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9月のジビーフ

「雪枝」32ヶ月齢メスと「まさたか」27ヶ月齢去勢です。
あたり前のことですが、牛にも性格があります。雪枝とまさたか、対象的な2頭でした。

雪枝
雪枝のロース断面

雪枝は警戒心が強く触りにいくと逃げるような臆病な子でした。小柄な母親(おはつ)そっくりで、そのあたりの遺伝子も受け継いでいます。

まさたか
まさたかのロース断面

まさたかは身体は大きくおっとりしていて、奈緒子さんに近づいてきて頭を撫でさせてくれることもあったそうです。

僕はまだ枝肉を見ていないので、写真でしか判断できませんが、月齢の違いなのか、若いまさたかの方が水分が多そうです。

ここ1年ほど、ジビーフの味(香り含めて)が変わったという感想を多くいただきます。理由は定かではありませんが、試験的に半年ほど長く飼っているからなのか、それとも頭数が増えて土壌が活性しているのか、僕はこのふたつが要因じゃないかと思っています。

内臓は、2頭とも各部位すべて廃棄なしで、健康に育ってくれたと思います。

格付けは、雪枝がC1、まさたかがB1です。A5はみなさん聞き慣れた数字だと思いますが、C1とか聞いたことないでしょう。ちなみに和牛の経産を格付けするとC1が多いです。

一部のフーディな方々は、格付けの低い牛は、買い叩かれて仲卸(僕も含めて)が高く売ってると思っているみたいですが、あのね、いつの時代の話?って感じです。

もちろん商品として精肉にできない肉もあります。ホルスの経産なんかだと、僕には手に負えません。それでも、タダではないです。どんな形になっても、廃棄されるより安価でも値がつけばいいと思うのです。

ありがたいことに、以前よりは少なくなりましたが、ジビーフに興味をもってくれている料理人の方から問い合わせをいただきます。アポナシ来店もそこそこあります。

僕が人見知りなので、対応は僕以外のスタッフに任せていますが、熱心な方は手紙を書いてくれたり。ちゃんと読んでますよ。熱量が多いのは疲れますが、内容によっては僕から電話することもあります。

そんなこんなで、相変わらず難しいジビーフですが、僕と出会えてよかったと思ってもらえるように、今回もおいしくなるように手当てして、シェフのみなさんへつなぎます。あとはお任せしますので、仕上げをよろしくお願いします。

ありがとうございます!