見出し画像

真冬。深夜1時。カギがない

真冬の深夜1時。気温は2℃。

バイトから帰ってきて、家の鍵を開けようとポケットに手を伸ばすと、あるはずの財布がない。

財布の中には鍵が入ってる。バイト先に忘れてきたか…。

近くに友達んちはないし、鍵業者を呼ぶか、駅の近くのマックで一晩過ごすか。でも、バイト先にあるとすれば、どうせ明日浅草まで行かないといけないなと思い、自宅よりバイト先に近い後楽園の彼女の家まで歩いて行こうと決めた。

距離は14キロ。財布がないからタクシーには乗れない。

散歩はまあまあ好きなほうで、どこかで14キロの道のりを楽しみにしてた。

トボトボと歩き出したもののやはりめちゃくちゃ暇なので、聞き逃していた「Shimoqui Radio」を聴き始めた。

「今年買ってよかったもの」というコーナーで、シモツさんが1位にAirPods、その次にルンバ的なロボット掃除機をあげる。

それにくいしんさんが「シモツーは妻が家事全般をしてるんだから、関係なくない?」とつっこみ、シモツさんが何も言い返せなかったあの下りが面白かったです。

・・・

1時間半ほど聴いてたら飽きてきたので、「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」に切り替えた。

その回は「桐島、部活やめるってよ」の原作者と監督、プロデューサーが招かれており、「青春」について話していた。

ざっくりいうと、

「『青春』という概念は明治時代まで日本になく、明治以降に西欧から入ってきたもの。それを考え出したのがドストエフスキー」というもので、

「ドストエフスキーのせいで、大変な思いをする人がたくさん生まれたんだよ!ガハハハ!」とスタジオは爆笑。

また、鈴木さんの話によると「恋愛」も西欧で作り出された概念らしい。

それも、おしゃれな恋愛をしなくちゃいけなくなった。ついでに日本のクリスマスはユーミンのせいで残酷なものになったと笑いながら言っていた。

聞いてたら、自分たちは最近作られた概念や考え方の上で苦しんだりしているんだなあと思えてきて、ちょっとあほらしく思えてきました。

それともうひとつ。

すごいなー!とびっくりした話があった。

それは、要は「宮崎駿には、他者の視線という概念そのものがない」という話。

宮崎さんは最近電車に乗りたがるらしい。

鈴木さんは仕方なく一緒に乗って移動していると、当然周りの人は「宮崎駿じゃない?」と気づき始める。あたりまえ。

すると、宮崎さんは「鈴木さんがいたからバレたんだ!」と本気で言っていたらしい。

他者の視線を感じるor感じないじゃなくて、概念そのものが彼の中には無いんでしょうと鈴木さんは語ってました。

「すごい」というか、どんな感覚なんだろうなと不思議なきもち。。

・・・


と、ラジオを聞いてるうちに中間地点の池袋に着き、携帯のSuicaに残高が少しだけあることに気付き、ローソンでパルムのアイスを買った。

真冬の寒空に、パルムは最高に合います。

そのあと足を棒にしながらも歩き続け、最後はもう意地になってきて「絶対歩いたる…」と1人で盛り上がり、なんとか歩き切った。。。

タバコに火つけてぽわあ〜っとして、歯を磨いて眠りに着きました。

無事財布も見つかってひと安心。

もう2度と14キロなんて歩きたくないけど、昨日は昨日でそこまで嫌いじゃないなって感じです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?