サイトウ ヒロト

福井出身。2019年東京、金沢、ベルリンに拠点を持つクリエイティブカンパニーに就職。2…

サイトウ ヒロト

福井出身。2019年東京、金沢、ベルリンに拠点を持つクリエイティブカンパニーに就職。2021年11月から浅草のすしや通りで店長と和食屋をはじめました。ここでは、飲食業界の話からお客さんとの会話、音楽の話をします。よろしくどうぞ。

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仕事は石の上にも3年について

たまに「〜な状況、8歳の甥っ子が将来直面した時に自分はなんて言う?」選手権を開いてますが、今のところは「ぜんぶ面白がれ!視点を変えて笑えたら、それはもう勝ちだろ!」といってあげたいです。 接客業なので当然相性が合わないお客さんはいるんですが、それも面白がって自分の糧に出来れば良いし、笑いながら跳ね返すことが出来たら最高だなと思います。(前提として、好きなようにやらせて下さる今の環境に感謝は当たり前) それと、「しんどい時に仕事を辞めちゃダメ」「石の上にも3年」とよく言われ

    • 和食屋がお客さんに的外れなムカつくことを言われて決めたこと

      これは世界中どこでも起こることですが、お門違いなムカつくことを言う人っているんですね。仮に的を得ていれば聞く耳を持って反省し次に活かそうと考えられるけど、意味を理解できないおかしなことを言ってくる人は、ごく稀にいる。 以下、それに対してきょう自分のなかで決めたこと。 自分を大切にしない人を大切にする必要はない。なにも言い返すな。もちろん笑顔を振り撒く義理もない。ただ、なにも口にせず、姿勢を正して堂々と、毅然として立っていろ。沈黙は知性の中で最も重要なことだ。 現場からは

      • なにか起こればいいのにと願いながら

        何か起こればいいのにと願いながら、基本的になにも起こらない毎日で、もしなにか起こった時は底なしに面倒くさいって気持ちが湧いてくる。 縁あって、いまのお店から違う店に移籍しようかと思い始めて2ヶ月ほど。現状に対して特に大きな不満はなく、だからこそもうひとつ踏ん切りがつかない。労働者として給与やその他待遇に不満はある。ちゃんと一生懸命働いてんだから当然だ。 給与や待遇に関してなぜ不満が出てきたかと言えば、自分が日常生活でやりたいこと、行きたいところ、食べたいもの、見たいものの

        • 日常と非日常、酒と人

          酒は、日常にあってもなくても良いもの。 無くても死ぬものじゃないし、むしろ飲んで死ぬ人もいる。ただ、場を盛り上げる原動力になるし、もしかしたら明日もう一歩踏み出す力になるかもしれない。素晴らしいものは、対極の二面性を持っているもんだ。 酒場にはいろんな感情を持った人が来る。ただでさえ人は、「干渉されたくないけど、知って欲しい」って図々しい生き物。そんな様々で矛盾した生き物を受け止めようとしたら自分がおかしくなっちゃう。受け止めなくて良い。どこか他人事だと思うことはものすごく

        仕事は石の上にも3年について

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        • まいにちnote 22/01/15
          2本
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          59本
        • 散文と日記
          186本

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          産土 2022 穂増 生酒

          表題の酒を飲み、思ったことを書いておきます。 散文です。 「美味しい」が当たり前になってきたなかで、新しい味を作れるかどうか。 まずは神田社長のクリエイターとしての姿勢に敬意を。獺祭で基礎を学び直し、本当に価値あるものを探し求めた答え。 言う通り、もちろん美味しい。ただ他と違うのは、敬遠されがちな「渋味」をここまで綺麗に「味わい」として昇華した点だと思います。 恵まれた水環境と米がある一方で、その米を使うために田んぼを再生する必要がある。そのための無農薬・無施肥栽培

          産土 2022 穂増 生酒

          「美味けりゃなんでもいい!」は本当か?

          これは売り手、引いては作り手の話で、結論、現時点で答えはないです。 ただ、少なくとも売り手の自分は疑う必要があると思っています。日本酒は味と値段が必ずしも比例しないものであり、そして高価になればなるほど味の違いが分からなくなる。 そこで、僕は造られた背景や想いなどを重視したいなと考えています。「ストーリーを伝えることが重要」とよく言われますが、ようやく実感を伴ってきました。ビジネス的観点から言えば「差別化」になるでしょうが、文化的観点から僕は重要だと思います。 いま日本

          「美味けりゃなんでもいい!」は本当か?

          わかりにくい「テイスティングコメント」

          お酒に付いてくる注ぎ手のテイスティングコメント。飲む際に最も重要になる要素ですが、注ぎ手である自分も他のお店に伺ったとき、正直分かりにくいなと思います。「レモングラスのような」「絹のようなきめ細かさ」「トップノートは杉を含んだ吟醸香」など。レモングラスは嗅いだことないし、絹は食べたことないし、トップノート?って感じです。いや、注ぎ手としてこれらの言葉は分かりますが、飲み手の大多数が言葉を聞いて分かることは、果たしてどれくらいの情報量なのかなと思います。 酒蔵さんが書いたもの

          わかりにくい「テイスティングコメント」

          「高価なお酒」を売るときに気をつけていること

          まず大前提として、味がなによりも重要であること。それも、「美味い」ではなく「違う」こと。全体として高級酒は、どれも綺麗であり、美味しいです。加えて「美味しい」は人に依る中で、「違う」って感覚は個人差が少ないからです。 そして、本質的には楽しい・おもしろいが重要だと思います。酒は嗜好品。嗜好品の本質は楽しさ・おもしろさだと思うので、ここがかなり重要。本質が抜けた途端に、価値を落としてしまうため、常に気をつけています。 そして「味の違い」に加えて、流れを作ることです。飲み手が

          「高価なお酒」を売るときに気をつけていること

          日本酒「辛口ください」について

          タイトルの件は、業界では10年以上に渡って話題にあがることです。そして、酒に関わるようになって1年ちょっとの自分が以下に書くことは、すでに語りつくされてことであり、ツッコミどころも多々あると思いますが、現時点で「素人」と、「仕事にしている立場」の中間に立つ者として書くことは意味があると思うので、整理も含め敢えて書くことにしました。 大事なのは「飲み手の感じた味がすべて」「辛口=美味しいって先入観はなるべく避けたほうがいい」ってことです。 「飲み手の感じた味がすべて」は、「

          日本酒「辛口ください」について

          小規模飲食店のSNS運営で気をつけてること、意識してること

          表題に対して現時点思うことは、映えちゃいけないし、バズっちゃいけないってことです。正確に言えば、規模によっては、バズらせることに力点を置かないこと。 当事者の方にとっては当たり前のことかもしれませんが、いわゆる「テレビに取り上げられて常連さんが入れなくなる」をなるべく起こさないようにする。 ただしかし、大規模な飲食店企業であれば、きっかけとしてバズりが必要なこともたぶんにあります。 一方でうちの規模感はものすごく小さいです。 そこで重要になるのは、継続的に、こちらの設

          小規模飲食店のSNS運営で気をつけてること、意識してること

          熱く冷たく淡々と

          「好きにやれ。ヒロトの感覚に従って、思うようにやれ。失敗は全然構わない。都度指摘する」と開店直後、店長と2人で飲んだときそう言われました。飲食業界実質未経験の自分に、お客さんの嗜好が多様な日本酒を一任され、ゾッとしたのを覚えてます。 実際、ほんとうにこれでいいのかなと悩んだ時が沢山あり、眠れない夜に蕁麻疹が出た日もありました。まだ1年ちょっとですが、我ながら少しずつ形になってきたのかなと思う。 日々店に立つ中で、昨日は酒で良い流れやムードを作れたな〜と思いきや、次の日は「

          熱く冷たく淡々と

          「日本酒詳しくないんです...」と言われることがすごく多い件

          久しぶりのnote。デザインも大きく変わっていて新鮮。1年前に書いたブログを読んでみると、当時の、言葉にならない焦りが感じられて、さほど変わってないなぁと思うのと同時に、確実に変わったところもある。 ところで、日本酒が仕事になってから、知識と経験が増え、今年に入ってからは取引先の酒屋さんも増やし、外部とのゆるい繋がりにも手応えを感じ始めてきた。 日々の営業でお客さんが増えてくる中で、やはり難しいのは日本酒を普段から飲まない方に対する対応です。 「あまり日本酒詳しくないん

          「日本酒詳しくないんです...」と言われることがすごく多い件

          成長してる感覚がない

          ずっと不安で仕方ない。店というより、はっきり言えば個人的な話。成長している感覚がないから。このままで将来闘えるスキルを身につけられるのか。たぶん身に付けられないだろう。自分のキャリアを本当に真剣に考えないとダメだな。このままだと最終的に人のせいにしてしまう気がする。いまが考えるタイミングなんだと思う。 開業前よりぜんぜんいまの方がしんどい。 良い場所を作ることに興味があって。最近思うのはコンセプト、空間設計なのかな。なるべく上流から始めて、ひとつの手段・作品として自分の店

          成長してる感覚がない

          飲食店の「すごくいい雰囲気」

          お店に立っていて、「いまの店内の雰囲気、すごくいいなぁ」と思う瞬間があります。 それは別に忙しくなくても起こります。 それぞれのお客さんが恋愛について語っていたり、仕事について語っていたり、はたまた子どもに食べさせる明日の晩御飯について話していたり。本当に色んな会話が飛び交いそこに流れる音楽も相まって「すごくいいなぁ」って瞬間が立ち現れます。 もともと、色んな人が想い想いの時間を過ごしている景色を見たくて、作りたくて、飲食業界に転職したのもあり、本当にやりがいのある仕事だ

          飲食店の「すごくいい雰囲気」

          USJのマーケティング(USJの森岡さんの本を読みはじめた)

          USJ森岡さんの本を読みはじめた。2015年刊行なので、今から6〜7年ほど前の本。当然もう知ってる人も多いとおもいます。 https://www.amazon.co.jp/USJを劇的に変えた、たった1つの考え方-成功を引き寄せるマーケティング入門-森岡-毅/dp/4041041414/ref=nodl_ ぼくがいる「浅草おと」は、2021年の3月まで違う場所で、オーナーのもとで運営されていました。来客数の8割ほどが常連さんで、たくさんの方に支えられて続けることができたお

          USJのマーケティング(USJの森岡さんの本を読みはじめた)

          浅草で和食屋をはじめて2ヶ月。

          浅草のすしや通りで、まえの店舗から独立した店長と和食屋を始めて2ヶ月経ちました。 売上は、オープン景気もあり上々と言った感じ。常連さんをはじめ、前店にはいなかった若いご新規の方々もたくさん来てくれました。 でも、1月は悔しながら少し売上が落ち込んでいるので、また元に戻せるようにしたい。 2ヶ月間駆け抜けてあっという間に終わりました。いろんな方々と出会えて、大好きな酒もいただきながら、慌ただしくも充実していました。 ただ、(ぼくは調理ではなく酒の選定と仕入れなので)昼間

          浅草で和食屋をはじめて2ヶ月。