマジックって最初はなんのことやら全然わからないと思うんですけど、例えば山の中を3日間ぐらい歩いていて、店も何にもなくて『炭酸飲みてぇな〜』とか思ってるといきなりクーラーボックスがあるんです。そこに『ハイカーへ』って書いてて、蓋を開けると冷たくはないんですけどビールやジュースが入ってたりするんですけど、それが魔法のような出来事なのでトレイルマジックって言って、それをやってくれる人たちをトレイルエンジェルって言うんですけど。
あとは例えばアメリカのトレイルを歩いていると、道路に出て街までいかないと食料補給できないんですけど、20マイルとか30マイル(大体32kmとか48kmとか)峠の道から離れてるわけです。そうするとどうやって行くかってヒッチハイクするんですけど、その時に『街まで行くんだろ?乗ってけよ!』っていう風にハイカーに親切にしてくれる人たちのこともエンジェルっていって、まさに天使なわけですよね。
その2大用語(エンジェルとマジック)は必ず出てきますよね。覚えていただくと非常に良いのかなと(笑)」

「日本だとなかなかそういったことを聞いたりイメージすることはないというか、文化の違いとか昔からのアウトドアとの接し方っていうのもあると思うんですけど、そういうのももう少し日本で普及していくと歩く人も歩きやすくなったりしますよね。」
「そうですね、まぁ無意識のトレイルエンジェルっていうのもアメリカでもいるんですけれども、日本でも時々歩いていると、缶コーヒーくれたりとか、一昨年に三陸を歩いていたときはテント張る場所がないなぁと思っておじさんに聞いたら、『うちの作業小屋の前だったらいいよ』ってテント張らせてもらったりだとかっていうのも、ごく稀にですけれども、トレイルエンジェルとか意識しないでそういうことをしてくれる方もけっこういるので、もしかしたらそういうのが一般的に根付いていくと、なんとなくいろんな触れ合いができる一つの良い出会いの形にもなるんじゃないかなと思いますね。」


というわけで今回はロントレイルハイカーの齋藤正史さんにお話を伺いました。富士山ロングトレイルの話からアメリカのトレイル文化の話にまで広がってしまいましたが、聴いてる僕はめちゃくちゃ楽しかったです(笑)

明日以降も続きます!
それではまた!



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