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24.3月オケ練習会②:懇親会の打診。

これからは、ほぼマエストロ・H先生の指揮練習となる。
果たして、このカオスなブラームス交響曲第3番の演奏をマエストロはどうまとめるのか…(ちゃんと弾け、自分!)。

H先生の前で全楽章を弾くのは、今日が初めてだった。
私たちにしても、H先生がどういうテンポを求めてくるのか、この時までわからなかった。
私たちが練習していたよりも、若干速い。
とはいえ、常識の範囲内だ。ついていけない私たちが悪い。

指揮者って本当に大変だなぁと思う。
このカオスな音の集合体を、何をどうすれば良い方向へ持っていけるのか、瞬時に見抜く能力が求められる。

パートごとに取り出してみたり、表現の仕方を噛み砕いて指示したり…そうすることでどんどんまとまっていくから、すごい。

本番までにどこまで到達できるか、楽しみである。


練習会を終えて、H先生はひと足先に帰り支度をして会場を出ようとしていた。

私と目が合った。

私はH先生に「今日の練習も大変勉強になりました。ありがとうございました。」と言って、頭を下げた。

というのも、先日のチェロレッスンの際、師匠が「Hさん、お前んとこのオケ、辞めるつもりだってよ。」と話していたのを思い出したのだ。

H先生
「なになに、夜さんどうしちゃったの?!」
と面食らっていた。

「だって、このオケの指揮者、辞めるつもりなんでしょう?」と言いたいのをぐっと飲み込んで、私はニッコリしてみせた。
「また次回の練習も、よろしくお願いします。」

           ★

次の演奏会へ向けて、今回は1泊2日の合宿を行うそうだ。
楽団の合宿なんて、学生のとき以来。

参加を打診されたけれど、1日目は仕事とかぶっているので、中途参加になる。
そうパートリーダーに話したところ、
「だよね。仕事あるよね。途中からでも参加してくれると助かるよ。」と言われた。

           ★


「夜さんのお師匠さんと懇親会?ファンミーティング?できないかな?」
同じチェロパートのSさんにそう言われた。

そういえば、私が入団したときにも言われた。
なんだかんだ言って、市内(県内?)のクラシック界隈で師匠は人気者だ。

それで以前も懇親会を設定しようとしたが、先生もなかなか忙しい時期で都合がつかなかった。私の都合も合わせようとしたから、なおさら。

チェロパートの皆さんと先生の都合が合えば、私抜きでも良いのではと思ったが、先生は「夜も参加すること。」と言って譲らなかったので、実現できなかった。

本音は、私抜きで懇親会をしてほしいのだ。
いらないことを言ってしまいそうだし、素の先生を知っているから、猫被っている先生を見るのが気まずい。
先生には人前で私のことをいつものように呼び捨てにしてほしくないし、ましてや、ベタベタもしてほしくない。
団内では無口な私のあんなことやこんなことをバラされるのは、もっと嫌だ。

…いろいろなことを考えると、気が進まない。
かと言って、チェロパートのみなさんに「師匠を私たちと会わせないようにしている」とか思われたくないしなぁ…。

「…じゃあ、先生に都合を聞いてみます。」
と私は返事した。
日時設定は、5月の定期演奏会が終わってからでいいよね?