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<俺、豆乳飲料を試す>

俺は人との待ち合わせで、時間を持て余していた。ふと、自販機を見たときに目についた。
それはキッコーマンの豆乳パック飲料だった。
普段なら絶対に買わない。これまで豆乳パック飲料を買わなかった理由は、なんか、インチキっぽかったからだ。
牛乳でもなく、豆乳。なおかつ、フレーバー付き。
スーパーで見かけるそいつは、やたらカラフルで、ゼリーの隣で何かを主張している感じが嫌だった。
でも、その日。
なぜか俺はコインを入れて、スッとボタンを押していた。しかも数種類あったのに、選んだのは「おしるこ」だった。
初見で買うにはまあまあ冒険だった。
付属のストローを刺して、吸ってみる。
案外、手にしたおしるこ風味の豆乳は意外にも馴染む味だった。それほど悪くない。
むしろ、なんかホワッした。
優しい顔になって人と会うことができたのだ。
「どうした。なんか、いいことあったか?」
俺は言った。
「なんもない。なんも」
なんもなかった。
世界は別に変わらなかった。
でも、あの豆乳フレーバーの別の味を試してみようっていう気持ちになった。

今まで見過ごしてきた何かを意識して手に取ってみたらどうだろう。大なり小なり、何かやってみると面白いかもしれないと思った。

触れているうちに何かしら価値観とやらが揺さぶられるかもしれないし、揺さぶられないかもしれない。
それもそのまま書いてみよう。

俺がやらなかったことで、明日やってみようと思ったこと。

「鼻毛用脱毛ワックスを買ってみる」。

これだ。
前から気になっていたが、やったことなかった。
熱いかもしれない。
鼻毛がホウキのようについている写真だけ見たことがある。経験してみよう。
鼻毛がなくなったあと、スースーするんだろうか。

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