「上野動物園のコンドル」

 上野動物園に行った。自分は動物好きと名乗るほどのものではないけど、街ですれ違う犬は目でしっかり追いかける方だと思う。気になる犬は、通り過ぎても振り向いてまで見る。飼ったことはないけど、服を着ている犬のその背中が好き。生前の、祖母のまるまった小さな背中を思い出す。ちゃんと動物園に行ったのは、高校の修学旅行ぶり。

 今回動物園で気づいたこととしては、自分の中で、何も考えてなさそだなという動物と何か考えてるにちがいないという動物の二つに分類されているということ。

 特にフラミンゴは何も考えていなさそうだった。みんなで同じ方向に移動して、意味もなく鳴いている感じがした。異様でコミカルでありながら、ピンクというのが良かった。母乳が赤いのを知っていたが、この目で見ることはできなかったので残念だった。

 それに比べて、コンドル。コンドルはすごかった。しばらく目が離せなかった。何があっても動じない風格があった。彼らは何も考えていないはずがない。友人とじっくりと観察した。羽は黒々と肉厚としていて筋肉質。他の鳥は、人間に見られていることなんか知らなそうに暮らしていた。だけどコンドルは違った。見られていることを分かっている。知っている。あちらもこちらを見ている。私たちは真正面から見合っていた。

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