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ジビーフのフィレ

僕が生まれた京都某所に好きな和菓子屋がある。しょっちゅうはいらないが、たまに食べたくなる。

久しぶりに訪ねたが、通りすがりではまず入らないだろう。ショーケースの上には、ブローチやらなんやら売ってたり、水槽もあったりして。知らなかったら僕がいちばん苦手な店かも。

僕が26歳で精肉店はじめたとき、客がまったく来なくて、ショーケースの上に120cmの水槽置いて熱帯魚飼ってたのを思いだす。苔取りにと熱帯魚屋のオヤジにすすめられるがままにプレコを飼って、最初は違和感あったものの、次第に可愛くなって、そのうちプレコがうじゃうじゃ。最初はタイガープレコの小さいのを入れてたが、エスカレートして、ロイヤルプレコのデカイの飼ったり。いま思えば、たまに来る客は気持ち悪かっただろう。

暇なのでショーケースの上に置いてたよくわからないメーカーの小型テレビで昼ドラやワイドショーを一日中みていた。ある日、熱をもちすぎたのか、ボン!という音とともにテレビが爆発した。

和菓子屋へ行くたびに、そんなことを思いだす。店は乱雑としているが和菓子はおいしい。特にニッキ餅は唯一無二。松下幸之助氏も好物だったとか。

最初の店は、26歳から37歳まで11年間営業したが最後の1年はボロボロだった。それでも肉は日本一だと思っていた。でも、客が来なけりゃ話にならない。

理由のない自信みたいなものがあったのは若さゆえなのか、深く考えていなかったからなのか。

てことで、ニッキ餅買ってラフィナージュへ。少し間があきましたが、久しぶりに高良シェフのジビーフにわくわくします。

左が「たけし」右が「かずひこ」どちらも28ヶ月齢で格付けはB1です。いまや牛肉はA5がおいしさの象徴のように思っている人が多いですが、B1でもちゃんと手当てすればおいしくなるんです。

A5がどうこうではなく、僕も年に2回程度はセリで買いますが、誇張しなくてもいいんじゃないかな。今朝のテレビでも、カレーだったか宮崎のA5のモモを使用している云々。確かに消費者には分かりやすいけど、そこそこのレストランがわざわざメニューにA5表記するのはセンスないなぁと思う。

さて、ジビーフのフィレですが、同じ環境で育ち、月齢も格付けも同じ、出荷日も同じ。でも、食べるとまったくの別物でした。1本は僕が軽く水分調整したもの、もう1本はなにもせず。好みの問題もあるけど、どこに合わせればよりジビーフらしさを味わえるのか、今回のように2頭の条件が重なるとわかりやすい。

高良シェフとDroitの森永シェフが還暦のお祝いをしてくれたのが、一年前の今日でした。

ありがとうございます!