マイナ保険証ついて その2 マイナ保険証でコスト削減?


はじめに

こんなど素人の試算なんかじゃなく、ちゃんとした医療ジャーナリストの方、

*レセプトの電子化によってどれだけコスト削減できたか?

*マイナ保険証によるコスト削減予測

検証、試算してもらえません?



その1で健康保険のしくみを解説しましたので、マイナ保険証にするとどのくらいコスト削減ができるのか?を考えてみたいと思います。


マイナ保険証が本格稼働を初めて2ヶ月が経過し 他人と紐つけられていたケースが発覚したり、障がい者や高齢者施設での運用法をどうするか?で反対する意見も見られます。

そもそも何故国がマイナンバー制度やマイナ保険証を導入しようとしたのでしょうか?

その前に

国民医療費っていくら?


皆さんは国民医療費ってどのくらいか知っていますか?

「令和2(2020)年度 国民医療費」を公表します

- 42兆9,665億円、人口一人当たり34万600円 -

国民医療費に含まれるものは何ですか?

「国民医療費」は、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。 この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。

国民一人当たり、毎日1,000円弱も掛かっているのです。すごいですよね。

ちなみにしばしば話題にあがる、防衛費ですが、年間6兆円程度です。それに比べるとものすごい金額ということがわかりますね。


このグラフは少々古いデータですが、国民医療費の財源比率を表しています。

毎月皆さんが支払っている保険料(社保は労使折半)と患者負担(窓口負担)の他、40%近くも公費(税金)から出ているのです。R2年に当てはめると実に16兆円もの税金が投入されているわけです。

医療DX

今の日本は超高齢化社会だということは知られていますが、今後それがさらに進むこともわかっています。日本の行政は「紙ベース」で非効率的と以前から言われていました。マイナンバー制度も日本の行政をDX化することにより、効率化とコスト削減で今後迎える団塊世代の大量引退による人手不足を補う目的もあると思います。

https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000992373.pdf

一言で医療DXと言っても様々な分野がありますが、赤の部分がマイナ保険証で、黄色がレセプトの電子化(オンライン請求)となります。

医療DXとは


マイナ保険証とレセプト電子化

その1」でも解説しましたが、従来の保険証は問題点が多く、無駄が多かったのです。

下の図は受診から診療報酬の支払いまでの流れを示しています。マイナ保険証以前は赤線まで行かないと、受診時提示された保険証の有効性が確認できなかったのが、「オンライ資格確認」システムが稼働した現在は黄線の時点(受付時)に判明出来るようになったのです。年間10億件を超えるレセプトのうち、一番初めにチェックする「有効性確認」が受付時に出来ることにより、返戻(その1参照)が減ることになり、審査支払機関、保健者の事務コストが下がるわけです。


保険診療の流れ

審査支払機関でのコスト

医療機関は月締めで、患者毎のレセプト(診療報酬明細書)というものを、審査支払機関に請求します。支払機関は保険証情報を保険者に照会し、保険資格の有無を確認し、診療内容が保険のルールに則って行われるかを審査します。レセプトに問題がなければ、保険者に請求が行き、医療機関に7割分が振込まれます。

現在はほぼ電子請求(オンライン又は電子媒体(CD-R)になり審査支払機関側でコンピュータによる審査になりました。これに至るまで約15年くらいかかる長い道のりがあったのです。


レセプトの電子化(オンライン請求+電子媒体請求)

それ以前はどうしていたかというと、

●最大の目的は事務の効率化

 省令を改正したことの是非を論じる前に、そもそもレセプトオンラインを推進しようとした目的を確認しておこう。なんといっても最大の目的は、医療保険事務の効率化だ。さらに長期の目的として、「レセプトデータを疫学調査や学術研究に利用し、健康増進政策の策定に役立てる」ことや「医療機関同士のネットワークを整備することにより、診療情報の共有や電子処方せんの発行など、地域医療連携を促進する」ことが挙げられる。

 医療保険事務の効率化は待ったなしの状態だ。なにしろレセプトの審査には年間千億単位の費用がかかり、これらは国民の保険料でまかなわれているからだ。例えば、レセプトの審査にあたる審査支払機関のひとつである社会保険診療報酬支払基金(支払基金)は、人件費やシステム費などの審査費用で年間約800億円を費やしている。

 800億円もかかるのは、すべての紙のレセプトを目視で審査しているためだ。全国で約4500人の医師、歯科医師と約4400人の事務職員が審査にあたっている。審査支払機関には、年間約17億件のレセプトが提出される。このうち半数強を支払基金が審査している。

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要するに2009年当時は、各医療機関が発行した17億枚もの紙レセプトを郵送や持ち込み(大病院だと段ボール箱何箱も車で運び込んで)人力で審査をしていたのです。それにかかるコストは社保、国保合わせて1,000億円以上もかかっていたのです。

その膨大なコストは「レセプトの電子化」により相当削減出来たはずです。
医療ジャーナリストの方には是非どのくらいの節約効果が出たか検証していただきたいです。

マイナ保険証になったら


保険証発行コストが不要になる 維持管理コストのみになる。

保険証には社保と国保があるとその1で説明しました。

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国民皆保険(健康保険)の仕組み

①の組合健保は約1400組合あり、約2900万人が加入している。 ②は全国で1つの協会けんぽで、加入者数は約3500万人。 ③の市町村国保は約1700の組合で約3400万人が加入、④の共済組合は約80あり、加入者は約900万人だ。2017/05/21

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国民健康保険のコスト

加入者数:3,400万人

保健者:住民票のある市町村 約1,700

有効期限:自治体によって1年もしくは2年

また、発行、発送(通常は簡易書留)、維持管理の人件費(役所の年金保険課職員)コスト

ざっと試算しましたが、発行単価を100円として34億円、1世帯4人として、発送料30億円、人件費の減少を含めて年間数100億円以上のコスト減になりませんか?
国保の保険料は社保と違って全額自己負担で、その他の財源は地方税なわけです。コストが下がって困る人っていませんよね?

社保だって、7,300万人が加入し保険証の発行は毎年では無く、基本手渡しなので送料は無し、だけども1,500位の組合の人件費を考えるとマイナ保険証になれば、データの更新のみで事足りてしまうわけです。また保険料は労使折半(当然給料に反映され)更に被保険者の家族の高齢化により赤字が増えている状態です。このままで行くと、どんどん保険料上がりますよ。

とりあえず。ここまで。今後加筆していきます。

ある方から、厚労省の研究データの紹介をいただき追記します。


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