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弁護士ドットコムのCTOがブロックチェーンを語ったのでレポートするよ

はじめに

先日、5月15日(水)に渋谷ヒカリエで開催された「ブロックチェーンの基礎からスマートコントラクト等の応用まで」というイベントに行ってきました。
登壇者は我らが弁護士ドットコムCTOの市橋立。ということで、弁護士ドットコムのエンジニアとして行かないわけにはいきません!
100席を超す会場には立ち見であふれ、来場者の服装はスーツ、Tシャツなどさまざまで、ビジネス側・技術側双方からの熱い関心を感じたこのイベントの模様をがんばってお伝えしたいと思います!

登壇資料
20180515_ブロックチェーンの基礎からスマートコントラクト等の応用まで
イベントページ
【本日開催】【 ヒカ☆ラボ 】ブロックチェーンの基礎からスマートコントラクト等の応用まで

基礎編

ブロックチェーンの基礎技術についての説明に加え、以下の包括的な説明がありました。

・発展的な技術
・ブロックチェーンの思想的な背景
・ブロックチェーンに向く領域・向かない領域
・ブロックチェーンの捉え方 (個人の感想)

応用編

応用編ではブロックチェーンを実際にシステムを構築する際に発生する課題を解決するための、Lightning NetworkやSmart ContractなどのLayer2と呼ばれる技術と利用イメージが紹介されました。

・Lightning Network
 ブロックチェーンはすべての決済内容を記録するため時間がかかるため、取引の「開始」と「終了」だけチェーンに記録し、途中経過はチェーン外で実施することで性能改善を図る仕組み
・multisig
 multisigは複数人の秘密鍵がないとビットコインのアドレスにアクセスできない仕組みのこと。これにより個人間オークションサイトなどで売却者が郵送しないなどのトラブル時でも安全に取引できるようにセキュリティを高めることができる

そして、スマートコントラクトシステムを設計する際の注意点や懸念点の説明で締めくくられました。

感想

「専門家をもっと身近に」を理念に掲げる会社のCTOだけあって、ブロックチェーンという専門技術をわかりやすく説明されていて流石だなぁと思いました(決して言わされているわけではありませんw)。
個人的に説明がわかりやすかったポイントを3つご紹介します。

1. 「技術」と「それにより解決される課題」をセットで説明したこと

ブロックチェーンの要点を「信頼できる第三者を必要としない電子支払いシステム」と説明し、それを実現するための課題と解決するための技術をひとつひとつ挙げていくという構成だったため、技術の必然性がわかり、自然に全体像が入ってくる内容になっていました。

2.  各技術をすでにエンジニアが知っている既存技術に例えたこと

ブロックチェーンの構造をGitツリーに、また、Layer1(ブロックチェーン)とLayer2(Lightning Networkなど)の関係を「Webサービスにおけるデータベースとアプリケーションコードの関係」にたとえたりと、新技術を既存技術にたとえることでエンジニアがすぐに理解できる構成になっていました。
会場に来たエンジニアは翌日以降他のエンジニアをつかまえて「ブロックチェーンってさぁ」とドヤっていたに違いありません。

3.  実際のシステム構築時の注意点があったこと

実際のスマートコントラクトシステムを構築する際の注意点や懸念が説明にあったことで技術だけではなく、ブロックチェーンやスマートコントラクトシステムをより立体的に理解することができました。

・ドライな契約・ウェットな運用
 契約書をそのままシステム化してしまうと実際の運用と乖離してしまう場合が(とりわけ日本では)多いため、スマートコントラクトシステムを構築する際は契約書だけにとらわれず実際の運用をよく観察する必要がある
・システム化することの功罪
 法律と執行を厳密にシステム化すると、それがシステムという形で強制的に執行されるがゆえに、社会を発展させうるグレーさや自由さが失われ、逆にディストピアが待っているのではないか

参加者に突撃インタビュー

終了後、参加者がどう感じたのか知りたくなったため、何人かの方にインタビューをしました。まずは流行りのブロックチェーンの仕組みを理解したいという目的で参加した中堅エンジニア2人組。

ーー 「今日の説明はいかがでしたか? 説明は速くなかったですか?」
参加者 「とてもわかりやすかったです! この技術のさわりを理解できた感じでした... えぇ、口調は確かに速かったです。でも、それが優秀さの証と思いました!」

また、起業を考えているという学生2人にもインタビュー。
彼らいわく現在、ブロックチェーンで起業したいと考えている学生はとても多く、彼らもブロックチェーンの可能性を見極めるために今日は参加したとのことでした。

ーー「どうでしょうか? 今日の説明で起業してみたいと思いましたか?」
参加者 「(弱々しく)うーん、ちょっと考えてみたいと思いました…」

バラ色の未来が強調されがちなブロックチェーンに冷水を浴びせるようなクールな説明に終始した市橋さん。学生をも惑わすCTOはひょっとしたら罪深い職業なのかもしれません……

懇親会

発表が無事終わった安堵感からか、うれしそうに乾杯の音頭を取る市橋さん。
懇親会でもひっきりなしに質問責めにあっており、ブロックチェーンに対する熱の高さをあらためて感じることができました。

これからも色々な技術のわかりやすい説明を期待してます! 市橋立CTO!

おまけ

「これは本来は君たちの仕事じゃないのか」とボヤきながら来館者受付票を記入する市橋さん。外ではクールな仮面を脱がない方ですが、実は社内ではめちゃくちゃ愛されキャラです(笑)


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