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[観察] 聴覚と適性

心理学の分野で使われる「VAKモデル」。五感で感じるものを3つの代表的なモデルに分類したもので、人にはそれぞれ五感の中でも得意(優位)な感覚がある、とする考え方です。視覚(Visual)・聴覚(Auditory)・身体感覚(Kinesthetic)に3分類されます。

(出所:http://kodokoko.com/2015/10/08/vak/) 

講習会や企業内トレーニングで「検索を教える仕事」をしており、何百人、何千人の検索を見ていると、時々は「羨ましくなるほどセンスのある方」も、その逆(ごめんなさい・・・)な方も、両方に出会います。そして、教える仕事目線では「センスがある/ない、の違い」がとても気になるわけです。

「あの子センスあるな!」と感じる瞬間は、私ひとりの感覚だし、何か計測機があって定量化しているわけでもありません。でも、後で上司の方などにフィードバックさせて頂くと「そうそう!すごくセンスがあるのです」とか「じつは勘どころが外れやすくて、困っています」といった具合に、見解が一致する事も多いのですね。

どうしてかな、と、色々な場面で観察を続けていたところ、興味深いケースに出会いました。

「(口頭で)説明を受けた後に検索(特許調査)をすると、技術の観点・ポイントがずれていく。」このケースは、勘どころが外れるパターンですが、他の場面もよく見ていると、次のような傾向もありました。「口頭で指示をすると伝わりにくい・ミスが多発する」「書いて伝えられた事は、正確に実行できる。ミスも殆どない」

つまり・・・音声ベースで情報伝達した際、発話者の意図が伝わりにくい。または、自身の中で意味を解釈するプロセスにおいて、発話者の意図と大きなズレを生じる、という事ではないか?と思ったのです。すなわち、聴覚が弱点になっている可能性が大、なのではないか?とも。

他には普段、業務適性をみる際には「」も便利に使っています。(下図参照) こちらと合わせ技で考えてみると・・・

(出所:https://ameblo.jp/dream-make-salon/entry-12332520011.html)

私のもう一つの仕事「依頼者のために検索する」で考えると

・最初に営業活動が行われて(TA)・調査の問合せがあると、打合せ。希望内容を聞く(TS)・データベースを使って 調査戦略の設計 (BA)・検索結果(特許の公報)を1件ずつ内容確認。必要な情報を抽出(BS)・依頼者にわかりやすいよう、報告書を作成 (TS)

という流れになるケースが多いです。
そして調査戦略の設計(BA)や 資料の内容確認(BS)をするには、結局のところ「打合せ段階で、クライアントの希望、できれば本人が無意識だった意図まで聞き取り、言語化する。」ことが欠かせなくて、TSの善し悪しで調査クオリティが左右される、と言っても過言ではない気がします。

それでは「音声による情報伝達が苦手」な場合は?と考えると・・・調査設計も正確にできず、資料抽出もズレが生じる、というのは、想像に難くないです。

聴覚タイプも、視覚、体感覚も全部そうなのですが、「訓練である程度伸ばす」事はできるとしても、「元々、超・得意な人」を超えるのは難しい、というのが現実かな、と感じる事が多いです。
そして「調査・検索のセンス」、100%ではないとしても、かなりの部分は聴覚に関連しそうな気がしてきました。

・そもそも「正確に聞く」が苦手
  → 検索条件や資料抽出。全部のポイントがズレてしまう
・相手の説明を正確に聞いて、正確に理解できる
  → 正確に調査できる可能性がUPすする
・相手の無意識も言語化でき「こうじゃないですか?」と表現できる
  → かゆいところに手が届く。「神」とか「お母さん」とか言われる

・・・というような違いが出るのかな、と。そもそも、「聞く」「聴く」が苦手だと、TSってやりにくくないかな?という気がしてきますし。

おしまい。

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