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[調査]医薬品特許の保護期間延長、の調べ方:日本編

世界中の多くの国には「医薬品特許の保護期間延長」という制度があります。
簡単に説明してみると「医薬品は研究開発に非常に長い期間がかかる」一方で、「特許で権利が保護される期間は、一般に出願から20年」なので、「医薬品が承認され、いざ販売!となる頃には特許切れ間近」という事が頻繁に起こってしまうのです。
「それでは販売承認された医薬品については、特許による保護期間の延長を認める事にしましょう。」というのが、保護期間延長制度です。下記の参考図2枚は特許庁作成資料から。

特許が登録されてから製造承認日までの間は、特許期間が浸食されてしまっている、という考え方です。上記に基づき、日本では製造承認を受けた薬品に関する特許について、最長5年の特許権延長が認められます。(制度は国によって異なります)

先日、調査系の研修講師を務めた時、終了後に「医薬品特許の保護期間延長、の調べ方」の質問を頂きました。その方は医薬品を作る「もと」、出発物質の仕事をされているそうで「原料供給側の仕事だが、現状、どの薬がいつ特許切れするのかわからない。特許満了期間がわかれば、もっと的確に生産計画が立てられそうなのに。」とおっしゃっていて、「確かに!!」と思いました。これは素人考えですが、広く使われているお薬が特許切れすると「ジェネリック医薬品」が出てくるので、特許切れによって、ビジネスチャンスが広がる、なんて可能性もあるのかもしれません。

医薬品特許の保護期間延長の調べ方については、2005年に雑誌掲載された資料が公開されており(下記)、私も時々参考にしてきました。

■医薬品の特許存続期間延長制度と延長情報の調査方法(情報の科学と技術。2005年)
日本編
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/55/8/55_KJ00003356614/_pdf/-char/ja
米国編
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/55/9/55_KJ00003709222/_pdf/-char/ja
ヨーロッパ編
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/55/10/55_KJ00003709258/_pdf/-char/ja

基本的な情報ソースは、現在(2019年)もほとんど変わってはいません。ですが、15年近く経過した今、スクリーンショットなどは相応に変化しています。
このノートでは「自分が検索した際のメモ」を公開しています。

■主な調べ方
0-1) [基礎データ] 保護期間延長の対象は?動物の薬は?農薬は?
0-2) [基礎データ] 新医薬品の承認品目一覧  ※特許情報なし
1)J-PlatPat 
2)商用データベース (JPNET)
3)  INPADOC  (Espacenet)  
※適宜追記/修正予定です。

0-1) [基礎データ] 保護期間延長の対象は?動物の薬は?農薬は?

一般に「医薬品特許の保護」と言われますが、その範囲は広く
・ヒトに投与する医薬品
・ペットや家畜、家禽、養魚等に使用する動物薬
・農産物に使用する 農薬   は保護期間延長の対象となります。 (日本)

0-2)[基礎データ] 新医薬品の承認品目一覧

新医薬品の承認品目一覧(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0010.html

こちらは特許データを含みませんが「新医薬品として承認された品目一覧」が掲載されています。年度ごとの一覧から、必要な年を選択。

PDF形式、またはExcel形式、いずれかをダウンロードします。

前述の通り、こちらは特許番号などの情報は含みません。会社名、販売名、成分名等が確認できるのみです。

医薬品に対応する特許番号と 保護期間を確認するにはJ-PlatPat、または各種商用データベースを利用します。

1)J-PlatPat (特許庁/INPIT)

J-PlatPatで延長情報を知るには、以下の2つの方法があります。

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