詩 ・ my name is


土から生えてきたみたいに
そこにいた
気がついたらね
おもいだせるものはなにも
なくて 実がしぼんじゃった
くるみみたいに頭がカラカラ鳴った
記憶もないのに
ことばだけはあった すべてを失っても
ことばだけ忘れないのは
なんでだろう
はじめにことばありき っていうの
「はじめにことばありき!」って
いいたいためにちがいない
ぼくの名前は

なんていってみても
出てこない  my name is
っていってみたら つづきが出るっておもってた
アキラ フレデリック ジゼル
名前はたくさんしってるのに
ぼくの名前はどれなのか
海辺のガラスビンみたいに
ピカッと光って
教えてくれたっていいのに
二つだけわかってた
ことがあって それは
じぶんは救世主だった
もう一つわかってるとしたら
すべてはどうでもいいということ
救世主なのにすべてが
どうでもいいだなんてヘンかな
ヘンな話だね そのとき

「時間だ」
という声がした




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