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漫画制作&漫画家アシスタントの裏話

今日は漫画家のアシスタントは何をしているのか?
というお話を綴ります。
皆さんが聞いたことのない情報が沢山あると思いますので、ぜひ読んでいってください!
それと、アシスタントをしてみたい人への参考になれば幸いです。


私は5人以上の漫画家のアシスタントを経験しました。
(もっといたけど詳細は忘れたw)

基本的にどこも午前11時~深夜27時がお仕事時間帯です。
これは出版社や漫画家の年齢に関係なく漫画家のお仕事活動時間帯がこの時間です。

住み込みで睡眠時間は0~7時間程度。
締め切り間近は徹夜が普通です。

こちらの記事で書きましたが、その場の空気感、漫画を描く現場では普通だから……という、業界内にいると気づけない、分からない異常な状態です。

現代はデジタル原稿が普通なので、住み込みではないお仕事形態が増えていると思います。自宅で作業できる場合は安心していいと思います。

給料は基本的に1万円。
交通費が出る所もありますが、出ない所の方が多いです。
交通費を出すと書いてあっても、漫画家が忘れていて払ってもらえない事もあります。
これが「ザ・個人事業主と働く点」でのデメリットとなります。
口約束みたいな条件で働く現場なので。

皆さんは、漫画家のアシスタントというと、どんなお仕事を思い浮かべますか?

そうですね。
背景を描く。正解です!
名もないエキストラを描く。正解です!
吹き出しを描く、スクリーントーンを貼る、ベタ塗りをする。正解です!
他には思い浮かびますか?

ここからは、以下の3つのリアルな現場のお話をします。

①学生時代の友人の友人の有名美少女漫画家アシスタントの話

②有名美少女漫画家のアシスタントチーフをしていた友人のお話

③編集者だったか漫画家から直接聞いた話


①の現場は週刊少年誌。
異常な忙しさなので、漫画家によっては手足を描く時間がありません。
よって、漫画家は手首と足首までしか描きません。
アシスタントがその先の手足を描きます。
特に手に物を持っていたり、靴を履いていると描くのに時間がかかるのでアシスタントの仕事になります。
私はその方の漫画が好きなので、最初にその話を聞いた時は信じられませんでした。なぜならその漫画家はインタビューでメインキャラは自分が全部描いている。と話していたからです。
ただ実際の現場ではそうではない。確かにキャラの顔や体は漫画家が描いているので、言葉の捉え方によっては間違ってはいない気もしますが……。
因みに、漫画業界にいない人は連載の凄さを私たちほど理解していないと思いますのでお伝えします。
隔週漫画はもちろん、月刊連載でも凄いです。
毎月1本漫画を描き上げるのは大変です。
自由に描いているわけではなく、編集者に言われたように物語や絵、コマ割り、演出等を細かく何度も描き直す&描かなければいけない所もあるので。
自由に描けるとしてもかなりキツイです。
週刊漫画家はスーパーサイヤ人のような人で、別格の漫画家です。
精神と体が丈夫で、面白い「漫画」を作るための頭の回転が速くないと2週間持たないです。
カイジの作者さんが週刊連載を2本やっている時がありましたが、ちょっと本当か信じられないくらいの超人だと思いました(笑)

②の現場は月刊少年誌
この方はコミケ2~3日で2千万円を稼ぐような漫画家です。
何作品かアニメ化、ドラマ化もしています。
友人が家の中にゲームセンターの筐体があると言っていましたw
その友人の絵はめちゃくちゃ上手いですし、描くのが早いです。
やはりチーフレベルの人は次元が違います。
この友人は今、アシスタントを使わず1人で連載しております。
忙しすぎて血尿が出る事もあるそうです;;;
なんてハードなんだ・・・。
この友人がいた現場では「メインキャラの目」以外をアシスタントが描きます。
つまり、キャラの体、背景、トーン、ベタなど、全てをアシスタントが描きます。
ほぼ完成した原稿を漫画家の元へ持っていくと、キャラの命である目を入れて完成になります。
漫画家は同人誌の作業もあり非常に忙しいようなので、連載までやっていられない状態なのでしょうね。
因みに、見開きの街を俯瞰している超大変な背景は、背景が超上手いアシスタント2名が右のページと左のページを別々に描いて、合わせると1枚の絵になるという、今なら動画でバズるような技術で描いていると言っていました。凄すぎる・・・。

③の現場は隔週漫画雑誌
この漫画家はアニメ化もしている有名漫画家です。
私もアニメ化した漫画の単行本を全巻持っています。
いやーこれを聴いた時は本当なの?と驚きました。
ただこれは現場にいた人間ではなく、別の出版社の漫画家と編集者の話なので、それを頭に入れて聞いてください。
ネームまで漫画家が描き、原稿は全てアシスタントに任せる。
漫画家は原稿に関わらない最強のパターンです。
お金があるのでこういう事は出来ますよね。
忙しい漫画家さんなら、こういうのもビジネス戦略としてはアリだと思います。
イラストレーターもアシスタントを雇っている人はいますし、やろうと思えばラフまで自分で描いて、線画と色塗りを外注する事も出来ます。
お金を払ってやっているので何も問題はありません。

以上、いかがだったでしょうか?

読者は全て漫画家が描いていると思い込んでいますが、実は作者によってはほぼ全部アシスタントが描いたもの、という場合もあります。
「この漫画家さんの絵、大好きなんだよね!」と思って真似して描いているその絵は、キャラの上手いアシスタントが描いているというのも業界では普通なのです。
単行本の表紙カラーをイラストレーターに注文するのも普通です。
「この漫画家さん、色塗りも上手いんだな!」と思っていても、それは別人が塗っているのも普通です。
塗った人の名前が掲載されないから知らないだけで、裏では色々な人が関わっています。

ネットが普及している現代、昔のようにそれらが表に出ないまま、ということも難しくなっていると思いますが、
アシスタントの多くはいつか自分がその雑誌で漫画家になる為に頑張っているので、それを口外することはありません。
秘密保持契約(NDA)や、著作権買取りで口外してはならないという契約もありますが、そんな必要はありません。
もしそれをしてバラしたら、そんな人に仕事を注文をしたいと思われませんし、もしやったら食べていけなくなりますから。
そんな荒れるよう行動はわざわざやろうと思わないので、これからもこのようなやり方は残っていくと思います。
別に悪い事ではないですし、忙しすぎる漫画家の健康のためにもどんどんやっていいと思います。
業界でなかなか売れない人たちの雇用も増えますしね!

アシスタント座談会をしたら、色んな情報が出てくるんだろうな~と、ワクワクしますw漫画業界の裏話を一番持っているのはアシスタントなのでw
私のように複数の出版社でお仕事経験をしていたり、アシスタント仲間がいると色んな情報が入ってきます。
勿論、アシスタントたちの中で評判が悪い人が実はいい人で、良い人が民度的に悪かったり・・・なんてことも経験しました。
なので皆さんも、どんな業界であろうと噂をそのまま信じるのは危険なので、証拠なく他人の悪口を言いふらしている人には関わらない方がいいですよ!
巻き込まれると厄介ですので。
ではまた!

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