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情けないのに贅沢でおいしいふかひれの焼きそば

ふかひれがほとんど入っていないふかひれスープをかけて味わう焼きそばがある。
頂上麺ってお店の商品。料理の名前も「頂上麺」。

頂上麺にも2種類あって店の人気の商品は土鍋でグツグツ沸騰しながらやってくるのが特徴のふかひれ煮込みつゆそば。ほとんどの人がそれをたのむ。
けれどボクのオキニイリはふかひれの煮込み「焼きそば」。煮込みそばにはないシズル感が味わえるのがオキニイリ。

お店の人が器をふたつ持ってくる。
どちらも熱々。木皿を添えて器用に手に持ち、お待たせしました。
ひとつは熱々に熱した陶器の平皿。中には麺が盛り付けられててすでにバチバチ、焼ける音。
もうひとつは柄付きの土鍋。熱々のふかひれスープが入ってる。それを目の前で平皿の麺の上に注いで出来上がり。ジャーッと湿った音と一緒に猛烈な湯気。平皿の中ではとろみスープがグツグツ、小さく沸騰してる。

ぽってりとしたとろみの強いスープだから泡は重たく、ゆっくりできてゆっくり爆ぜる。
ふかひれスープ独特のおいしい匂いが漂ってくる。
バリバリにやけた麺です。
細くて角張った蒸し麺を多めの油で焦がしながら仕上げてる。焦げたところは揚げ麺のよう。バリバリ折れて壊れるような歯ごたえがある。それがとろとろのふかひれスープと一緒に口の中にやってくるとざっくりとした歯ごたえととろけで口が騒々しくなる。
オイスターソースで味を整えらたスープはまごうとこなきふかひれスープのそれだから、あたかも麺そのものがふかひれみたいに振る舞うところがなんともおいしい。

ふかひれスープといいながらも、ふかひれそのものは探さないと見つからないくらいの分量。しかももやしの根っこのようなサイズでそれだけ見るとなんとも貧しいふかひれスープ。けれど食べすすめるとそんなことなんてどうでも良くなる。
パリパリしていた麺がゆっくりスープをすってネットリしてくる。スープがたっぷり含んだゼラチン質がスープの表面にさざなみような模様を描く。なんとおいしい。

胡椒をたっぷり、黒酢も注ぎ味に奥行き、深みをたしつつ味わっていく。熱々の器のおかげでずっとスープの温度が下がらず、やけどしそうになるのもかまわずフーフーハフハフ。唇同士が貼り付くようなふかひれあんのゼラチン質と濃厚味を堪能しました…、オキニイリ。

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