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臼田勝美インタビュー「念願のデビュー前に藤原組をやめたのは……」

藤原組、バトラーツなどで活躍した臼田勝美インタビューシリーズ第1弾です!(聞き手/ジャン斉藤)


臼田 先に一杯やってました(笑)。

――ガンガンやってください!(笑)。U系って人間関係が複雑だったりするんですけど、臼田さんが所属されていたバトラーツもなかなか……。

臼田 ああ、そうですよね。ライターの藤本かずまささんがUインターやキングダムが解散するときに人間関係がすごい複雑だと思ったそうですけど、バトラーツはさらに複雑だったと。

――いろいろと伺わせていただきます! 臼田さんは新日本のプロレス学校出身なんですよね。

臼田 そうです。ボクが通ってた頃って池田(大輔)さん、サスケさん、金原(弘光)さん、西村(修)さんとかがいて。スパーリングでボロクソにやられたのが金原さん、池田さんです。それからちょっとずつ覚えていって、金原さんと久しぶりにやったときに「強くなってる」と言われましたね。

――八王子の実家から通われていたんですよね。

臼田 そうですね。八王子から上野毛まで。週に2日ぐらいしか行ってなかったんですけど、プロレスラーを目指していて。テストを初めて受けたのはUWFなんですよ。旧UWFが頓挫してUWF軍団として新日本にUターンしてる頃ですよね。書類を何回か出したんですけど、背がちっちゃいから書類審査の時点で弾かれて。もう直談判しかないと。16歳のときに当時用賀にあったUWFの事務所の前で、選手が誰か来ないかなと待ってて。たまたま高田(延彦)さんが来たんですよ。高田さんに「入門したいんですけど」と声をかけたら「歳はいくつ?」「16歳です」「身長は?」。ホントは170ぐらいしかなかったんですけど、175とか適当なこと言って(苦笑)。

――当時は180でも小さい扱いでしたねぇ。

臼田 「来月3日に後楽園ホールで試合があるんだけど、そこに来れる? 試合前にテストをやらせてあげるから」と言われたんですよ。

――優しい対応ですね。

臼田 当日後楽園ホールに行ったら試験官は中野龍雄さん。落とすつもりの体力テストで、たぶんスクワットとかできないと思ってたみたいですね。一応スクワットは500回やれて、腕立て100回で、つまずいたんですけど。「帰るか、帰るか」って何度も確認されたけど、「お願いします、お願いします!」と続けて。体力テストを最後までとりあえずやって、スパーリングで中野さんにボロクソにやられて。スパー途中で「もうやめる」って音を上げると思ったんじゃないですか。

――なんとか最後までやりきったんですね。すごい16歳。

臼田 まだ身体もできてないし、いま入っても練習についてこられないし、まだ16歳で若いんだから、身体を作ってから出直してこいと。それでも土下座して「もう1回お願いします!」って。結局落とされましたけど。

――でも、ちゃんと向き合ってくれたんですね。

臼田 中野さんはそれで俺のこと覚えててくれて、その次の年に今度は道場に直談判に行ったんですよ。

――行動力ありますね(笑)。

臼田 高田さん、中野さん、宮戸優光さん、若手の方がいて。高田さんが「中野、テストしてやれ」と言ったら、中野さんが俺の顔を見て「またか」って感じで。落とすつもりのテストだってわかってるし、やりづらいから、宮戸さんに「代わりに頼むわ」と頼んでました。そのときも入門はできなくて、そのあとに新生UWF旗揚げ戦のチケットが取れたんですよ。会場で中野さんがいたから「すいません、あの入門したいんですけど」と。

――三度目の中野龍雄(笑)。

臼田 「オマエ、前に俺がテストをやった奴だろ? 事務所に書類を出してからにしろ」と、あしらわれちゃいましたけど(笑)。

――他団体のテストは受けていたんですか?

臼田 新日本のテストを受けました。書類は通って二次審査は体力テスト。そのときは金原さん、池田さん、あとサスケさんもいたのかなー。池田さんは受かったんですけど、腰を痛めてデビュー前にやめちゃって。金原さんと池田さんはSWSのテストでも一緒でしたね。SWSの新横浜の道場でテストがあって、そこで受かったら後日、箱根で2日間の最終テストがあったんですよ。箱根にSWSのスポーツセンターみたいな施設があって。

――SWSはよく箱根合宿をやってましたね。

臼田 天龍さんはいなかったんですよ。ジョージ高野さんと冬木弘道さんがいたのかな。そんときにのちにリングスの山本宜久さんもテストを受けてたんですけど、山本さんも落とされて。体力テストも全部クリアしたのに納得いかないって若松さんに食って掛かってましたね。山本さんはタッパも大きいのに。

――食って掛かる感じはヤマヨシさんっぽいですね(笑)。

臼田 SWSを受けたときはプロレス学校に通ってて。新日本のテストは2回受けてるのかな。2回目のときにたしか、鈴木みのるさんがデビューしたばっかで。新日の合宿場の上からテストの様子を見ながら「全然ダメじゃねえかよ」とか言っていて。

――デビューしたばっかりなのに(笑)。

臼田 めちゃくちゃ怖かったです(苦笑)。

――プロレス学校から新弟子になった天山さんや西村さんがそれまでと態度が変わったとか。

臼田 あー、要はプロレス学校生だったんだけど、新弟子になって「オマエらとは違うぞ」と? 俺的にはそんなには感じなかったんですけど、たぶん新日本の選手から言われてたんじゃないですかね。知り合いの生徒もいるけど、オマエらは練習生なんだから、友達みたいな接し方じゃダメだぞと。そう言われると思うんです。俺も藤原組に入ったときにレフェリーの児玉さんに言われましたから。ファンは練習生とかにも「頑張ってください」とか「握手してください」とか声をかけてくるけど、「ありがとうございます」なんて言わないでいいからなって。もう目も合わさないでいい、媚を売らなくていいからと。

――一般人とは一線を引く時代でしたよね。だからプロレス学校も新日本のレスラーからすれば「コイツらは道場で何をやってんだろう?」みたいな感じだったみたいで。

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