採用へつながる求人原稿って?(2)お相手探しはまず自社を見つめることから

こんにちは。福岡の人事・採用領域の企業でプランナーをしているおおたといいます。
普段は求人広告の原稿制作や求人応募受付のアウトソーシング等の仕事を担当しながら、「人と企業のしなやかで朗らかな関係ってなんだろな」と日々考えています。(先日、会社の近くに寡黙なおじいちゃんが1人でやってる小粋なバーを見つけてキュンとしました。)

さて「採用へつながる求人原稿とは?」
2回目は「ターゲット設定」について。
ラブレターを送る相手を見誤らないようにするために、「よくある失敗例」と逆転の発想でターゲットを見極めるやり方をご紹介します。


前回お話した通り、求人原稿というラブレターを書くのに外せないポイントは5つ。

①お相手(ターゲット)は誰か?
②お相手に対して、自分(自社)はどんな魅力があるか?
③それは、ライバル(他社)とどう違うか?
④求人広告の4大要素は抜かりないか?
⑤最良のスパイス「ヌケ感」はあるか?

今回はいよいよスタート地点。①ターゲット設定についてご紹介します。

■ラブレターと求人原稿の違いって?

求人原稿とラブレター。大きく違う点がひとつあります。
それは、送る相手のことを全く知らないこと。
ラブレター書く時ってほとんどの場合、一方的であれなんであれ、送る相手のことを自分なりに知ってますよね。直接話をしたことがなくても、ずっと見てましたとか一通り調べました程度の認知はしているはず。
ところが企業はたいていの場合、広告を出す時点では求職者の顔を知りえません。

求人広告に月何十万もかけてるのに採用に繋がらず、焦りや苛立ちを感じる現場ご担当者様、よろしければちょっとだけお耳を貸してください。
皆様のお仕事は「よく知りもしない相手へ愛の手紙を出し、好印象を抱いてもらい、OKまでこぎつける」という、超絶鬼ムズハードモードに挑んでいるのと同じなんです。こんなん難しいに決まってる。
私も小さなコールセンターの運営を担当しているので、人の出入りに関わる苦しみはほんとうに、筆舌に尽くしがたく……。書きながら自らを恥じ入るばかり。
だからこそ、お客様のハードモードもなんとか一緒にクリアしたいと日々格闘しているわけです。

■陥りがちな3つの非モテ問題

相手のことを知らないというのはおそろしいもので、知っていれば絶対にやらないであろう過ちをポンポン犯してしまうもの。
以下に、求人原稿のターゲットを想定する際に陥りがちな問題を3つご紹介します。

(1)典型的非モテ「とにかく誰でもいい問題」
「相手とか正直誰でもいいからとにかく彼女(彼氏)欲しい〜〜〜」
そういうことを言う人と、付き合おうと思わないですよね?
ところが求人広告界となると、なぜかそれがスタンダード。
試しにコンビニにおいてある求人誌をぱらぱらとめくってみてください。
猫も杓子も「主婦・シニア・学生・フリーター★みんなみんな歓迎!」
実に9割以上が、懲りることなく大声で非モテを叫んでいます。
1日のうちの多くの時間を一緒に過ごす他人が、「誰でもいい」わけなんかないのに。

(2)勘違い非モテ「告白する相手間違ってる問題」

ターゲット像ははっきりしているものの、自社が出している条件とターゲットの希望条件が著しく乖離している案件も多々見受けられます。たとえばパン屋さんでアルバイト・パートを募集する場合。

●仕事:パン製造
●条件:6:30~13:00/週4日/時給760円

>担当者「テキパキ働ける30〜40代前半の主婦さんが来てくれたらいいなあ。パンの社割もあるから、ぜったい嬉しいよね!」

>30〜40代前半主婦さんのリアル
「いや5時起き、しんど」
「旦那の弁当つくらなやん」
「子供のお見送りあるし」

求職者は、自分の希望条件に対して正直です。
そもそも条件のマッチングがうまくいっていない相手に無理やり告白しても、当たり前ですが見向きもされません。
株式会社HARESの西村創一朗さんはこれを知らず知らずのうちに「青い鳥」を追いかけてしまっているパターンとおっしゃっていました。

(3)妄想非モテ「フランケン求職者問題」
自然の摂理(=求職者ニーズ)を無視して己の欲望のみを満たすためだけのターゲット像を妄想した結果、フランケンシュタインみたいないびつな求職者が生まれてしまっています。
たとえば、正社員募集のこんな例。

●仕事:事務、コンピュータ関連、SE・プログラマー(兼務)
電算システム運用、保守、開発、運用指導、統計資料作成、市場法対応、ホームページ作成、出張、社内外会議その他もろもろ
※他部署の手伝いや共同作業あり、他部署への異動の可能性あり
●求める人物像:情報処理関係技術者
・大学、短大、高専、専門学校卒以上
・普通自動車免許(AT限定可)
・仕事に前向きで開発・ITが好きな方
●条件:7:00~16:00/週休2日/月給14〜16万円/宮崎県

>担当者「我が社のパソコンを使う仕事まるっと任せられる人はいないかなあ!」

>求職者
「え、これだけの職種をぜんぶ一人で…?朝は早いし異動もあるし…なんかいろいろ怖い

こういうのは、実は現場の窮状に目を向けていればいるほど気づきにくい。
地味だけどいちばん厄介な問題です。

これら3つの非モテ問題は、必ずしも間違っているとは言い切れません。
(1)〜(3)いずれの原稿でも、応募が来ることだってあります。世の中、いろんな人がいますから。
けれど、人手不足の波が急激に押し寄せてくることだけは確実な日本において、悠長にピンボケ原稿なんぞ出している場合ではないことだけは、お分かりいただけるかと思います。

■ターゲットの見極め方(逆転の発想)

少々ざっくりとまとめますと、上記の問題の原因はターゲットのリアルを考えずに全て自分(自社)の要求のみを起点に考えていることによって引き起こされます。
とはいえ、冒頭でお伝えした通り求人ハードモードの根本原因は相手のことを知らないこと。
HR領域でマーケティングをかじり出すと、すぐ「ターゲットのことめっちゃ考えるべき(どや)」みたいなこと言い出しちゃうんですけど、それじゃあまり響かないかもって最近思いました。だって知らないものは考えようがないもの。

だから、ちょっと発想を変えてみます。
名付けて、まず自社より始めよ作戦
妄想はいったん置いといて、すでにマッチしている人物像を掘り起こすことから始めてみよう、という作戦です。

<やり方>
(A)自社で“輝いてる人”を具体的にイメージする。
>どんなタイミングでどんな笑顔を見せるか、どんな人格か など
(B)自社が変えられない条件(4大条件、その他制約条件)を書き出す。
>時給が安い、駅から遠い、けっこう忙しい、 など
(C)相手に求める必須条件を3つ書き出す。
>スキルや志向性、譲れない価値観 など

この整理を行うことでターゲットに求める要素に自社のリアルが加わり、必然的に「自社で実際に働けそうな人」が絞られてくる、という計らいです。図にするとこんな感じ。

とくに重要なのは、(A)をいかに丁寧に想起できるか。

・年齢・性別・家族構成・雰囲気
・どんな力(能力・資質)を持っているか
・どんなときに笑顔になっているか(※)
・自社のどこに魅力(不満)を感じているか
・自社の制約をどうやって乗り越えているかなど

これなら、まだ見ぬ相手を妄想するよりも簡単に始められるのではないでしょうか。実際に働いている方へ軽くインタビューしてみてもいいかもしれません。

モテも求人原稿も、たゆまぬ努力が大事

このやり方はあくまでスタート地点に立つためのはじめの1歩。実際には制約条件の緩和や求める条件を引き上げたり引き下げたりしながら、ターゲットを細かく調整します。正解はありませんので、試行錯誤の繰り返しです。

また、私たちがお客様と原稿を一緒に作る際には、ターゲット設定の前に
・採用活動の目的
・採用トレンド
・選考プロセスの設計

なども中長期的な視野で検討していきます。
その営みは決して短期決戦で終わるものではなく、企業の未来を見据えた持久戦。採用活動もモテも、自省と実践を重ねて粘り強く向き合っていきたいものです。

次回は残りの②③⑤。
今回ちょっと長くて疲れちゃったと思いますので、次回はシンプルに!

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(※)「自社で働く人の笑顔が思い出せない」というご担当者様へ
つらい時期ですね……ひょっとすると、今は求人広告を出すタイミングではないかもしれません。仮に採用が決まったとしても、きっとこのままでは長く続かないからです。
少しのあいだ外よりも内側へ目を向けて、ひりひりしているところへ、あたたかい手を当ててあげてください。無事に切り抜けられるよう、祈っています。

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おた@組織と採用の未来を考える人

福岡の人事・採用領域を扱う会社「リクルーティング・パートナーズ」でプランナーしてます。「人と企業のしなやかかつ朗らかな関係」について日々模索中。採用/人事/広報/採用/オウンドメディアリクルーティング 美術・文芸・映画について考えることも続けています。カレー好き。
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