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ヒーロー初音ミクは新しいのか

こんばんは。シャワーを浴びた後にご飯を食べたら汗かいたので、もう一回シャワーを浴びたさかじょんです。

今回は初音ミクの話です。それはもう。

「HERO」

23/06/30公開の、「マジカルミライ 2023」テーマソングです。皆さんは好きですか? 私は好きです。

「東京幽霊」や「シネマ」を思わせる、きちんとAyaseさんの調声だ~と思えるところも良いなって思いますし、「マジミラ」という場で最も輝くように、コールもバッチリ想定されているように思えます。

曲として、根っこから明るい曲ではないのでしょう。ちょっとした苦しみとか、ともすると深刻な恨みつらみのうえに成り立つ生と、いい意味でそれとは少し離れたところにいて、それらを切り裂く可能性を持った初音ミク。そして私は、そういう曲の方がボカロ曲としては心惹かれます。

ヒーロー初音ミクは新しいのか

さて、「HERO」のMVの中には、2人の初音ミクが主に登場しています。今回のマジカルミライキービジュアルにもある、パンツスタイルの初音ミク(仮に、ヒーロー初音ミクとします)と、いわゆる「いつもの」初音ミクです。

ヒーロー初音ミク
いつもの初音ミク

パンツスタイルの初音ミクはマジミラミクさん至上初とのことで、「新しい試み」とのことです。

確かに、マジミラミクさんに絞らずDIVAモジュールなどを広く見ても、初音ミクは結構な割合でスカートを穿いていますね。「ミクの多様性」というのは結構好きなキーワードで、私も前々から考えてきたことです。

そんな「新しい」お姿のヒーロー初音ミクですが、初音ミクが「ヒーロー」たり得るのは、割と昔からなんじゃないかなって思うのも事実です。

今回の「HERO」を聴いて、私としては同じくマジミラテーマソングでは「グリーンライツ・セレナーデ」のミクさんを連想しました。

言葉は時に無力でなかなか
この世界は変わらないけど
もしキミが持ってるその魔法で
新しい世界を作れるとしたら?
なんてね 言ってみただけ
そんなの本当は 出来る訳ない
ワケがないでしょ!

「好き」をもっと 信じるのさ
何度転んでも キミは キミの
やり方でいいのだ!
照らし出して! グリーンライツ
立ち向かう未来を
きっと いつか キミを照らすまで

堪え切れない夜には隣で泣いていいよ
二人だけの秘密も嬉しいんだよ

https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/37850.html

「グリーンライツ・セレナーデ」でも、「この世界ってやっぱりちょっとしんどいよね」っていう前提が共有されていて、でもそれを颯爽と「ワケがないでしょ!」でぶった切る一方で、「二人だけの秘密も嬉しいんだよ」とか言っちゃって、かっ飛ばすだけじゃない初音ミクは、明らかに我々を救いに来ています。「寄り添う歌です」(主コメ)からね。

一方、「HERO」の方は「初音ミクに救われる私たちのその後」まで描かれているのはステキですね。

めきめき育った新芽にまたがり
秘密基地を抜けて進め進め
救われてばかりじゃいられない
君も知らない場所
見つけに行くよ
  (中略)
隣を見れば
共に闘ってくれた君が居たから
なんとかここまで来れたんだよ
この先は僕にも任せてよ
君が望む未来を教えてよ

https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/53083.html

これ以外にも、初音ミクはいろんな形でいろんな人を救ってきたのかもしれません。それは初音ミクを使うクリエイターによる部分も大きいのと同時に、ツールである初音ミクによる効果もあるだろうとは思います。

初音ミクは、時にカッコよく、時に寄り添って、そして時に苦しみを叫ぶことで、昔から私たちを救ってきてくれていたんじゃないかと思います。そして今回、私たちはマジミラという場で、ついに初音ミクへの思いを表明し、初音ミクの手を引く側にもなれるんだよっていうことなのかもしれません。ほんと不思議ですね。合成音声ソフトウェアに、人間たちがこんなに思いをかけることになるなんて。

ただ、マジミラという大舞台で歌・キービジュアルの世界観を統一してまでそれを表明することは、マジミラという世界においてかなり画期的だと思いますし、改めてとってもすごいことだと思います。その点で、Ayaseさんはとっても初音ミクのことを思っているなとも(私は)思います。

やっぱハチさんもすげえんだったな、とも思う。

さて、ちょっと付記っぽくなりますが、「HERO」は周知の通りハチさん「砂の惑星」のアンサー箇所があります。

サンキューここからは僕たちの番だ
にわか雨じゃ全然足りないのさ
一面に広がってきた緑に
水を撒けここは愛の惑星

https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/53083.html

この箇所は曲調的にも砂の惑星の雰囲気をまとっていますし、「一面に広がってきた緑」は砂との対比が明瞭です。「○の惑星」を入れるなら「何の」惑星とするかは非常に注目どころですが「愛」という強烈なワードを持ってきており「どひゃ~!」となりました。笑

とはいえ、「砂の惑星」は2017年の曲です。もう6年経っています。6年経ってなお、私たちはハチという大きな先駆者が残した強烈な一曲へのアンサーを続けています(「HERO」でそれが完全に終わるとは私は思いません)。

「砂の惑星」はやっぱり結果的に起爆剤だったし、今なおこの一曲への気持ちを(潜在的にも)心に秘めているクリエイターやリスナーがいるという点で、ハチというクリエイターはすげえかったんだなと思います。

また時が経って、やっぱり「砂の惑星」も最高だったよなって思えるのであれば、それが初音ミクの歩んできた道だと思いますし、そうなればめちゃステキだなと思います。

おわりです

今回は「HERO」についていろいろやってみました。

途中でも書きましたが、「HERO」は必ずしも初音ミクだけがHEROなのではない描かれ方をしています。私たちも初音ミクの手を引けるんだっていう、そういう人間の肯定も含まれていると思います。いちリスナーとしては、初音ミクの手を引けるのは必ずしもクリエイターに限らないと信じたいですね。

でもそんな形の人間肯定を引き出してくれるのも、また初音ミクなんだよな~~~~えも!

ということで、エモを表出したところで、今回は終わります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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