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カヴァー・アルバムが好き 2 『殺しのブルース』巻上公一

ジョン・ゾーンがプロデュースした カヴァー・アルバム
昭和30年代に生まれた人間には たまらんアルバム
『東京の屋根の下』のように 少し古い歌もあるが 昭和の30年代 40年代に流行った歌がほとんど
『帰ってきたヨッパライ』『上を向いて歩こう』『さいざんすマンボ』

アレンジのぶっ飛び具合がたまらない
『東京の屋根の下』の間奏が独り歩きしてフリージャズ1曲分になっていて 歌のパートより長い とか

参加ミュージシャンも 実に豪華だ
ビル・ラズウェル 大友良英 灰野敬二 マーク・リボー
自分でリーダーアルバムを何枚も作れてしまうのがゴロゴロいる
カヴァー・アルバムの梁山泊やぁ〜

『さいざんすマンボ』は 以前から好きな曲だった  
巻上公一とかけあいをする女性ボーカルのはじけっぷりが 素晴らしい
しかし オリジナルで トニー谷とかけあいをするのが 宮城まり子だと知った時には(わりと最近)絶句した 
そして 宮城まり子という人物の奥深さに 唸らされた
子供の頃の宮城まり子とは 福祉事業に尽くす人格者というイメージだったのだ(人格者というイメージが崩れたわけではなく 柔軟な事も出来る人 という意味です)

『殺しのブルース』は 鈴木清順の映画『殺しの烙印』からの曲
今となってはギャグでしかない 殺し屋の格好のつけかたが嬉しい

「女を抱いて来たのか?」
「アタリキよー」
「湯たんぽを抱きな」
ズキューン ズキューン(銃声)

いいねえ
アタリキも湯たんぽも 死語になりつつある?

1番好きなのは『待ちぼうけの喫茶店』
ハッキリ言って しょうもない このトホホナンバーに 時代の軽さ 空気感が凝縮されている
約束の時間になっても 彼女が来なくて 疑心暗鬼になって あの子はそういう いい加減な娘なんだ と決めつけた時に バス停から駆けつけて来た彼女が現れて その途端 彼女の性格を疑った自分を反省する
そんな他愛もない歌である

でも わかる 
オレもそうだった

おそらく 彼女の顔を見た瞬間 頭の中で 無数のS◯X という言葉が飛び交ったのだろう

若い人に知って欲しいのは この時代 スマホはおろか ケータイすら 影も形もない  という歴史的事実で こうした人々の心の動きは 実はデフォだった という事だ
そして こうした事の繰り返しが 当時の若者の人格形成に 深く関わり 今のジジババの人格を決定づけたわけだ
ま 屈折するよな


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