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リーンスタートアップとリーンUXは何が違うか

現在、会社で『Lean UX 第2版 ―アジャイルなチームによるプロダクト開発 (THE LEAN SERIES) 』の読書会を担当しているが、「リーンスタートアップ」と「リーンUX」は同じ用語(MVPなど)を使っているにも関わらず、同じ言葉に対して微妙に異なる意味が与えられているように思えとても混乱してしまった。
※これはリーンスタートアップとリーンUXをある程度理解されている方向けの備忘録です

その混乱を読書会の参加者に伝えたところ、有識者から以下の反応が返ってきた。

1. そもそも日本人はリーンを難しく考えすぎ、海外の人は「リーン」を「ぜい肉の取れた」位にカジュアルに考え日本人のように教条的に捉えていない

……一理ある。けれども同じ名前に別の意味が与えられているのはエンジニアとしてどうしても気になってしまう。

2. リーンスタートアップとリーンUXはスクラムのファーストスプリントとそれ以降のスプリントの関係にあたる

こちらも一瞬納得できるのだが、リーンスタートアップはグロースの概念がありプロダクトの初期段階のみにフォーカスしたフレームワークではない一方、リーンUXも仮説立案を内包するフレームワークである。この2つのフレームワークのタイムスケールはほぼ一緒に見えるため、そこに前後関係を見いだすのは難しい(ただし、一通り考察したあとではこの説明がわかりやすいように見える)。

では、「リーンUX = リーンスタートアップ + UXへの関心(デザイン思考やUXワークショップ)」なのかというとこれもNoである。そもそもリーンスタートアップ自体が意識的に無駄を極度まで省いたフレームワークであるため、そこに何かを足すことはリーンスタートアップの概念を崩してしまうことになるからである。

つらつら書いてきたが、リーンスタートアップとリーンUXの違いは何かというと目指すゴールではないかリーンスタートアップないしスタートアップは「短期間で急激に成長する」ことを目指し、リーンUXは「顧客に愛されながら着実に成長する」ことを目指す。同じ用語を使っても全体として意味や色彩が異なるようにみえるのはその違いからである。

「短期間で急激に成長する」のが目的であれば少なくとも急成長している間は「本当に顧客のニーズが存在するのか」や「解決策が正しいのか」や「市場は拡大するのか」といったいわゆる、プロダクト・マーケット・フィットやプロブレム・ソリューション・フィットにフォーカスされ、使い勝手などのUIUXにあまりフォーカスされることはないが、「顧客に愛されながら着実に成長する」ことが目的の場合はUIUXは決定的に重要なファクターとなる。

もちろん、純粋な「リーンスタートアップ」的な状況も「リーンUX」的な状況もあり得ないので、目的に応じてフレームワークを取捨選択していくことが大切なのだと思う。また、「リーンスタートアップ」もいつか必ず急成長が終わり「顧客に愛されながら着実に成長する」フェーズを迎えるため、その際はリーンUXの出番になるわけである。


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