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たった一つしか取り柄のない僕だから、とにかくひたすらに頭の中を叩く。 僕と帆月を繋ぐ…
「やあ」 出来るだけ明るく挨拶をしたのだけれど、帆月から返事が来ない。 「比奈山の家も…
やって来たのは比奈山で、比奈山は鉄塔を見上げたあと、ぐるりと公園を見渡した。 「また一…
僕は一歩、帆月へ近づく。 帆月は唇を噛み、身構える。 そこへ、スッと一人の男が近寄…
その集団は誰もが浴衣姿で、自転車の接近に気が付いたのか、一斉に振り返った。どの顔にも兎…
自転車は地面とほぼ水平に、確実に空を飛んでいて、送電線と並走している。もうすぐ川に差し…
「椚彦、しっかり掴まっててよ。僕の命は君が握ってるんだから」 背中にそう声を掛けると、首元にギュッと反応が返って来た。 「行こう!」 僕はとにかく恐怖を振り払うために、大声で叫んだ。 「よし!」比奈山も声を絞る。 「……二人とも、自転車を押してくれ!」 僕は大声で叫んだ。「自分からじゃ漕ぎ出せないんだ!」 「格好悪いなあ」 ヤナハラミツルが笑った。 「伊達、これ持ってろ」 比奈山はそう言うと自分のお守りを外し、僕の首にぶら下げた。 「これ……?
ヤナハラミツルが持っていた鍵を使い、工事用のエレベーターで屋上に上がった。 屋上には…
「どういうことだ?」比奈山が首を傾げる。 どんなに目を凝らしてみても、送電線の間にあっ…
比奈山は鉄塔の天辺を見上げ、それから僕に言った。 「場所を変えよう。こっちだ」 そう…
どちらが上下か分からない。それでも僕は無我夢中でもがいた。 ようやく水面へ顔を出すと…
「……これで終わりかな」帆月は立ち上がり、前後を見渡した。 「そうかも」 「あそこ、集ま…
「みんな、忘れられるために歩いてるの」 「忘れられるって、どういうこと?」 彼女の顔は…
「川に流すって、言ってたよね……」 「え?」 「調神社で、お面の人たちが言ってた。川を流し、海に返すって」 「そう言われれば……」 そうだったかも知れない。僕はあまりにも慌てていたから、ほとんど覚えていなかった。 「すべて忘れる……記憶……」 帆月は後ろを振り返った。 物の列は94号鉄塔を乗り越え、93号鉄塔へ向かう送電線をゆっくりと歩いてくる。 「あれは、記憶なの? 物の記憶?」 帆月が小さな声でそう呟いた。 「え? どういう意味?」 「古くな