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サブスクリプション(定期購読・購入)などの定額制サービスの増加と当たり前になってしまうことに覚える危機感と日本の貧富の差の拡大

2018年は「サブスクリプション」をはじめとした「定額制サービス」を開始した業種が注目を集めた1年だったように感じます。
個人的には、デジタルコンテンツの「使い放題」や消耗品の「定期配送」などよりも、「購入・所有」という概念が中心だったスーツや車などの定額サービスの方がニュースとしては気になりましたね。

この「所有」から「共有」への移行は、個人単位の生活変化や、企業単位の事業変化から考えるよりも、国家単位の社会変化として捉えてから企業、個人と縮小して考えていく方が解釈しやすい気がします。

内閣府のサイトの「Society 5.0」には「今後全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出す」全てがビックデータと紐づく形で提供され、常時情報の集積・解析・フィードバックを繰り返すネット社会像が描かれています。

前回の記事にも出てきた「5G」が実装されることで実現する次の社会構造ですね。この構造を実現する上で「定額制のサービス形態」はデータを継続的に収集する都合上、相性が良いと言えます。
その上、企業もこれから一層激化する情報戦争に備えて、データ収集のために一層、定額サービスを展開するケースが増えるのでは、と思っています。

エンドユーザー目線でも、
・契約することでサービスの使用を開始できる「即応性」
・イニシャルコスト(初期投資費用)がないこと(例外もある)

などのメリットがあり、購入する時よりもサービス開始までのハードルは格段に下がり、これまで手を出さなかったサービスを利用する機会も増えるでしょう。

また、経済の面から見ても、主に低中所得層に対して、
・イニシャルコスト(初期投資費用)がないので、「サービス利用率増加」
・所得が少ない層にも可能な範囲での「継続的な消費」が促せる

など、お金を流動させ易くなるんじゃないかと思います。

ちなみに、国家としてもアメリカやロシア、主には中国・韓国などに大きく水をあけられないためにも、「Society 5.0」は積極的に進めていくべき方策であり、国内データの統合的な管理を目指していく形になるんじゃないかと思います。

どこをとっても同じ方向を向いており、また、誰にとってもメリット目白押しのような感じがします。

では、こうした定額制サービスが主流になることのどこに危機感を覚えるのか?

①常にランニングコストが発生するため、生活水準を上げづらくなる

所得によって月々、年間に充てられる「サービス維持費」は概ね決まります。そのため、生活水準を上げるためには、より多くのお金が必要になります。ですが、年功序列・経年的な給与の上昇も見込めず、事業の消費期限がどんどん短くなり、浮き沈みの激しい今の社会において、長期的な雇用体系を企業に期待できなくなりつつある現状で、生活水準を保ちつつ、上昇させることができる人がどれだけいるでしょうか? これも「今後日本は貧富の差がもっと広がっていく」と言われる理由の一つかもしれません。
ちなみに、国税庁 平成29年分民間給与実態統計調査結果によると今の日本の給与取得者の平均給与は432万円(男性532万円、女性287万円)だそうです。

②定額制サービスが主流になると購入のハードルが高くなる可能性があり、資産を保有できる機会が激減する

先日、こんなニュースがありました。

超高級車、国内販売5年で3倍 海外ブランドが攻勢
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41128930Z00C19A2EA4000/

車を買う人は年々減っていますが、高級車の国内販売数は増えているそうです。資産を持っている人たちはさらに車を買い、資産がない人たちは車をシェアするか、都心を中心に公共の乗り物を主体とした生活に移行しているといった感じでしょうか。
このことから、将来的に「購入・所有」しない低中所得層向けの「車のサブスクリプション(定額利用)サービス事業」と高所得層向けの「自動車販売事業」といった二層式となり、高所得層向けの「買う車」は今よりも高額化してしまい、低中所得層が車を購入するということが難しくなっていくのでは、と考えています。

③資産が一切増えない

①の生活水準の維持に終始すること、②の購入のハードルが高くなることを踏まえると、低中所得層は資産の増加や保有すら難しくなってくると思います。さらに、定額サービスのデメリットとして、サービス解約をすることで手元に何も残らないケースが非常に多いことが挙げられます。
若いうちは働き口も多く、体力もあり、病気もあまりせずに、回復も早いため、継続的な労働さえしていれば少なくともお金を稼ぐことができるので、サービスの利用は継続できますが、問題なのは65歳以上になってからです。今は老後に備えた資産形成をしている方も多いかと思いますが、資産の残らない定額制サービスに財政を圧迫され、購入する機会すら得られなければ、資産形成なんてできるわけがありません。

④最終的には社会主義的な社会構造(全体主義)に近くなる可能性を感じること

メディアでは「監視社会」なんて言葉を使ってGAFAなどのプラットフォーマー(今はニューモノポリーですか?)をはじめとした企業に警笛を鳴らしていますが、5Gが実装された後の中国などの社会主義国はビッグデータの集積に非常に有利と言われています。企業に対して国から働きかける力が強く、情報統合が捗りやすいからです。
こういった諸外国と渡り合うためには、同じく国内情報の統合管理が必要となります。結果的に、「Society 5.0」は国内の情報をビッグデータ化して総合管理する形になり、国民へのフィードバックと収集、解析を繰り返し、今よりも絶対的な情報統制社会になってしまう、そんな気がします。

上記の4点が定額サービスの普及や昨今の変化に対する危機感ですが、だからと言ってこういった流れがいまさら大きく変わるとも考えていません。

というわけでは、今の時代にできることとして、
・定額サービスの利用範囲と資産として保有するべきものを分けて考えること
・資産を保有するタイミングを計り、動くこと
・情報を得られる方法を増やし、情報整理の練度を上げておくこと
・働きながら、常に「働くこと」について考えを時代に合わせて更新すること

など、ちょっと抽象的なものが多いですが、このようなことは最低限必要なんじゃないかと思っています。

今はGoogleが本気でどこかの産業に乗り込めば、ものすごいスピードで浸食され、小さな産業革命のようなものが起こってしまう時代です。日々、身の回りで移り変わる変化かから目が離せませんね。

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