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今回はtakeforest株式会社 代表取締役・竹森洸征さんに取材をおこないました。竹森さんは現役の大学生。大阪公立大学で学びながら起業した理由や現在展開する事業内容などその想いについてお話を伺いました。

「やってみよう」の気持ちが起業のきっかけ

私は現在、大阪公立大学の4年生(22歳)で、物理学を学んでいます。レーザーを使い癌や認知症の原因となるものを検出する技術を研究しています。とはいっても、弊社の事業は物理学に関することでありません(笑) 。「ぷち勉~たった10分、1問のオンライン指導~」など教育に関する事業を展開しています。

そもそも最初は、起業したいなんてまったく思っていなかったんです(笑)。コロナ渦が明けても退屈する時間が多くて、「行ってみよう」と軽い気持ちで大学の「ビジネスアイデア創造ワークショップ」に参加したんです。そこで「U30堺市起業家輩出プログラムSIP」と呼ばれる、30歳以下の方の堺市での起業をサポートしてくれるプログラムを知って、そのイベントにも「これも参加してみるか」という気持ちで参加しました。参加したときも起業する気持ちはなかったんですけど、話を聞いていくうちに「やってみよう」という感情が出てきて。そこで起業しようかと考えるようになりました。

「やってみよう」精神は昔からあったんですよね。「インスタントカメラのフラッシュはなぜ光るんだろう」と疑問に思ったときにカメラを分解してみたり。結構危ないんですけど(笑)、好奇心が強くて「やってみよう!」と思ったんです。好奇心は強いほうだったんですが、アルバイトで塾講師をしていたときにその気持ちが薄まっていたことに気づいたんです。子どもたちには「覚えてみよう」「問題を解いてみよう」と指導するのに、私は起業への一歩を踏み出せていない。やることに価値があるんだから、やってみるべきだと子どもたちに気づかされたんです。もともと持っていた強い好奇心と、子どもたちの後押しもあって、起業することを決めました。

「10分の家庭教師」は子どもたちの「やってみよう」につなげるため

起業のきっかけを語る竹森さん

現在は「ぷち勉~たった10分、1問のオンライン指導~」と「ノーコード教育」という2つの事業を展開しています。家庭教師という分野で事業をはじめたのは、塾講師をしていたことがきっかけですね。集団塾・個別指導塾で働いていたのですが、子どもたちだけでなく保護者の方ともお話する機会がありました。保護者の方は「塾では勉強するけど家ではしない」という悩み、子どもたちは「勉強しなさいと言われると自分はダメだと言われているようで自信がなくなる」という悩みを持っていました。

そこで考えたのが「ぷち勉~たった10分、1問のオンライン指導~」です。単に成績を上げることが目標ではなく、子どもに自信を持ってもらう、自己肯定感を上げてもらうために学べる仕組みを作ればいいのではないかと考えました。ぷち勉は、10分で1問だけ解くという勉強方法です。子どもたちは「1問だけならやってみよう」と思えますし、保護者の方は「1問だけでも毎日勉強している」と思えますよね。そこで、日常に組み込む形にすることを意識して仕組みづくりをおこなっていきました。この仕組みによって、「毎日勉強している」「問題を正解できた」という成功体験で子どもたちに自信がつき、「これもやってみよう!」と他の科目やプログラミングの勉強、イベントの参加など挑戦するきっかけにもつながるようになることが期待できるんです。

ぷち勉は本格的に開始して約9か月が経ち、現在10名の生徒と体験生の方に利用していただいています。このサービスを利用するときは、やっぱり保護者の方は「本当に10分で効果が出るの?」と不安に感じられるんですよね。「長時間勉強しなければならないという固定観念を壊して、子どものやる気をあげる家庭教師のサービスを提供したい」という事業の想いを伝えたうえで、体験いただいています。すると、「子どものやる気が満ち溢れている」「自ら『勉強する!』と言っている」と子どもたちの変化が見られてご満足いただけるようになりました。

生徒の中に、お姉ちゃんと比較されて「自分はだめだ」「夢もないし、これからどうしよう」と悩んでいる方がいました。ぷち勉を2か月受講してもらったところ、「夢ができた!」と生徒から言ってもらえたんです。子どもたちの自信をつけたい・やってみようという気持ちになってほしいという想いはこの事業のやりがいでもあります。

また、子どもたちの変化を見せるだけでなく、サービス内容や指導内容などは丁寧・具体的に説明するように心がけています。このような心がけの結果、保護者の方からの紹介で申し込みを受けることもできました。口コミで弊社サービスが広がって、「子どものやる気をあげる」という概念に共感していただける方を増やしていければと思います。

ぷち勉のほか、オンライン・対面の家庭教師で「ノーコード教育」もおこなっています。子どもたちだけでなく学生や社会人も参加できるイベントを開催することが主な仕事です。この事業をはじめようと思ったのも、私のやってみよう精神なんですよ。たまたま京橋で開催されていたノーコード関連のイベントに参加して面白さに気づき、大学の教授と共同でイベントを実施しています。現在は中百舌鳥で開催しているので、今後は他の地域でもイベントをおこないたいですね。

堺市を中心としたコミュニティを支えに、会社経営に取り組む

会社経営の難しさを語る

2つの事業の中で、子どもたちやその保護者、イベントに参加してくれた方などに嬉しいお言葉をもらえたり、意識の変化が生まれたりなどでやりがいを感じることも多いですが、会社を経営することは本当に難しいです。

サービスの料金設定や書類作成など「こんなに細かい部分まで考えなければならないんだ…」とびっくりしています。特に書類関係の仕事はとても苦手なのですが、イベント等で出会った社会人の方、経営者の方にアドバイスをいただきながら、日々勉強しながら運営しています。

また、堺・中百舌鳥イノベーションBASEにて、「ぷち勉」について経営者や社会人の方々にプレゼンする機会がありました。さまざまな世代・業種の方に聞いてもらう中で、「大人でも、10分間何かに取り組むことは大切だよね」と声をかけていただいたり、オンラインの教育事業を展開されている方と情報交換ができたりなど非常に有意義な時間となりました。

先日は、EO Osaka主催の学生起業家ピッチコンテスト「GSEA(世界学生起業家アワード)」大阪大会に登壇し、1位に選んでいただきました。次は2月に開催される日本大会に出場します。

U30堺市起業家輩出プログラムSIPに参加したり、堺市のイベントでつながりができたり…。これからもイベントに積極的に参加して、あらゆることを吸収していきたいです。


今後も、弊社の事業で幸せになってほしいという想いで進んでいきたいと考えています。少子化問題で教育市場が縮小していくと言われていますが、教育市場の課題は子どもの数だけではないと思うんです。子どもの数が減っていっても、一人ひとりが成長していければ自信を持ち幸せだと思う子どもたちを増やすことができます。弊社の事業で1人でも自信を持ち幸せに感じる子どもができれば、少しずつ世界が変わると信じています。

物理学の中に、蝶が起こした小さな風が少しずつ影響を与えて大きな台風になるという「バタフライ効果」という考えがあります。私がたまたま参加したイベントが起業につながったように、子どもたちの少しの行動が自信や幸せにつながる可能性は大いにありますよね。まずは3年後までに生徒数を200名以上に増やし、自信を持つ子どもを増やしていきたいです。

子どもたちはもちろん、大人・高齢者に向けたワクワクへのきっかけづくりができる事業も展開していきたいと考えています。

私が会社を経営するうえで軸となっているのは、「事業の提供で幸せになってもらえるか」ということ。少しのきっかけがワクワクにつながるような社会をめざして、子どもたちはもちろん、大人・高齢者に向けたワクワクへのきっかけづくりができる事業など、私も楽しみながら
takeforest株式会社を発展させていきたいです。



「やってみよう」という挑戦心で子どもたちやその保護者、そして経営者や社会人にも影響を与えている竹森さん。固定観念を壊し、新たな社会につながるのも遠くはないかもしれません。


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